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2007年8月31日 (金)

再びNY旅行(後編)

20070830_1_2 NYの物価は高い。大抵のアメリカ人は東京の物価が世界一だと信じているけれど同レベルのもので比べるとNYの方が東京よりも断然高いと思う。(ただし外食では1人分+αを頼んで2人でシェアするとちょうどいい量と値段になるので一概には言えない)
しかしホテルに至っては確実に高い。今回も手頃なホテルを探すのには苦労した。もちろん大人2人であれば簡素なホテルでいいし、自分一人であればベッドとシャワーとトイレさえ最低限機能すればどこでも大丈夫だ。トイレとシャワーは共同でもいい。

当たり前のことだけれど乳児連れだと状況は全く異なる。ベビーベッドの貸し出し、粉ミルクに使う飲用のお湯などのサービス、清潔さなどを考えてどうしても多少サービスレベルの良いホテルを選んでしまう。結果、自分が旅行で使うことになるとは考えもしなかった高級ホテルに今回は滞在したのだけれど、既にオフシーズンに入りかけていることで割安感があったのと、総費用で考えると日本から1人で安旅行するよりも安いのでまぁいいかと納得している。大阪から東京観光に行ったらもっと安いのではないかと一瞬思ったが深くは考えないことにした。
その甲斐あってかかなり期待通りのサービスで娘もホテル滞在を十分に楽しむことが出来たようだ。

1つおまけが付いてきたのは、そのホテルにやたらとテニスプレーヤーが滞在していたこと。2日目に気づいたのだけれど、ちょうどそのときはテニスのUS Open開幕直前だったのだ。
どうもそのホテルが多くの大会関係者の滞在に使われていたらしく、周りは大会一色。
朝は表に大型バスが列を成し、道の向かい側には黒塗りの大会公用車(なんとレクサスのSUV!)が路上パーキングを埋め尽くし、角を1つ曲がればVIPカーが並んでいて運転手達が談笑している。
VIPカーの革張りの後部座席にはスーツではなくてポロシャツ、短パン、テニスシューズの大男がどかっと座っていたりもする。
ラケットが10本くらい入りそうなキャリアーを背負ったアスリートがロビーにわらわらいる。
選手とコーチと思われる若者と中年のペアがそこら中にいる。
コンシェルジュに行くと、背中に黄色でUMPIREと大きく書かれた緑色のTシャツを着たおばさんが何かを相談している。
スターバックスに入るとアスリート達がみんなしてシリアルヨーグルトを食べながら水を飲んでいる。
寿司屋にも日本人選手?がやってきて、店員に声をかけてもらって「優勝できるよう頑張ります」なんて言っている。(唯一顔を知っている鈴木選手ではなかったが、開幕前日に生もの食べていて大丈夫なのか?)

残念ながらシード選手を見かけることは無かったし大会前日にNYを後にしたのだけれど、ちょっとだけお祭りの雰囲気を味わうことが出来たNYでした。

イラストはUS Openのポスター。ちなみに今回は自由の女神を10年ぶりに見にいったけど、相変わらずの大人気だった。

2007年8月30日 (木)

再びNY旅行(前編)

20070829_1 先週末は学期の間の休みを利用して家族旅行。3泊4日でNYへ行ってきた。
NYへは春学期が終わった後にも行ったので3ヶ月も経たないうちに再訪したことになるが、たったの3泊4日なので観光のネタが尽きることはない。

今回は旅程の一日を芸術鑑賞デーとして、メトロポリタン美術館(Metropolitan Museum)と米国自然史博物館(American Museum of National History)をはしごした。どちらも超巨大な施設なので全部をくまなく見て回ることはもちろん不可能だ。そんなことをしていたらそれぞれに1~2日かかってしまう。

朝から出かけたメトロポリタン美術館では、あまり興味のない分野(例えばアメリカ近代美術や中国美術)はほとんど見ずに、興味があったヨーロッパ近代美術やアジアの陶芸、エジプト遺跡などに絞って見て回った。
20070829_2 さすがはメトロポリタン、品数は豊富である。スペースもゆったりとしていて、場所によってはこんな神殿をどどーんと贅沢に展示してしまう空間使い。

 

 

それにきらりと光る逸品が沢山あった。
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ただ残念なことにあまり好きになれない作品も多かったので、ちょっと間延びしてしまった。それに改装中で閉鎖されているセクションがいくつかあって、行きたいところに自由に通り抜けられない事が何度かあって結構歩き回ってしまったのが残念だった。数は少なくとも僕の好きな作品が多く並んでいるボストン美術館とか、数でも質でももう参ったというしかない大英博物館と比べてしまうのも酷なのだが、満足と不満足が交錯する中で美術館を後にした。

 

20070829_7 さて、メトロポリタン美術館と米国自然史博物館はセントラルパークを挟んだ位置にあるので、セントラルパークを炎天下の中を歩いて移動。この日は非常にいい天気だった上に蒸し暑くボストンではかいたことのない量の汗をかいてしまった。
とはいえ悪いことばかりではなくて、夏のセントラルパークの風物詩?とも言える光景を見ることが出来た。見ている分にはまぁいいとして、まねしようとは思わない。

 

そして、あまり時間もなかったのでさっと見て回る予定だった米国自然史博物館。ここが今回のNY旅行で一番嬉しい誤算だった。もちろん夫婦揃って動物好きな上にスキューバダイビング好きなので海でも山でもなんでもこいと言うことが大きく影響しているのだけれど、ハッキリ言ってここは楽しい!

