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2007年4月15日 (日)

授業 Humanside of Leading Technology (Vol.4 Final)

20070414_1 この授業で最も考えさせられたケースが1986年1月28日Space shuttle Challenger号の爆発事故について。初の民間人で高校教師を含む7人の宇宙飛行士が亡くなり、シャトル打上を32ヶ月も中断させることになったあまりにも有名な事故である。
この事故について僕が知っていたのは、打上の規定温度を下回りかねない予報が出ていたため、低温環境下での打上はリスクが高いとして打ち上げ延期を進言したエンジニアに対して、「いつ打ち上げるかはマネージメントの仕事だ」として経営陣が強行的に打ち上げたということ。

しかし授業で上映された(もちろんごく一部のみ)このビデオを見て少し考え方が変わった。安かったので思わず買ってしまった。そう、少なくとも状況はそんなに単純ではなかったということがひしひしと伝わって来たのだ。

さて、当時NASAはこの打上に対して外部から並ならぬプレッシャーを受けていた。初めて民間人が搭乗すると言うこともあって世間の注目は非常に大きなものがあったし、最大規模の報道陣が詰めかけていた。にもかかわらず既に4回も打上が延期されており、スケジュールの遅れに対するバッシングが始まっていた。
一方で、シャトルの両側についている固体燃料ロケットブースター(SRB)を提供しているMorton-Thiokol社のシニアエンジニアのRoger(後に大統領直下の原因究明チームのリーダーに任命される)は以前からSRBの品質のばらつきが気になっていた。過去24回のフライトで取れたデータと回収したSRBを分析した結果、低温での打上時にOリング(オーリング、水道のゴムパッキンのようなもの)を燃焼ガスが漏れかけていることが何度かあった事がわかっていた。しかし開発に当たって低温環境での試験は決して十分だと言えるものではなく、設計変更はもとより追加試験をするためには莫大な費用がかかる。そして何よりSRBは開発が「終わっている」製品であり、既にシャトルは24回も無事に飛んでいることが、短期間で追加でデータを取ることを非常に難しい状況に追い込んでいた。社内の責任者に相談しても「現に上手くいっているのに何を今更」「考えすぎだ、ちょっと休んだ方がいいんじゃないのか?」と言われる始末であった。

そしてNASAによる打ち上げのGo/NoGo判断会議を前にして、Morton-Thiokol社での会議ではRogerが延期を求める意見を技術部門の副社長、Bobに提言する。Rogerは言う。「この状況での打上はリスクが高すぎる。過去のデータを見てももう少しでシールの部分が異常を起こしかけている。華氏53度(摂氏約11度)以下での打上はやめるべきだ。データは無い。しかしSRB開発に長年携わってきた私のエンジニアとしての経験がそう言わせている
Bobは非常に迷いながらも彼の提案を受け入れて進言することにしたが、やはり計画部門の副社長と折り合いがつかず、打ち上げ前最後のタイミングでテレコンを設けてNASAに提言し、判断を委ねることにする。

NASAの担当者が言う。「打上を中止させる積極的な理由があるのか」、もちろんRogerの必死の説得も「データは無いが私の経験と勘を信じてくれ」という言葉では打上を進めたいNASAを途惑わせるばかりであり、「SRBのスペックは華氏40度以上で打上られることとなっている。今更それを変えてくれと言うことか」というとどめの一言に、とうとうMorton-Thiokol社側は何も言い返せなくなってしまう。しばらくの沈黙を置いてNASAからの最後の言葉。
「理由が示せないならエンジニアができることはもう何もない。その席からエンジニアに退席願ってくれないか。後は運営責任者だけで話がしたい」。
Morton-Thiokol社にはそれを断ることはできなかった。と、同時にシャトルの打上にGoサインを出さざるを得なくなる。

この話がどれだけ事実に沿っているかは、あまり大したことではない。実際にこういう状況に追い込まれたときにマネージャーや責任者はどういう判断を下すべきか。外部からの多大なプレッシャーとエンジニアの"I have NO DATA."という言葉との間で、どういう判断を下すべきか・・・・・。

正直に言って僕にはわからない。皆さんなら、どう考えますか?どういう立場ならどういう行動をとりますか?少なくとも言えるのはこの話が追い込まれたマネージャーとエンジニアだけではなく、宇宙飛行士、そしてそれぞれの家族、誰にとっても不幸な結末だったと言うことだ。自分はシステムエンジニアとして、そしてシステムエンジニアリングが、一つでもこういう判断をしなくてはならない状況を減らすことができるようにしたい。

最後に打上失敗後の原因究明委員会の中でも重要な役割を果たした委員、R.P.Feynman(ノーベル物理学賞受賞者)氏による個人的なレポート(Rogers Commissionの正式レポートの付録)は一読の価値有りです。英語が苦手な方はこの本がお勧めです。何故か知らないけれどもこの本は家に昔からあって大好きでした。

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コメント

>うっちーさん
難しいお題にコメントありがとうございます。
ほんと難しい。授業でもあまりに難しかったのか議論があまり弾みませんでした。
余談ですが、Safety Engineering専門の教授が言うには、プロジェクトで犠牲にされるのはスケジュールでも性能でも予算でもなく、必ず信頼性であると。
追い込まれたときには普段取らないリスクを取って、根本的な問題を回避しにかかるのは人の性ですかね。

とっても難しいね。。。
後から結果だけを見ればなんとでも言えるけど、リアルタイムの状況で自分だったらどうしたか。

また、結果だけを見れば大丈夫だったことでも、リスクを考えて見ると実は正しい判断とは言えないってことも多いだろうしね。

結局、周りの状況等に左右されない、自分の確固たる判断基準を持てるかどうか、またそれを貫き通せるかなんだろうけど、言うは易し行うは難しだね。

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