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2007年1月14日 (日)

授業 The Human Side of Leading Technology

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例1)P&Gという日本でもおなじみの会社がアメリカ本国で発売している有名なマウスウォッシュ、最初はミントの緑色だけだった。2色目、スペアミントの青色が開発されてから実際に発売を決定するまでに10年かかった。なぜだろうか。

例2)1950年当時、時計と言えばダントツでスイスだった。今でも技術は世界トップだが販売個数は日本にとっくに抜かれ、雇用者数は40%に、企業の数は当時の30%にまで減ってしまっている。
なぜだろうか。

例3)1950年代、技術の花形は真空管だった。当時の真空管メーカは高い技術開発力を有していたにもかかわらず、トップ10社のうち1975年には2社しか生き残ることができなかった。
なぜだろうか。

皆さんも技術的には他よりも優れている商品や企業が、なぜか失敗してしまった例を一つくらいは挙げることができるのではないだろうか。最近の例ではCDよりも音質が明らかに劣るMP3での音楽販売が大幅に伸びているのに対して、CDをしのぐ高音質のスーパーオーディオCD・・・知っている人でさえどれだけいますか?DATって覚えてますか?


ちょっと前置きが長くなったけれども、この授業はそのようなことがなぜ起こるのか、技術とビジネスをマネージメントしなければならない企業やマネージャはどう取り組まなければならないのかを考えるものだ。日本の大学の工学部ではなかなかお目にかかれない授業ではないだろうか。授業では主に過去の事例を元にして、エンジニアの陥りがちな問題点や、技術者の論理で正しいことだけでは経営層をなぜ動かせないか、なぜ経営層が間違った判断を行って企業を破滅させるのかを面白く語ってくれる。

教鞭を執るProf. Ralph Katzは技術革新に基づいたプロジェクトマネージメント(プロジェクト管理)、エンタープライズマネージメント(企業運営)の研究者で、MITではSloan Bussiness SchoolのResearch Associateだ。

このKatz教授、授業自体は身振り手振りを交えながらおもしろおかしく、しかも機関銃のようにすごい早口でしゃべりまくるのでコメディアンとしても通用するくらいに爆笑の渦が巻き起こりっぱなしなのだが、質疑応答で下手な質問でもしようものなら容赦なく「口撃」されてぐうの音も出ない学生が頻発する。さらにアメリカのメディア、企業、商品、文化を知っていることが前提で事例を話すので、僕は最初の授業では言っていることの5~7割しかわからなかった。

「正しい回答など実際に市場でやってみなければ誰もわからない」ので試験はしないらしい。しかしグループワークが課されてその結果(データの使い方や、論理の妥当性など)で評価されるとのこと。つまりいかにしてその回答にたどり着いたかが問われるわけで、結果が良いか悪いかだけで判断されるよりはしんどい。
授業は1月だけの集中講義なので、来週から毎日授業があって楽しみだが怖くもある。

写真は授業の教科書にもなっている彼の著書。事例も多い分、分析も濃い上に高額なので興味本位で読むにはヘビーですが、技術開発とビジネスのバランスが取れたリーダーを目指す人にはお勧めの本です。日本でもAmazon等で購入可能なようです。

興味がある人がいれば、次は授業の中身も詳しくお伝えしていきます。

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コメント

>AerospaceMBAさん
そうですね、MBAとは観点が少し違うと思います。「技術的に優れているだけではだめだ!」と言ったときに注目する対象が経営分野ではなくて、顧客、技術者、経営者、その他全てを含む人間の行動心理の分野になっていることです。
教授の所属はSloanなのでMBAで教えている人のはずなんですが、MITのMBAもかなり異色のようですから・・・。彼は決してエンジニアが好きな訳じゃないみたいですけど(笑)
クラスメートの評価も高い授業なので今後も取り上げたいと思います。
余談ですが授業を受けていて一番感心するのは、どれだけ話が脱線してもピンポイントで脱線した元のところに戻ってくることですかね。

面白い授業ですね!とくにMBAとの違いが如実に表れていていると思います。

MBAでは、エンジニアの熱い情熱に引っ張られてビジネスを進めていくといかに失敗することが多いかを習います。そのために、経営者としてしっかりお金と組織とタイミング、マーケットトレンドをうまくマネジメントするようにと。

技術的に優れているからといってビジネスで成功するわけではないことをまず認識することから全てがスタートするというわけです。

エンジニアメインの観点なのか、経営者メインの観点なのか、その違いが見えて本当に興味深いです。

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