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メトロポリタン美術館に比べるとスペースも狭いし展示も配置がいまいちで動きづらい。それでも恐竜を始め生物の進化を化石や剥製で見せてくれるのでついついじっくり見たくなるのだ。
結局、古代生物のフロアはくまなく見て回ってしまった。海洋生物のコーナーは時間が無くてかなり端折ってしまったけれど実物大のシロナガスクジラはとにかく圧巻だった。

20070829_9 20070829_8 おまけは太陽系を学ぶコーナー。大きなimaxのドームもあってそれなりに力を入れているようなのだけれど、端っこにぽつんとあった火星探査機はご愛敬・・・。

 

 

とにかく、NYで芸術と科学を今回もたっぷりと堪能できた。さすがに年末休みのNYは寒いし混むし、自分自身もそれどころではないので次行く機会があるとすれば娘が大きくなってからだと思うのだけれど、そのときにも芸術&科学ははずせない。

2007年8月29日 (水)

Function, Project, Matrix(その2)

20070828_1 前回はファンクション制とプロジェクト制の特徴を説明したので、今回はそれらの良いとこ取りを狙うマトリックス制について説明するところから始めよう。

マトリックス制は、専門分野のグループとプロジェクトのグループを同時に置いておき、プロジェクトに所属する職員も漏れなくいずれかの専門分野に所属している状態である。そしてプロジェクトと専門分野グループを行き来することになる。こうすることで専門能力の向上とマーケットニーズへの感度向上を組織レベルはもちろん個人レベルでも果たしてしまおうという一石二鳥な制度なのである。もちろん仕事上の評価は仕事上の割合に応じて専門分野とプロジェクトのリーダー両方が行うことになる。

ちなみに、組織の中でプロジェクトグループと専門分野グループがあっても、人が行き来していなければ、マトリックス制とは言えないので注意して欲しい。もちろん人には特性が有るので、管理職レベルになればどちらかに固定することは有っても、若手までがどちらかに留まり続ける傾向が有れば、それは単に開発部門と研究部門が分かれているに過ぎないので、下手をすると両部門の乖離が進んでいく可能性がある。

と、ここまではマトリックス制がすばらしい制度のように書いてきたが、マトリックス制を敷いたからと言って組織が上手く回ることが保証されるわけではない。この制度にだって問題点はちゃんとある。まずは管理コストなどのオーバーヘッドコストが高く付く傾向にあること。
1人が2人の上司を持つ事になるので当然である。それにどちらの部門のリーダーも優れた部下に出来るだけ多くの仕事を割り振りたい。と言うことで優秀な人材を巡って部門間の調整が必要になる。

そして最も大きな問題は、その優秀な人材の確保合戦が始まることだ。たいていの場合、専門分野グループではなくてプロジェクトグループに優秀な人材が集まる傾向がある。人出不足の組織ほどその影響が強く表れるようだ。何故なら実際に顧客と納期を抱え、短期間で成果や儲けを沢山出しているのはプロジェクトグループであるからだ。逼迫した状況では、長期的な投資よりも短期的な儲けを、将来成果が出るかどうか不確定な研究よりも短期で成果が見える開発をとる方が魅力的だからである。こうして研究と開発のバランスが崩れると同時に歯車がかみ合わなくなり、研究部門が形骸化して開発部門とも乖離してしまいかねない。

ということで、ファンクション制、プロジェクト制、マトリックス制、どれをとっても長短併せ持っているし、完璧な組織形態はまだ見つかっていない。多分無い。
大事なのは、これらの長短を理解した上で自分たちの組織にはどの形態がマッチしているかを考えて選択すること。そしてその短所を補うべく組織それぞれにおいて、マネージャーの経営手腕が問われるわけである。

2007年8月28日 (火)

Function, Project, Matrix(その1)

20070827_1 Function, Project, Matrixと聞いて出てくるのは何だろうか。

期待している答えは組織の形態だ。

ファンクション制の組織とは、グループが専門分野毎に分かれている組織形態を指す。プロジェクト制はグループがプロジェクトチーム毎に分かれている組織だ。
もちろん、ファンクション制を敷いていてもプロジェクトチームが実際に動いている場合もあるし、プロジェクト制でも専門分野ごとの活動が有ることも否定しない。どちらに分類するかは、人が専門分野のリーダーとプロジェクトのリーダーとのどちらから仕事の評価を受けているかで決まる。

もちろん、どちらの組織形態にも長所と短所がある。
ファンクション制の場合は専門分野毎に纏まっているため、その専門分野の動向に敏感であり、組織全体がそれぞれの分野で高い専門能力を備える傾向にある。その反面、技術力の向上に傾注しがちで、マーケットのニーズに鈍感になって徐々にニーズとシーズの乖離が進む危険性がある。

逆にプロジェクト制の場合はシステム開発を通じて顧客と接する機会も多く、いかにして売れる製品を開発するかに傾注しがちになる。そのために各専門分野の動向に鈍感になったり保守的になったりすると同時に、専門能力が伸び悩んでしまう危険性があるのだ。

もちろん上手くやればどちらの制度でも問題は起こらない。しかし考えて欲しい。仕事が忙しくなってきたときに評価される仕事のペースを落として仕事上の評価を下げるリスクを背負ってまで、会社のために必要だからと言って自分が評価されないことを手を抜かずにやる人は稀だと言えるだろう。或程度までは出来たとしてもどこかで限界が来るはずだ。
単純なファンクション制とプロジェクト制はこのような問題が起こりがちなので、どちらかの方向に想定以上に傾かないようにルールを作って組織を舵取りしてやる必要がある。

マトリックス制はこれら両方の欠点を補って長所を生かす事を目的とした制度だ。(つづく)

2007年8月26日 (日)

カーナビ

僕はカーナビが好きではない。地図を読むのが好きという理由もあるが、一番大きな理由は単純で必要以上に沢山機能があるし高いからだ。1000円の地図が有れば大体は事が足りるし、万が一に道に迷ったとしても辺鄙なところであれば地図上で見つけやすいし、そうでなければ携帯GPSという手もあるし、最後にはコンビニにでも立ち寄って道を聞けばよいからだ。お店検索にしても事前に計画を建てるのが普通だったし、何なら携帯で事足りてしまう。

しかし、ボストンではカーナビを買ってしまった。
一つめの理由はもちろん必要に迫られたこと。ボストンは町並みが古く道が狭いので一方通行がとても多い。しかも日本の道路と設計思想が違うので何度も迷ってしまった。東に行きたいのにいったん西に行かされて、途中で分岐したと思ったら、ぐるーっっと円を描いていつの間にか東に向かうなんて事も度々だった。しかも日本みたいに交通標識が沢山出ているわけではなくて、道の入り口に小さーーーく通りの名前が書いてあるだけなので、夜はほとんど通りの名前が判別不能である。
それに加えて、妻が「英語で道を聞くなんてよーせーへん!」と言い出したので機は熟した。

