2009年11月24日 (火)

気の利いた

とある大学の講座に関わっているのだが、その最終プレゼンの一環として産業界で働く人を呼んでエレベータピッチが行われた。
エレベータピッチとはそれこそエレベータに乗り合わせた程度の短い時間の中で提案を行うもので、例えば新しいビジネス提案なら、それに興味を持ってもらえて「じゃぁ後で詳しく聞かせてもらおうか」と言わしめれば成功だ。

とはいえ30秒そこらで自分の伝えたいことと相手の聞きたいことを上手く勘案してロジカルに話をつなぎ、提案を理解してもらうのはとても難しい。

案の定中には問題提起だけでタイムアップしてしまうグループも出た。落ち込むプレゼンターに対して質疑応答での教授の第一声。

「エレベータピッチの中には問題提起だけをして、我々はとても良いソリューションがあるので後で聞いてもらえないか、というのも有りだからあまり気にしなくて良いよ」

「で、ソリューションは何なのかな?」

とてもナチュラルなフォローに会場の雰囲気も一気に回復。プレゼンターも気を取り直して補足を入れて、質疑応答が行えた。
こういう気の利いたフォローが出来るようになりたいと思った瞬間でした。

その夜の懇親会では気がついたらほとんど飲み食いできなかったので、数人で飲み直しにいくことに。しばらく待ってやっと出てきた、とある教授が「いやー女性陣に囲まれちゃってさぁ。」皆がいいですねぇと声をかけたら・・・
「でも男として見られてない危険性があるんだよねぇ」

・・・70才近くになって、そう言えるようになりたいと思った瞬間でした。

2009年11月23日 (月)

Communication

20091122_communication 先日、職場で新しく他の部署から移ってきた人の歓迎会を開いた。会の半ばで着任の挨拶に続いてみんなからの質問タイム。その中で「異動の話を周囲にしたら、bigakiraさんのいる部署だねといろんな人に言われて・・・」という言葉が飛び出して、自分も驚いたけども周囲も「おぉ~」という声が。

立場的にも個人的なポリシーとしても、なるべくいろんな人と繋がってアンテナを広く張っておきたいと思っていたから、相手にもそれが届いているのだと言うことがとても嬉しかった。もちろん印象がよいから覚えているとは限らないので単純に喜んでばかりはいられないけれど、自分または自分の仕事が社内で知られているというのは大事なことだ。
そのときに気をつけているのは、単に自分のやっていることを知らせるだけではなく、なぜ大事か、面白いか、そして何より話し相手にどう関係しているかということを伝えること。
たとえ全く違った人やシステムを相手にしていても、全く違う種類の活動(例えば、設計と運用、品質保証と契約)をしていても、考え方や方法論には共通点や学ぶべき所が何かしら有ると思う。それを理解してもらうことで結果的にはいろんな情報がもらえたり、こちらの事を考慮して仕事を進めてもらえたりということがある。

翻って、最近話題になっている「事業仕分け」に注目してみると、目的を達成できているとは思えない事業はもとより、スパコンや水星探査などその世界では成果を出していても個人が生活を営む上で直接の影響がわかりにくい事業が見直しを求められている。国として誰が意思決定するかの曖昧さと議論のお粗末さには唖然とさせられるところも有るけれど、仕分け人の知識レベルが国民の平均的なものだと考えたら、何千億円ものお金を使うことに国民が共感を得ないなら国民のお金を使うべきでは無いというのはごく当たり前の事だ。

警察や市役所の金銭的価値がいくらかなど誰も考えないし、小惑星探査機ハヤブサや深海探査機しんかい6000のように未知の世界へ挑むことで世界的に熱烈なサポーターを得ている活動もある。

もちろん全ての研究や事業に対して全国民の理解を得ようなんてのは無茶だとしても、例えばサイエンスの研究に関して一件でも興味を持ってもらえていたり、意義が理解できていれば、そもそもその人から「このサイエンスプロジェクトへの投資に対する利益はいくらか」なんて質問は出ないはず。

そのためには税金を使った大規模な研究や開発、事業を行うなら、たとえサイエンティストやエンジニアであったとしても、社会に対してその意義を伝えると共に、そのお金を提供している人の感覚を受け止めていかなければならないと信じている。
それは単なる広告とか広報ではなくて、それを進めていくサイエンティストやエンジニアが自分で考えて自分で語り自分たちの耳で聞くこと、世の中とコミュニケーションをとることが明確に求められる時代がとっくに来ているんだろうと思う。

