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2007年5月24日 (木)

First Mover Advantage

20070523_1 新しいジャンルの商品を開発して、他社が類似品を送り込む前に自社製品を普及させることで市場で優位なポジションを取れるメリットをファースト・ムーバー・アドバンテージと呼ぶ。SONYのウォークマン、オンライン決済のeBay、オンライン販売のAmazonなどはその類だろう。

しかし、最初に市場に登場した商品や企業が必ず良い結果を残しているかというと、そうでないことは明かだ。市場に出すタイミングが早すぎて消費者に理解されなかったり、後から参入してきた大企業が生産力と流通力に物を言わせて多様なマーケットセグメントに合わせたバリエーションを展開したり、他の商品と組み合わせて非常に安価に提供したりで、あっという間にシェアを失ってしまう事もある。もちろん単純に改良されたり、付加価値をつけた商品の登場によって魅力を失ってしまう場合も多い。

どうやって市場の中で価値を生み出し、それを自分たちで掴むか、これは非常に難しい。
インターネット黎明期のWebブラウザ、Netscapeのように市場を制覇していてもInternetExplorerが無料でWindowsに含まれるようになってからは一気に凋落するものもあれば、逆にRedHat Linuxのように無料でだれでも手に入れる事が出来るものから独自の価値を生み出して利益を得ている企業もある。

「日本企業は新しいコンセプトの商品やサービスを市場に投入する能力に乏しいけれども、新しく出てきた物を改良し、高品質で安価に大量生産して競争力を維持している」とアメリカでは分析されている。それでも'90年頃から商品のライフサイクルが劇的に短くなってきていることや、アメリカを中心として特許の適用範囲が拡大されるに従ってこの日本型ビジネスモデルもうまく働かない場合も多くなってきていると思う。
実際、日本企業もいかにして他社や他の規格に先だって斬新で魅力的な商品を市場に送り込むか、事実上の標準規格の地位を奪うかに、しのぎを削っている。

もし自分が新しい技術を開発した場合、ベンチャーであれ大企業であれ、市場に打って出て成功するためには市場の動向を分析する必要がある。特にベンチャー企業であれば限られたコア技術を持って戦おうとするので非常に重要だ。その指標の1つが今回の図。技術と市場の発展スピードを予測して、自分が戦おうとしているフィールドがどこにマッチするかを分析するものだ。

  • 技術の発展、市場の成長共に緩やかだと見込まれる場合

最近はあまり見かけないジャンルかもしれない。普及に時間がかかるけれど将来的に市場の規模が非常に大きいと見込まれる場合、長期投資が可能な大企業には魅力的な市場だけれど、ベンチャーには概して向かない。

  • 技術の発展は緩やかだが、市場の発展が早いと見込まれる場合

市場にニーズがあるのに製品が出回っていない状態。実際はレアなケースだけれども発明品に近い物が多いと思われる。ベンチャーには一番ねらい所。高いマーケットシェアを取れなくとも十分に利益が見込める。

  • 技術の発展は早いが、市場の成長は緩やかだと見込まれる場合

技術がニーズを生み出していくタイプのジャンルだ。この分野は短期で利益を上げなければならないベンチャーには全く不向きだ。大企業でも上手く新規参入するのは非常に難しい。どちらかというとある程度市場が成長したところで大企業が参入してシェアを奪っていく傾向が強いようで、いかに参入するタイミングを掴むかが成功のキーになるので、積極的に待つ戦略が重要。
近年の例ではデジカメやコンピュータのマイクロプロセッサ、オンライン販売サービスなどが該当する。
非常に強力な技術開発力と資金力がなければやっていけない。

  • 技術の発展も、市場の成長も早いと見込まれる場合

上手く渡っていくのが大変な状況。ただしベンチャーにとっては、ニッチマーケットを中心に小回りをきかせられるチャンスはある。大企業には長期の安定した利益をもたらすのが難しいことから新規参入は難しい。大規模なマーケティング能力、販売チャネル、製造力、そして強力な技術開発力が必要。
PC関連製品やネットワークビジネスがこれに当たる。

いずれにせよ、重要なのはいかにして技術とビジネスの両面で「タイミングを見計らうか」と「スピードについていくか」なのだけれど。

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