20070823_1で、調べてみると米国ではハンディGPSで日本でもおなじみのGARMIN社を中心に安くて小さいカーナビがごろごろ出ていた。値段は$200~$600で、売れ筋は$400前後といった感じだった。これなら買ってもいい!と思って2月頃にAmazon.comで$385で購入したのがこれだ。

 

音声案内からお店検索も含めて大体の基本機能は揃っているし、車から取り外してハンディパーソナルナビとしても使えないことはないのだ。もっともこれは防犯上の理由から外から見えるところに金目の物を置かないよう、駐車時には車から取り外してダッシュボードの下のコンソールに入れておくという使い方をするためだけれど。こんな感じで車に乗せていて、こんな感じで取り外して使える。
20070823_2   20070823_3

もちろん安いだけあって、操作性はあまり良くないし、ルート設定も賢いとは言えない。設定したルートを事前に確認するような使い方には難があったりするし、かゆいところに手が届かない事も事実。それでもコストパフォーマンスと、カーナビにどれくらいお金をかけていいかを考えると魅力的だと思うし、日本語地図をインストールできないとわかるまでは本気で持って帰ろうかと思っていたりした。

こういうカーナビが日本でも発売されれば買うのになぁ・・・・と思っていたら最近日本でも売り出されたようで。

これは察するに、記録媒体がDVDやHDDだけじゃなくてフラッシュメモリでも可能になってきた事が大きいと思う。有る意味Technology Disruptionが起こっているわけで、高機能高付加価値を競うマーケットしかなかったカーナビ市場に、そこそこの機能と性能で小型ポータブルというセグメントが出来てきて、既存の大手メーカーがどういう対応を取るか見物である。

20070823_4 最後におまけ。道を走っているとこんなナンバーが・・・・アルファベットが使える米国ならではだ。

2007年8月24日 (金)

Digital Innovation

20070823_digital_innovation メールや電話などの間接コミュニケーションは、直接コミュニケーションの代替手段ではなくて補完する手段だと書いたけれど、その一方で情報技術の発達に伴って補完できるレベルが上がってきていることは間違いない。
身近な例で言うと、Skypeをするときに音声だけの場合よりもWebCamを使ってお互いの顔を見ながら話した方がずっとコミュニケーションがスムースだし会話が弾む(気がする)。1対1であれば相手の表情もハッキリわかるし、地球の反対側同士で話しをしているようには思えなくなってくる時がある。

エンジニアリングの分野でも、これまでは2次元の図面だけではなかなか説明できなかった複雑な形状も、3D CADの出現によって完全に形状情報が伝わるようになった。まさに百聞は一見にしかずである。

つまりは、これまで遠隔で伝えることが難しかったビジュアル情報が簡単に作れるようになって、さらにその質が上がってきたことと、頻繁にあって話しをしなくても遠隔でのコミュニケーションで事足りる割合が上がってきているということなのだ。わざわざ足を運ばなくても簡単に必要な事が済ませられるのであればそれに超したことはない。

日本のものづくりは、欧米に比べてチームでの密なコミュニケーションや組織を超えた連携が長所として長年あげられてきたけれど、情報技術の発展によってその優位性が徐々に薄らいできているのではないだろうか。
まして、開発サイクルが短くなって、コスト削減と人員削減でエンジニアの層も薄くなり、じっくりとことんコミュニケーションをとる事が出来なくなってきている気がする。

日本ではチームでのシステム開発において、簡単にコミュニケーションが取れるからか有って当たり前のものであって、さほど重用視されない傾向があると思う。コミュニケーションの質を上げるには、頻繁にミーティングを開いて進捗状況や新しい情報を交換しているなどといった漠然としたルールでは意味がない。
チームに必要な情報と、そのうち各個人が何に責任を持たなくてはならないか、どうやってそれをチーム内で共有して交換し合うか、そういったことが曖昧になっている場合は、チーム内でどのようにコミュニケーションを取っているか、どういう情報が必要でどこからどう流れているか、一度地道に見直す必要があるのではないだろうか。

要は仕事の仕方を把握した上で、便利でお手軽な情報共有ツールなどが自分たちの仕事をどうサポートしてくれるか考えれば良い。その上で、間接コミュニケーションと直接コミュニケーションの使い分けとバランスを考えるべきだろう。

日本では仕事のミーティングの後に必ず飲み会を開く人がいるが、意外とそこで行われるディスカッションに含まれる情報の価値は高かったりする。こうやって有象無象のチーム活動を通じて何となく議論が深まって情報が生み出されると同時に共有が進んでいく日本型のコミュニケーションと、役割と責任を明確にした上で情報を生み出して共有するプロセスさえ明確にして物事を進めていく欧米型(とはいえ、MITにいてもこれを上手くやっている人は意外と少ない印象がある)の良いとこ取りがナントカできないだろうか。

ということを考えるのが、実は僕の論文テーマと関係していたりもする。

2007年8月23日 (木)

50mの距離

20070822_1 今日、論文アドバイザーとの定期ミーティングが終わって1週間遅れで夏学期が終了。明日からは家族と過ごす時間が少しは取れそうだ。
とはいえ、授業がない休み中は研究を進める良い機会なのであまりゆっくりもしていられない。研究自体は進んでいるので良い評価をもらっているのだけれど、何せ論文自体をまだ全く書いていない。考えた事や分析結果を文字にするのは非常に時間がかかるので(さらに英語だし)、この休み中になるべく書いておかないと後でえらい目に遭うし、アドバイザーからもそれを心配された。

さて、皆さんが仕事で使うメールと電話、どういった人たちとのコミュニケーションに使うことが多いだろうか。大抵の場合は普段会う人、一緒に仕事をする人たちではないだろうか。とある研究結果によるとメールと電話の回数の約8割が普段顔を合わせて仕事をする人達とのコミュニケーションに使われているとのことだ。
自分のケースを考えてみても遠からず当たっていると思う。特に日本から米国に移ってきてもその傾向は全く変わっていないと言っていいだろう。仕事関係のメールはがくっと減り、逆にクラスメートとのメールが膨大な数になっている。

