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2007年4月24日 (火)

Tesla Motors and SE

20070423_1 いくらLotusから経験のあるエンジニアを集めたとはいえ、なぜ短期間で電気自動車を開発できたか。講演してくれた人の考えでは、端的に言うと「システムエンジニアリング(SE)を可能な限り無視したから」だそうな。

要求と仕様の紐付け(つまり車の機能や性能が顧客の欲しいものとあっているか)も無し、文書作成も可能な限り無しである。

もちろん、ビジネスとしてのマーケティングは非常に綿密にやっているはずだ。

  • スポーツカーというマーケットセグメント(高級、少数、趣味)の選定
  • 情報発信戦略(Appleのように、形がまだない頃からとことん期待感をあおる)
  • セールス(マスメディアによる広告は一切せず、ニュースリリースのみ。メインはHPでできるだけ詳しい情報を載せる、ブログの更新とコメント対応は幹部の重要な仕事)
  • 開発戦略とスピード、価格

個人的には、このケースに限っては僕は正しい選択だったんじゃないかと思う。
電気自動車のスポーツカーという誰も作らなかったものを、エンジニアが「こんなのあったらおもしろいんじゃないか、出来たら魅力的だよな」というものを有能な経験者がガシガシと作っていく。管理によるオーバーヘッドを最小限にして、いいものをさっさと作ってしまうのだ。どうやって開発を進めればいいか、何が重要かを共有している経験者が沢山いればSEは無くとも1台車を開発するくらいは十分できるはずだ。

なんてったってSEは数式や自然の摂理で構成されているわけではないのだ。

とはいえ、彼らもWhite Starの開発では大幅にSEを導入しているとのこと。顧客要求を重視して、システマティックに開発を進めるため、特に航空宇宙産業のシステムエンジニアを多く採用しているらしい。

その理由として開発で一番問題だったのは、目標性能が維持できなかったり仕様変更をするときに各部で玉突き式に発生する問題を、場当たり的に力業で解決していくことと、全体の整合性をとることで、これに振り回されて非常に疲れたとのことだった。また無給電航続距離も発売後に400kmから320kmへとスペックダウンしている。

この車ははっきり言って大量生産していける商品には仕上がっていない。どれだけ大目に見ても、まだ単に電気自動車が「金持ちのおもちゃとして」市場に受け入れられることを示したにすぎない。

それが理由かどうかわからないけれども、White Starがベースとする車のモデルとその製造はFord Mexicoが担当することになっている。彼らは本気で年間1~2万台売る気のようだ。

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コメント

>いまさん
そうなんです。
ただ重要なポイントは、共有している暗黙知や、自分たちの記憶力とチームワークだけでコントロールところと、フォーマルな方法を使って明示的にコントロールするところを見極める事にあると思います。
それを間違うとどちらにせよ破綻する可能性が高くなるかと思います。

SEが万能ではないことを示すいい例ですね。

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