2009年10月27日 (火)

image

20091027_image 先日、傍らにあった文庫本を何気なくパラパラとめくっているとこんなフレーズが。

「彼の父親は天文学者で、一年の半分は種子島宇宙センターに行ったきり帰ってこない」

・・・残念ながら世の中のイメージってこんなものかも。
でも直木賞候補になるほどの作家ならもうちょっと調べて書いて欲しい。

(写真は大崎射場。さすが世界一美しいと言われる宇宙センター)(JAXA提供)

2009年10月26日 (月)

Best Job 2009

20091025_best_job in America is Systems Engineer!という調査結果がCNNで流れていたのがINCOSEを始めSEの業界ではちょっとしたニュースになっていた・・・というのが2週間ほど前のお話。しばらく公私ともにどたばたしていたので紹介するのが今日になってしまいました。

さて、なんでSEが最高の仕事として選ばれたのか、というのはSEを目指す自分でもよくわからないが、やりがいや市場の成長性などを「総合的に考慮して」はじき出されたものらしい。

記事ではSEが何をする人なのか、何故素晴らしい仕事なのか、などが簡潔に書かれているのですが、その中で驚いたのが「市場縮小の中でも需要は鰻登り。かつては軍需や航空宇宙が中心のニッチな仕事だったのがあらゆる産業に広がってきている」と言う下り。現在80,000人の市場が今後10年で45%成長すると言うからかなりの数字。

アメリカから5~10年遅れて日本で同じ事が起こる、というような世の中では既に無くなっているとはうけれど、今後日本でどういう事になるのかちょっと気になるところ。
個人的には、既に様々な産業でSEという肩書きを持たずにその役割を果たしている人が相当数いるはずで、その人達を含めて、SEと言う仕事がPMと同じように認知されて整理されていくことを期待している。
が、給与がアメリカ並みになることまでは期待していない(希望はするが・・・)。

ちなみに日本で言うSEは情報システムやソフトウェアの開発者のイメージが強いけれど、英語ではそれぞれIT EngineerとかSoftware Engineerと呼ばれて区別されている。もちろん本当にそれらのシステム全体を設計・開発する活動をリードする人はSystems Engineerだ。

(CNNの記事はこちら

2009年9月11日 (金)

Debut!

20090911_debut 雲の間に消えるまでのほんの一瞬、火の玉が暗闇の中を上がっていくのは綺麗だった。小さな画面のストリーミング放送では実際とは比べものにならないのは分かっているが、そう感じたのは久々に手に汗を握る打上だったかも知れない。日本史上最大のロケットH-2Bのデビュー!
1秒間(たった1秒!)の打上時間ウィンドウに合わせてキッチリ打ち上げられたのは見事でした。
どのような未来が待ち受けているか分からないけれど、これからの活躍に期待!

さて、宇宙ステーションへの物資輸送機HTVはこれから1週間かけて宇宙ステーションへと向かう。
ヨーロッパのATVがステーションにドッキングしたときも感動的だったからこそ、こちらも見逃せない。

(写真は打ち上がったHTV技術実証機のミッションロゴ、JAXA提供)

2009年7月22日 (水)

Banquet -Symposium in Singapore-

20090722_banquet_1 発表も終わって晴れ晴れとした気分の中で、公式のBanquet(パーティ)。
やっぱりシニアが多いけれどためになる話や情報も多く聞けるのが良いところ。
日本の学生はソフトウェアのアルゴリズムは得意だけどモデル化が全くできないとか、電気系の学生が乾電池の電圧を知らないとか記号は知っていても本物の抵抗を見たことがないとか・・・
最近は企業も学生を一から再教育する余裕がないので、工学系の学生にはちゃんと4力学を教えてほしい、さらにはエンジニアリングやマネジメントの分かる学生が欲しいと、大企業の部長さんたちが言っているらしい。
そういう教育ができていない現状の大学院が「失われた2年間」とまで呼ばれているとは知らず、さすがにショックでした。
個人的に思うのは、そういう企業側のニーズを特に学生が知らないのではないだろうか。
大学で教育に悩む友人の言葉を聞いているとどうしてもそんな気になって仕方がない。

さて、開始後は幸いシンガポールの国防科技局(Defence Sci. & Tech. Agency)の若者たちと同席。
偶然にも同時期にMITにいたことも判明し、色々と話が弾んだ。

シンポジウムにつきもののエンターテイメントも今回は多民族国家の特徴を繁栄して、インド系、マレー系、中国系、などなど多岐にわたるダンスショーが繰り広げられた。
その後、主催のシンガポールメンバーが壇上に上がり挨拶して拍手喝采。