これはどういう事かというと、遠隔でのコミュニケーションは会って話しをする直接コミュニケーションの代替手段にはなりえず、あくまで補完手段だということだ。もちろんやりとりする内容が形式化されていて、決まった手順を踏んでいくだけだったり、簡単な情報交換ではこの限りではない。その他、SDMでも採用されている遠隔授業のように大部分が一方通行である場合にも同じだ。何もベースが無いところからディスカッションを重ねて物事を作り上げていく、例えばシステムを設計していく、試験や運用の計画を立てていくなんて時には直接コミュニケーションは欠かせない。

しかしあまり遠くにいる相手とは直接コミュニケーションが取りにくいため、電話やメールなどで出来るだけ済ませてしまうことが多い。ここにミスコミュニケーションの危険性が潜んでいる。良くあるのは管理部門(本社)と開発部門が地理的に離れている場合だ。開発現場で何か潜在的な問題が生じていたとしても、管理部門からの形式的な問い合わせには概して「問題ないですよ」と言ってしまいがちである。普段から些細な話しをする仲でもない限り、「いや実は・・・」と言い出すのは問題が手遅れになる寸前のことが多い。
声のトーンや表情、ちょっとした仕草から伝わってくる情報は意外と多いものだし、人は本来相手との関係(これも距離というのは偶然ではないだろう)によって情報開示のレベルを変えるものだ。

では、どれくらいの距離が密な直接コミュニケーションを取れる限界なのだろうか。これまたとある研究の結果として、なんと50mだと教わった。15階建ての建物だったらどうなるのかという話しはさておき、オーダーとしてはそんなに間違ってもいないかなと思う。
もっとも僕の場合、日本にいたときには200mくらい離れたビルの間を一日複数回往復することも少なくなかった。さすがに疲れるけど価値はあったと言うことだろう・・・。

2007年8月20日 (月)

人と組織@システム開発

20070821_1 システム開発を行う組織において、組織内での「技術的な」コミュニケーションは非常に重要な要素だ。

どういう事かというと、問題解決のアイデアは個人が考え抜いた結果突然ひらめいて一件落着と言う事にはならない。個人がクリエイティブ&イノベイティブであることを前提にしても、常に同僚やチーム内でのアイデアの交換、議論の中で徐々に芽生えてくるアイデアがキーとなって問題解決に向かうことが多いということだ。
それにいくら個人が優秀でも組織になるとうまくいかないことも多い。何故ならビアゲームで説明した理由だけでなく、その優秀な個人が組織全体のメリットのために自分がマネージメントするグループの評価を下げる行動を取ることは稀だからだ。自分のグループ、自分が所属する本部、自分の部下、いずれにせよ自分が評価されるローカルな範囲でのパフォーマンスを最大化する方向に走るのが普通である。どこかに必ず見えない壁がある。
これらがグループでシステム開発に当たる組織の運営を難しくする(もちろん他の業種でも起こりえる)。

とある教授の50年にわたる研究の結果と経験によると、組織内でのコミュニケーションの取り方や社員の行動に大きく影響する要素が2つあるそうだ。
組織構成と職場のレイアウトだ。

組織構成は、例えばプロジェクト単位でグループが分かれるプロジェクト組織、技術的な専門分野単位でグループが分かれるファンクショナル組織がある。そしてそれらの短所を解決するためにいいとこ取りをしたはずのマトリックス組織。しかしマトリックス組織でも上手く機能していない会社が多いのは何故か?
また、社内の昇進制度も含まれる。同じエンジニアでも、徐々に技術専門職としての道とマネージメントの道に分かれていく事も少なくないはずだ。しかしマネージメントの道に進む方が早く昇進する企業が多いのは何故か?

物理的レイアウトは、個室で働く欧米スタイルと大部屋で働く日本(アジア)スタイル。さらには1つのビルの中でリフレッシュコーナーなどのオープンスペースをどこに置くか、グループ同士の位置関係をどうするか、設計、製造、試験、セールス、これらの部署を同じ敷地内でどう配置するか、もしくは全事業所を地理的にどこに割り振るか。グローバル企業であればその問題は大規模で難しくなる。日本では多くの企業が本社を東京に置く中で、松下やトヨタが相変わらず地元に本社と開発と製造拠点を持っているのは何故か?
いずれにせよそれによって人々のコミュニケーションや働き方に違いが出るというのだから面白いものである。

実はこれが春学期の授業で1つだけ全く紹介していなかった授業、Organizing for Innovative Product Developmentだ。教鞭を執っていたのはSloan Business SchoolのThomas Allen教授。もう70代の後半なので補聴器をつけて、椅子に座ったままタブレットPCとスクリーンを黒板の代わりに使って授業をされたのだが、その良く通る声と溢れるエネルギーで進める授業はとても面白かったのでこれから少し紹介してみたい。

さて、中身を紹介する前に、まず皆さんで考えてみて欲しい。
世界の裏側にいてもまるで隣の部屋にいるかのごとくコミュニケーションが取れる非常に便利なツールとして欠かせない電話やEメール。みなさんが仕事でやりとりする回数と相手との距離はどういう関係にあるだろうか。そしてその関係はどう説明できるだろうか。

(つづく)

2007年8月19日 (日)

たこケーキ

20070819_1 本当にどうでもいいことだけれど、インパクトに負けてしまった。
まず、蛸の形をしたケーキっておいしそうか?

しかもお手本写真、蛸って青か?

というか、その濃い青は何だ?

本物の蛸を食べない人たちの発想の柔軟さとこの国のセンスに驚かされるばかりである。
アメリカに住んでいれば、これくらいの色のケーキはそんなに珍しくないわけで緑や青を始めカラフルなクリスマスケーキを経験しているし、お店に売っている子供用シリアルもm&m'sみたいな色しているのだけれど。

自分のことは自分でするのがこの国の基本だけれど、コスト第一主義のこの国では食の安全については、多くの人が無関心なんだろうか、それとも安全な物しか使っていないと信用しているのだろうか・・・

いや、やっぱり何よりアメリカ人がポスターカラーのケーキを食べたいと思うのは何故なんだ?

