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2007年7月 2日 (月)

ものづくり ~ニーズ、要求、仕様~

20070701_1 ニーズ、要求、仕様、どれもビジネスの世界で良く聞く単語だけどそれぞれどういう意味を持っていてどう違うのだろうか。これには産業や対象製品によって独自の定義が沢山あるので万能の解は無いけれども、僕がシステムズ・エンジニアリングを学んで来た中で次のように理解している。

ニーズはお客さんやユーザーが、製品やサービスに対して何を期待しているか、または何をして欲しいかを表現したものだ。非定量的で抽象的な表現が含まれるかもしれないし実現可能かどうかもわからない場合がある。

要求は要件と呼ばれる場合もあるけれども、そのプロジェクトや製品に対して求められる事であって、あらゆるステイクホルダーから出てくる。システムやサブシステム、コンポーネント、それらあらゆる階層に存在するものについての機能、性能、構成品、試験、運搬、運用、廃棄、法律、特許、安全、経営、コスト、他製品との共通性、・・・誰が何に求めるかで数限りなく分類される。このうちニーズを元にユーザーが製品に求めることとして定められるのがユーザー要求だ。航空宇宙の世界ではミッション要求と言われる事も多い。
ユーザー要求がニーズと大きく違うのは「検証可能でなければいけない」ことだ。なぜならニーズは「こういう事がしたい」という希望にすぎないのに対して要求は履行することが求められるからだ。従ってこういう例は要求と言えない。4つの文中に少なくとも5つの問題点があることがおわかりいただけるだろうか。

  • いかなる場合でも安全が確保されること
  • できるだけ最大加速度を低くすること
  • 十分に長い時間静止できること
  • 不快感を与えない外観であること

最後に仕様というのは、製品を開発して顧客に受け渡すときに満たしていなければならない条件だ。往々にして要求と重複する事が多く観点の違いだけだと考えられている事もあるし、そういう場合も多いと思う。

さて、前回の記事で把握したニーズを元に、どうやってユーザー要求に発展させていけばいいだろうか。1つの方法としては、まずニーズをどれだけ満足させられるかを評価するパラメータを見つける。そしてそのパラメータがどれくらいの値や程度であれば満足&許容されるかどうかをユーザーと交渉して取り決めることで定めることが出来る。

そしてくどいようだけれども、ユーザー要求は基本的に「こういう事を実現して欲しい」という書き方がされるものであって、開発する側が部品のサプライヤーでもない限り「こういう方式のこれが欲しい」といった手段を書くことは少ない。なぜならばユーザーからするとニーズを満たして欲しいわけであって、製品はそのための手段にすぎないからだ。最初にこれが最良の手段だと思いこんで決めてしまうことは、そのときに想像していなかったもっと良い手段をみすみす捨ててしまうことになる。

簡単なことのようだけれど、ユーザー要求として実現手段が書かれていることが意外と珍しくないことも事実なのだ。そういう場合には「なぜ?」という問うべきで、「自社製品使いたいから」という答えが返ってくるのはまだ良くて(制約条件として扱えるから)、全く答えられなかったり「これが一番いい方法でしょ?」という答えが返ってくるともう一度原点に戻って再考する余地があるといって間違いないだろう。

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コメント

非常に勉強になりました。

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