で、終わると思われたところに日本代表の先生が壇上から
「Japanese delegation come up on the stage!」と号令。
???と思いながら上がると、
「これまでの成功に対するシンガポールに感謝の気持ちと、今後の成功を日本式に祈ります。で、三三七拍子」会場も巻き込んで三三七拍子。多分欧米人には良く分かってもらえなかったとは思うが拍手喝采。
写真はそのときに壇上から撮ったもの。

そうすると対抗意識からか?2010年にアジア・パシフィックのカンファレンスを主催する台湾、中国、韓国と次々と壇上に上がって同じようにパフォーマンス。皆で気勢&奇声をあげる。
イスラエルくらいまでは良かったのが、あとは何でも有りでラテン系の人が集っておどりーの(何故か日本人の先生一名登壇)、ヨーロッパが大集合してQueenのWe're the championを大合唱しーの、アメリカ人が大挙して歌いーの。

エライ人達が子供のようにはしゃいでいるのを見るのはなかなか楽しいものだった。
パーティーはこうでないと。

Day 3 -Symposium in Singapore-

20090719_day_3_1 目覚まし時計を止めたのが6:45、そこからさっと身支度して7:15に会場入り。
発表当日の朝は7:15-8:00のスケジュールでSpeaker/Chair Persons' breakfastなるものに出席するためだ。
これは簡単に発表者とチェアマンが発表の手順と発表者紹介の内容を確認するための時間だが、同じセッションに出るもの同士で情報交換と親交を深めることができるとても良い仕組みだと思う。開催される時間帯を除いては。

期待通り、ドイツ人のセッションチェアと色々情報交換もできたし、今回のシンポジウムのスローガンでもある文化に基づく面白い失敗談も聞かせてもらうことができた。その面白い経験談を2つ紹介したい。

一つ目は日本の組織とある機器の共同開発の進行状況を打合せに日本に来たときの話。

相手のアウトプットについて、「ここがおかしい、ここも不十分・・・・、なので直してください」と指摘して会議を終えたんです。当然その夜は遊びに連れて行ってもらおうと思ってたけど日本側のエンジニアは忙しくて相手にしてくれなかったんで仕方なくホテルにこもってました。で、次の朝また打合せの続きの場に顔を出したら、いやー驚きました。昨日指摘したことが全部直っていて。なんでもみんな徹夜で指摘箇所の対処をしてたって言うから信じられんかったけど・・・やってもたわっはっはっは!

二つ目はロシアと共同開発のプランを摺り合わせににロシアに行ったときの話。

相手はお互いの原案が折り合わんかったんで、それこそ15くらいの妥協案を出して議論したんですけど、ロシア側はどーーーーしてもうんと言わんかったんです。そやからこっちも頭に来たし2日間それこそ怒鳴り合いをして、結局成果無しで帰ってきました。で、ボスに相談してちょっとトレーニングを受けて、ボスと一緒にもう一度出かけてボスが交渉したら30分でカタが付いた。何故か。まず同じレベルと相手が感じるキーである同年代同士で話をしてもらったから。そして「妥協案」と言わずに「現実的でベストな解決策」と言ったから。妥協することは誰かの顔を潰すことになる。ロシア人はそれを決して受け入れない。

なるほどー。ためになりました先輩。で、最後に一言。

まぁどちらも自分がプロマネやったけど20代やったしなー。若かったわ。

20代でプロマネですか・・・。そちらにもびっくり。

さて、自分の発表は何とか無事に終了。50人くらいもの強者が集まる中での発表は相当緊張したし、舌も噛んだりしたけれど、共著者や知人からも「堂々としてて、流ちょうで良かったよー」と言ってもらえるとホッとする。まぁ相当評価基準が甘いんちゃうかと思いつつもやっぱり嬉しいもの。

やっと肩の荷が下りました。ふぅ~。

2009年7月21日 (火)

Day 2 -Symposium in Singapore-

20090719_day_2_1 今日は朝から幾つか聞いてみたいプレゼンが有ったけれど、求められてとあるミーティングに出席。

主にアジアからのメンバーで議論の主題に上がったのが「言葉の壁」。

どうしてもSEのスタンダードやハンドブック、事例などは英語で提供されるけれど、ローカル・コミュニティに広めるにはその国の言語にしないと普及しないという事で一致。どこも状況は似たようなものらしい。