2007年8月18日 (土)

2/3

20070818_1 一昨日はSystem Dynamicsの最終課題を提出、昨日はSystems Engineeringの授業で最終プレゼンテーション、そして今日はAccountingの持ち帰り試験(Take-Home Exam)を提出。これで夏学期は終了。

苦手なAccountingに一日費やして疲れたので帰ろうとしたら、残っていたクラスメートから「せっかくなんだからちょっと付き合えよ」と言われたのでキャンパス内のパブへ。そこでしばし10人程度でリラックスしていたのだけれど、何人かに「秋学期で卒業する予定か?」「卒業したら日本に帰るのか?」と聞かれて急にそれが現実味を帯びていることに気づかされた。
あっという間にスケジュールの2/3が終わっている。沢山のことを学んできたけれどそれを昇華して客観的に理解するまでにはもうちょっと時間がかかりそうだ。

残りの秋学期も授業3つと論文に追われてこれまで以上のスピードで駆け抜けていくことになるんだろうと思う。そうして気がついたら苦楽を共にしてきたクラスメートとは次いつどこで会うとも知れない別れ待っているんだな、などと傾いた太陽の光を浴びながら妙に感傷的になってしまった。秋学期が始まるまでの2週間、この夏を振り返ってみる時間を作ろう。

といいたいところだけれど、来週には論文アドバイザーとのミーティングが控えているので、もう少し夏学期のおまけが続く。そして休みの間にはこれまでの遅れを取り戻すべく、研究を進めなければ。

・・・じっくり振り返るのは帰国してからだな、これは。

写真はMITの象徴Rogers Building、通称Mini Domeの中から。

2007年8月16日 (木)

8月は秋

20070816_1 ここしばらく更新が滞る日が続いてしまったが、夏学期の最終レポートと試験も終わりつつあって後はアカウンティングの試験を残すのみとなった。秋学期が始まるまでの2週間、やっと論文に纏まった時間が割ける。そしてちょっと息を抜いてボストンとその周辺を見て回ってみたいと思う余裕が出てきた。

そんな中でふと気がつくと、最高気温が30度を超える日がめっきり減っていて朝夕が涼しくなっている。日本からは連日猛暑のニュースとメールが届くのでこっちも暑い気でいたけれど、よく考えたら日中は冷房が効きすぎた屋内にいることが多い。なのでちょっと外に出ると冷え切った体には暑く感じるし日差しは刺すようにきついのだけれど実際の気温は高くなかったようだ。

さらに驚いたことには、8月始めのセールは秋セールでそれもすっかり終わっていた。ボストンの8月は暦の上では秋らしい。そういわれれば木々の色も少しずつ変わっているし毎日の最低気温は10度台だ。

なんだか今年は夏が中途半端で終わってしまうみたいで少々寂しいけれど、ここニューイングランド地方は全米有数の紅葉が綺麗な地域ということなので、早めに訪れる秋をできるだけ楽しみたいと思う。

ちなみに紅葉シーズンは9月から10月。キャンパスに新入生があふれてボストンが一段と賑わうことになるだろう。

2007年8月13日 (月)

変わりゆくこと

20070812_1 アメリカにいてもWebニュースやブログをチェックすれば日本のローカルな情報がわかるのはとても嬉しい。
どこそこに日本一のビルが建つ構想が発表されたとか、あのショッピングセンターがリニューアルしたとか、とある駅前の和風カフェが閉店したとか。
でもアメリカでの生活に慣れてしまった今、それらの多くは日本にいたときのような現実感が無くなって単なる記号としての情報としか感じないのだ。

それでも今日知ったニュースには少なからず動揺してしまった。大阪難波駅のターミナルビル群のリニューアルに伴ってロケット広場がなくなり、ロケットも撤去されるというニュースだ。
ここは高校生の頃から待ち合わせによく使っていて、早く着いてしまったときなどにはこのロケットを見ながら相手を待つことも多かった。赤いNASDAのロゴとNIPPONという文字を見ながらここで今このロケットが打ち上がっていったら面白いのに・・・・なんていうとんでもないことも考えたりもした(間違いなく自分も吹き飛ぶ)。今の日本の主力ロケットH-2Aと比べると6割ほどしか高さがないけれど、ビルの間からまっすぐに天を向く30mを超えるN-1ロケットは高校生だった自分に将来を考える時間をくれ、そしてさらにはそれを楽しい時間にしてくれるのに十分なものだった。
時代に合わせて街並みが変わっていくのは当たり前のことだし、いくら感傷的になっても仕方がない。次に難波を訪れたときに、あの街が今の僕をわくわくさせてくれるように変わっていることを望むばかりだ。

もちろんアメリカで勉強しながら子育てしながら暮らしている自分も、毎日いろんな事がどんどん変わっていく。自分が好む好まないにかかわらず確実に変わっていく。それでも、どんなに忙しくても自分がどう変わっていっているのか、将来どう変わっていきたくて、そのために何をしているのか、立ち止まって考える時間を無くしたくはない。

遠い大阪の街に立つロケットを久々に思い出しながらそんなことを考えたのでした。

2007年8月12日 (日)

Sales Tax Holiday

20070811_1 日本の夏のバーゲンは7月頃だったと思うけれど、アメリカでは7月に加えて8月からバーゲンが始まるところも多い。最近はちょくちょくバーゲンに足を運んでは、日本に帰ったときの分も含めてこっちで買った方が安い物や日本ではなかなか買えない物を買い込んでいる。もちろん冬物は一番盛大にセールが行われるクリスマスの時期に買い込むつもり。

そして昨日知ったところによると、なんと今日と明日の二日間(8/11と8/12)はマサチューセッツ州内で買い物をしたときにかかる消費税(5%)が無料になるSales Tax Holidayなのだそうだ。アメリカでは州によって税金のシステムが異なっているので消費税率もSales Tax Holidayも異なっているらしい。例えばニューヨーク州では8.5%の消費税が無料になる日は8月の末に1週間ほどあるらしい。お隣のメイン州では消費税は0%なので毎日がSales Tax Holidayという何ともうらやましい状況だ。

とにかくこの日を利用しない手はない。バーゲンにも行きたかったので今朝は家族でモールまで出かけていった。しかし道すがら気づいたことがあった。マサチューセッツ州では衣料品や靴は1着$175までは非課税なのだ。結局バーゲンで買ったのは衣料品だけだったのでSales Tax Holidayの恩恵には全く預かれなかったことになる(30~50%のバーゲンで十分特をしているのだがそれは基本)。

