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2007年7月15日 (日)

System Dynamics(その2) ~ミシシッピ川~

20070714_0 アメリカ最長を誇るミシシッピ川は度重なる洪水によって1700年代初めから流域住民を苦しめていた。当然の事ながら住民や地方自治体は「水が来る高さよりも高い堤防を各施設や河川敷に作る」ことで洪水に対応し始めていた。
もちろん各自治体は自分たちの領域しか整備しないので、片側の岸しか堤防が建設されないこともあったし、両岸に建設されたとしてもその州の範囲のみであることが当たり前だったようだ。
1840年代には平均的に2m近くの堤防が建てられたが、それでも洪水は度々起こったため連邦政府はミシシッピ流域対策の予算を組み各州に配分した。そのため各州は競って高い堤防を建設した。何故かというと川は堤防の一番低いところから溢れて堤防を決壊させる。どこも自分の住む地域が洪水の被害を被るのは嫌なのだ。

その結果、20世紀始めには堤防の高さは5mを超え、1950年代にはなんと9mに至り堤防の長さは万里の長城をしのぐ長さにまでなったらしい。そして洪水の規模はどんどん大きくなっていった。なぜなら堤防の高さが高くなり、川が沢山の水を蓄えられるようになったために、一度決壊してしまえばその分大量の水が流れ込むからだ。
川と堤防の整備が進むたびに政府は安全宣言を出してきたがその期待がことごとく裏切られたこともこの高さ競争に拍車をかけたのかもしれない。

これはもうすでに「洪水をどうやって防ぐか」ではなくて「どれだけ高い堤防を築いて自分のところで洪水を起こさないようにするか」という競争に他ならない。残念ながら1800年代の「洪水を防ぐためには堤防を作ればよい」という考えから脱却できなかった。やっと1993年の洪水を機に堤防建築競争はやめて、どこに水を逃がすかが考えられている。

20070714_1 この悲しい意志決定の歴史をシステムダイナミクスのモデルで極単純に表すとこうなる。システムダイナミクスは単に数学的なモデルを組むだけではなく、こういった社会現象もモデル化できる。

ちなみに使っているツールはVenSimという教育用であればフリーのツールだ。英語だけれど日本語入力は問題なくできるのでちょっと使ってみるにはちょうどいい。

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