情報発信の観点からは英語の方が汎用性が有って良いのだが、受け取る方、特にアジア言語圏ではローカライズが非常に大事なのはどうやら事実のようだ。PMIも日本支部(旧東京支部)がなければこれだけ広まっていたかどうかは疑わしい。
まず普及させるには情報を受ける側の壁を提供する側が崩さないといけないのは良く分かるのだが・・・何せ大変だ。これがいわゆるスタートアップから安定的な規模にするために渡りきらなければならない"Dead Valley"というやつだ。

さて、夕方は明日のプレゼンの準備をして、現地の友人と待ち合わせ。結婚相手も連れてきてくれるはずだったのが風邪でダウンしているとのことで会えずじまいで残念だった。
それでも連れて行ってくれた中華料理屋(安くて何を食べても本当に美味しかった!感謝!)で旧友の近況やお互いの趣味、仕事、シンガポールの状況、文化、生活など、2人で時間を忘れて楽しい話ができた。やはり持つべきは友。

2009年7月19日 (日)

Day 0 -Symposium in Singapore-

20090719_day_0_1 20090719_day_0_2
今日からシンポジウムに参加している。会場のSuntec Convention Centerはショッピングモールも併設されている超巨大な複合施設だ。会場の周りを買い物客が歩いているのもなんだか不思議な感じ。

さて、明日からのシンポジウムの開催に先立って今日は2件のチュートリアルと多数のビジネスミーティングが開催された。
このシンポジウムは普通の学会とは異なり、どちらかというと関係者が実際に会ってディスカッションやネットワーキングを行う場としての役割が非常に強いし、ワーキンググループなどの活動がとても目立つ。どちらかというと巨大なビジネスミーティングといったところ。

そのためなのか、会場はゆったりとしているし、軽食や飲み物などのリフレッシュメントもふんだんに提供される。もちろん無料の無線LANや事務用品なども使えてとても便利。会費分?しっかりとしたホスピタリティが提供されている。

自分は朝8時半から(INCOSEの朝はやっぱり欧米のビジネスミーティング並に早い)、MITでの論文アドバイザーが主催したチュートリアル、Epoch Based Analysis: A Method for Designing Systems for Dynamic Futureに参加。景気の善し悪しや環境保全、経営形態など様々な要因によってシステム開発に対する要求が変わってくることを視野に入れて最適なシステムを設計するという考え方を学ぶもの。
もちろん、どう予測するかやその影響をどう考慮してシステム評価モデルを組むかというとても難しい課題は残ってしまう。

とはいえプロジェクトが、開始時に立てた目標はそのときの状況しか考慮していないのに環境要因の変化に伴って求められることが変わってくる事への対応に四苦八苦しているような話を実際に色々なところで聞くので、多少はスペックが落ちてもロバスト性を確保する事は必要だと思うし、難しいからと言って放っておいて良いわけではないはずだ。だから少しずつでも取り入れてみたい考え方だと感じた。
問題は意志決定をするトップマネジメントが理解しないと実装が難しいことか。

ともかく、グループワークも有ってなかなか面白いチュートリアルだった。

今週は毎日の状況を簡単に報告したい。

(写真はシンポジウムの受付と会場のエントランス。)

初めての

20090718__2 今日からシンガポールに来ている。
初めてアジアで開催されるINCOSE International Symposiumに参加するためだ。
明日は早速半日のチュートリアルを受ける予定。

そのシンガポールに来る時に乗った飛行機が写真のAirbus A380。
昔Airbus社の工場で第一号の生産現場を見て衝撃を受けてから、いつかは乗りたいと思っていたのでとても嬉しい。
搭乗口に来るまで全く知らなかったのだが、幸運にも初めての搭乗。もちろんエコノミークラスだが、最新鋭機だけあって快適に過ごせるような工夫やサービスが飛行機自体に組み込まれていたし、アテンダントの良さも手伝ってとても快適だった。

そしてホテルにチェックインしてからは、早速シンガポール在住の友人2人に電話。
特に一人はまだ会ったことのない結婚相手も連れてきてくれるらしいので、滞在中に会えるのがとても楽しみだ。

とはいえ、直前までPMPの試験に手一杯で(何とか無事に合格!)プレゼンの準備がほとんどできていないのでそれも頑張って仕上げないと。これだけせっぱ詰まっている論文発表も初めてだ。(まったくもって堂々と言えないことだが・・・)

などと初めてづくしの一週間、頑張って有意義な時間を過ごせるよう頑張ります。

(写真はシンガポール到着直後のA380。既にエンジンのメンテが始まっていた。)

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