20070811_2 それでは悔しいので日本に帰ったときに使う用のベビーカーを見に行くことにした。今は幼児用カーシートとセットになっているトラベルシステムというベビーカーを使っている。安かったしとても便利だけれどもうすぐ幼児用カーシートが合わなくなってくるのと、カーシートがつけられるため少しごついので日本に帰ったときには扱いにくいはずだ。なので軽量のB型ベビーカーに買い換えようかと思っていたからだ。

アメリカのベビーカーは日本のそれとはかなり違うと言っていい。特徴を簡単に言うと、でかくてごつくて重くて安いと言うことだろうか。道路の舗装も悪くて段差も多いので車輪はとても大きい。うちのはかなり日本人的な感性で選んだので車輪の大きさは直径20cmもないけれど、ジョギング好きのアメリカ人のために折りたたみ自転車の車輪と同じ物と思える物を使ってショック吸収機構を組み込んだ三輪車タイプなんかも沢山使われている。ハンドルの位置も欧米人に合わせてあるので僕にはちょうどいいけれど妻には高すぎて扱いにくいようだ。もちろんコンパクトに折りたためるのだけれど基本がでかいので車のトランクにもやっとこさ入る大きさ。そして重い。軽量タイプとうたっていても8~10kg有ることはざらである。しかしそれでも魅力なのは値段のせいだ。$100~$300で大抵のベビーカーは買えてしまうし、どんなに最高級品に属する物でも$500程度だ。物によっては同等品で日本の半額くらいなんじゃないかと思ったりする。

しかし何件か見て回った結果、妻が扱いづらくてはいくらお買い得でも仕方がないということで良いのが見つかるまではお預けになってしまった。

というわけで、有効活用できずに終わったSales Tax Holidayの初日だった。

2007年8月11日 (土)

Identity Crisis??

20070810_1 夏学期の山場がやってきた。授業の前後はもとより朝晩関係なくミーティングルームで議論を交わす熱い声が聞こえてくる。ご飯もミーティングをしながら済ませることもしばしば有るけれど、昨日は授業の後にサッサとミーティングを済ませてチームメイトの一人と木陰で気持ちよくランチを取った。
彼は、とある防衛産業に勤めるアメリカ人だけれども、育った文化や趣味に共通点があって何かと話しが合う。それで日頃から結構込み入った話も気軽に出来る仲なのだがそんな彼からいきなり出てきた言葉が

「最近、俺、アイデンティティ・クライシスかも」

だった。突然すぎて一瞬何のことかわからなかったけれど、要するに自分を見失っているということである。よく聞いてみると、卒業したあとに自分は何が出来て何をしたいかがわからなくなっているというのだ。彼はMITでコンピュータサイエンスの学士号を取り、エンジニアとして一流企業に就職し、SEを学ぶためにSDMに来ている。まだ20代で若い上に優秀だしキャリア上はとても順調そうに見えるのでとても意外だった。

エンジニアリングとは言いながら政治と企業間の駆け引きが支配的な防衛産業に嫌気がさした事に加えて、システムエンジニアの仕事を続ける前に特定の技術分野での専門性を伸ばしたいと思った事がきっかけらしい。

僕はどちらかというと1つの技術や特定の事象を突き詰めていくよりも、押さえるところを押さえて全体のバランスを取りながらチームで良い物を作るかということを考えていくことの方が好きなので、SEのプロセスやこのブログで紹介したようなSEツールを駆使できるようになりつつシステム設計が出来るようになりたいと考えている。もちろん彼のような悩みが全くなかったかというと嘘になるけれど、ハッキリ言って今は無い。

とにかくその辺は好き嫌いの問題なのでどうしようもないけれど、若いときにシステムエンジニアの道に進んでしまうとこういった悩みを持ってしまうことが多いのかもしれない。
確かにシステムという広い範囲を扱う前に、1つの分野をまずは極めたいと言う気持ちは普通なのだろう。これはとある上司の言葉だけれど、僕は多くの分野で2番になればいいと思っている。

問題は2番になろうと思ったら、たいがい1番になる気でやらないとなれないことなのだが・・・

いや、もちろんその気になったとしても簡単になれるってもんじゃないけど・・・・

2007年8月 7日 (火)

Top 10 Reasons

20070806_1 地下鉄Kendall/MIT駅前にはMIT Coop、つまり生協があって生活用品から学用品、教科書はもちろんのこと様々なMITグッズが売られている。観光客や学生本人だけではなく乳児から祖父母にまで対応した幅広い商品が揃っていてなかなか商売上手である。
その中に「子供をMITに入れた理由トップ10」が書かれたTシャツが売られていた。実は10年以上前にMITを観光客として訪れたときに気に入って自分用に買ってしまったTシャツがこれだった。その後長い間着ていたのだけれどさすがにもうダメになってしまっている。

懐かしくて手にとって読んでみると10年前とはいくつか理由が変わっている。以前は有った「年間3万ドルを使うのにこれ以上の理由は無いから」とか「紅葉シーズンにニューイングランドに行く理由が欲しかったから」などの理由が消えている。今の理由はこんな感じ。

  1. 風呂とトイレを昔のように自分の好きに使いたかったから。
  2. 冷蔵庫を開けたらちゃんと何かが入っている方が良いから。
  3. 子供が午前2:30にどこにいたかを知らない方が気分が良いから。
  4. 毎週の洗濯物が50kg減るのが嬉しいから。
  5. 午前1:30に電話が鳴ることがないのが嬉しいから。
  6. 小遣いが毎日ではなく月一回で済む方がいいから。
  7. 車を使いたいときに使えるから。
  8. 恋人が変わる度に会わされなくて済むから。人生を共にする一人だけで良い。
  9. 自分はエンジ色とグレーが似合うと思うから。(注:この2色がMITカラー)
  10. ボストンに行くまっとうな理由が出来るから。

・・・・アメリカンジョークとはアメリカ人しか笑わないジョークである、と言われる所以がわかっていただければ幸いである。

ちなみに写真が有ることからもわかるとおり、一枚買ってしまった。

もちろん親へのプレゼントとして。

そしてもちろんエンジとグレーが似合うだろうということで・・・・・・。

2007年8月 6日 (月)

ナントカ・アメリカン?

MITのStudent Centerという建物の2階にはファストフードを売る店がいくつか入っていて日本の大学と同じく学生食堂ともいえる雰囲気を醸し出している。一番人気は最近開店したこともあるだろうけれど日本でもおなじみのSubway。そのほかにはインド料理(カレー)、中東料理、和食がある。1階にはサンドイッチやピザなどを売るデリもあって、どこも似たような感じでにぎわっている。

20070805_1 その和食を売っている店の名前はShinkansen、英語名をBullet TrainとかSuper Expressという。さすがは新幹線、日本が誇る優れたシステムで何しろすごく速い。まったく良いところに目をつけたもんだと思う。
でも、この写真を見て気づく人は気づくだろうけれど、何かおかしい・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

やっぱり東北から九州まで思い起こしてもどの新幹線とも違うようだ。
肖像権の侵害を回避?確かに新幹線って名前は登録商標でもないようだし(未確認だけど)、これまた上手くやっているようだ。

20070805_2 で、何が売られているかというと、寿司とか大福も少しばかり並べられているけれどメインはこれ。照り焼きチキン(もしくはビーフ)と茹でた野菜(白菜、にんじん、ズッキーニ、ブロッコリーなど)が白ご飯(日本とは違う中粒米)の上にどちゃっと乗って約$5である。$1追加すると白ご飯を炒飯に変えることができる。
右の飲み物はBubble milk teaと言って、濃い「午後の紅茶ミルクティ」に黒くて大きいタピオカが沈んでいる感じで$2.7。

もう説明する必要は無いけれど和食ではない。中華系のクラスメートはこの照り焼きチキンを好んで食べているし、宗教上お酒を飲まずに甘いものが好きな中東系、インド系のクラスメートはBubble milk teaを好んで飲んでいる。
問題は「和食っておいしいよね、日本でもやっぱりこれをよく食べているのか?」と聞かれることで、その度に「この和食は日本では食べられない貴重なものである。」と冗談を言っている。

最初はみんなそれに驚くけれど、すぐにやっぱりそうかという雰囲気になって「あのインド料理はインドじゃ食べないよ」とか「中東料理だって中東に行ったら全然違うぜ」、「いやいや中華料理だって広い中国全部含めても全く別物だと思った方がいいよ」、「MITに限らずアメリカどこ行ってもそうだ!」という話しで盛り上がってしまうのだ。

先日は話しがエスカレートして、出てきた結論。

ここまで違ったらアメリカン・インディアンとかアメリカン・チャイニーズじゃなくて、もう全部ひっくるめてナントカ・アメリカンって方がふさわしいんじゃないのか?

あながち間違ってもいないのかも?

いずれにせよ、こういう物を食べていると味覚がおかしくなりそうな危機感を抱き始めているので、なるべく家でご飯を食べるように気をつけている。

2007年8月 5日 (日)

苦手科目

20070804_1_2 夏学期に取っている4つの授業はバラエティに富んでいるという話を前回した。

システムズ・エンジニアリングは、アラカルトでSEの考え方を学んでいく授業なのだけれど日本でやっていた仕事と関連が深いことから結構すんなりと理解できる。
しかもQCD(品質、コスト、納期)、SEプロセス、統合開発チーム、ロバスト設計、発見的研究法、などと言ったSEの考え方から、Pugh Matrix、House of Quality、TRIZ、Critical Parameter Managementと言ったテクニックを浅く広く学んでいくものなので、それぞれについては何となくわかっておけば良いというのが正直なところ。
授業自体の評判があまり良くはないけれど(たしかに上手い授業ではない)、それなりに学ぶことは多い。SEってもっと形式的なもんだと思っていたけれど、結局は経験があって判断が出来る人がいてこそだということと、経験豊富で判断力のある人がいるだけでももったいないなということが明確に理解出来たのは良かった点だろう。

システム・ダイナミクスはこのブログでまとめて紹介してきたとおり、エンジニアにはわかりやすいし(元々はSystem Dynamics for BusinessというMBAのコース)授業も面白いので何とかついていっている(と思う)。

サプライ・チェーン・マネージメントは、日本でものづくり系の雑誌とか日経なんとかを読んでいたことがあったからだと思うけれど、概略はすんなり理解できたし、何しろトヨタ生産方式を筆頭に日本企業をお手本にした話しが多いのでとてもやりやすかった。

 

問題はAccounting(会計学)だ。ハッキリ言って金勘定とか企業経営とかに興味が全く無い人生を過ごしてきたので知識もゼロだった。こんなに会計に頭を使っているのは保育園のお店屋さんごっこ以来だと言っていいだろう。さらには、これまでのエンジニアとしての経験も全く使えない。
教授の早口英語を聞きながら授業をフォローするのも一苦労である。正直言って後からWebVideoで授業を聞き直さないとついて行けない。
いや告白しよう、宿題の点数を見る限り、多少ついて行っていない(汗)。

これまでの他の授業を何とかやってきたと自負しているが今回ばかりは分が悪い。全く専門外の新しいことを英語で勉強するのがこんなに大変だとは思ってもいなかったのと、これまでは日本での経験にかなり助けられていただけだったのかという思いで少しショックだった。

それでも最近は徐々に追いついてきたのと、興味が多少持てる話題に移ってきたので楽しむ余裕が少しは出てきた。
もちろん教授もエンジニア集団であるSDMの学生が会計の仕事をやるとは、まっっっっっっっっったく思っていない。しかし将来会社を経営する立場やマネージャーとして判断をしなくてはいけないときには自社が置かれている状況や見通しをどうやって把握するか、そして専門家である会計士に何を相談すれば良いかを少しはわかっていて欲しいと言うことらしい。
授業の内容は、ちゃんと理解できた上で気が向いたら紹介したいと思う。

2007年8月 4日 (土)

夏休み?

20070804_1 8月に入って、クラスメートとは「夏も後半やな~」なんて話しをしている。もちろん皆が楽しみにしているのは夏学期の終わり。8割が終わってこれから宿題と試験とレポートの嵐を乗り切るために、その後の秋学期が始まるまでの短い休暇を励みにモチベーションを上げているといったところだ。
アメリカの大学生活を知っている人からは「今そっちは夏休みでいいよね~」なんて声も聞こえてくる。確かにMITキャンパスは夏休みに入って学生の姿はぐっと減ってサマーキャンプの中高校生や観光客でにぎわっているけれど、残念ながらSDMプログラムでは夏の間もしっかりと授業が用意されている。他学部の学生も取れるけれど、基本的にどれもSDM用にアレンジされている特別プログラムだ。

キャンパスに通う人も働きながら遠隔授業を受ける人も取らなくてはいけない授業は2つ

  • Systems Engineering(12単位)
  • Financial and Managerial Accounting(9単位)

キャンパスに通う学生はさらに1~3つ

  • System Dynamics for Engineers(12単位)
  • Supply Chain Management(9単位)
  • Lean/Six Sigma(9単位)

13~18ヶ月コースのクラスメートは大体が最初の4つ、合計42単位を取っていて僕も例外ではない。
ただし、夏学期は10週間あるけれど授業のボリュームは14週間の春秋学期と同じなので1.4倍圧縮されている。すなわち額面は42単位なのだが、実際は59単位。と言うわけで授業にかけている時間は大体70~80時間/週と言ったところじゃないかと思う。
Supply Chain Managementは7月後半で授業が終わったので、今はやっとその分を卒業研究に当てることができている。

とまぁ春学期と変わらぬ大忙しなスケジュールなのだけれど、授業はSystem Design and Managementの全ての分野に散らばっていてなかなか面白いので日本に帰ったときの仕事に関係あるなしにかかわらずに出来る限りのことを学んでいる(何より授業単価に直すと約$45/時間!1回さぼると$100飛んでいくと考えたら無駄には出来ない)。

写真は卒業式が行われるKillian Court。夏の日差しを浴びて緑が映える。

2007年8月 3日 (金)

アンバランス

20070801_2 一昨日、久々に本格的なバスケのゲームをやった。SDMプログラムと施設を共用しているLFMプログラムの学生達と一緒にやったのだけれど、彼らはSDMと比べて平均年齢が5~6歳若いだけあって手抜きでプレーしている余裕がない。というか久々のバスケだったこともあって頭じゃわかっているのに体が全然動かずもどかしい思いをすることになった。

一方で娘は昨日無事に6ヶ月を迎えた。週末には機嫌が良ければ記念写真でも撮りに行こうかと思っている。
ちょっと前には一人遊びを覚えて手が少しかからなくなったかと思いきや、最近は認識能力が上がってきたのと興味対象が広がっているので、逆に手がかかるようになってきた。
一緒に遊んでやると反応がハッキリしてきたのは嬉しいけれど、親の姿が見えていても一緒に遊んであげなければ泣くし、周りの興味あるものにどんどん手を伸ばすけれど届かなかったり上手く扱えなかったりでまた泣く。気がつくとコロコロと転がって行ってはゴミ箱をひっくり返したりで彼女なりに移動手段を身につけているけれど、本人はまだまだ思うとおりにいかないことが不満みたいで最近はいらいらしたりご機嫌斜めな時間が増えている。
この一ヶ月は身長も体重もほとんど増えなかったので(すごく動くようになったので少しスリムにはなった気がする)頭の成長に体が追いついていない感じか?
まぁしっかり泣いて遊んでいればそのうち自分で解決するだろう。

こちらも今年後半の論文作成のために、夏の内に体を作って体力を蓄えておかねば。

2007年8月 1日 (水)

System Dynamics(その8)

20070731_1sdloop 以前テレビのある番組でコメンテイターが「最近は技術が発達しているからシミュレーションで事前に何でもわかっちゃうんじゃないの?なのにロケットとか、飛行機とか、車とか(ちゃんと使っているのに設計が元と思われる)事故が何度も起こるのはおかしいよねぇ。」と述べていて、びっくりした覚えがある。

説明するまでもなく、実世界ありのままをシミュレーションするのは不可能なので、特定のケースにフィットするように単純化したモデルを計算に用いるわけで当然使える状況に制限があるし、誤差も必ずある。優れたモデルは数多くの実験データを集めて、多くのケースに小さい誤差でフィットするように工夫してあるわけだ。

なので、システムダイナミクスのシミュレーションモデルを組んで、それが定量的にどれほど現実とフィットするかを実データ無しに議論しても始まらない。定性的な傾向を判断するためならともかく、数字をはっきりさせたければ実際に類似のシステムを運用するなり、実験するなり、現象を観測するなり、なんなりしてデータを集めて自分が作ったモデルに反映させる必要がある。そうやって初めて未知のケースを予測するシミュレーションができるわけだ。

端的に言うと、論理が正しいかどうかを判断するにはそれをサポートするだけの根拠が必要なわけで、その根拠がどれだけ自分が対象とするケースで有効かつ信頼性があるかを吟味する必要がある。

ある程度の経験があるエンジニアの人には読んでもらうのが申し訳ないくらい当たり前の事を書いてしまったけれど、System Dynamicsはエンジニアでない人にも、算数の知識さえあれば(微分積分の定義だけでも知っていればかなり楽になるが)使いこなせるし、意図せずとも古典制御で出来ることは全て出来てしまう。
なので、下手をすると上の図の赤い線で描かれている部分にのみ注目された結果、残りがおろそかにされてしまっているにもかかわらず「使えない!」という判断をされるのは心苦しいので敢えて紹介した。

 

さて、かなり前置きが長くなったけれど実際にモデルを組むときに大事なことをは何だろうか。
もちろん自分が挙動を知りたいパラメータを中心にして、何が影響するかをどんどん膨らませていくのだけれど、ある程度数が増えてきたときに僕が考えることはいくつかある。
第一には、どこにどういうループがあるかと言うこと。ループが全く見つけ出せない場合はどこかに抜けや漏れがあると考えて良い。なぜなら全ての要素が右から左に影響を伝えていっておしまい、というシステムはあり得ないからだ。もしそういうモデルができあがった場合はビア・ゲームのように周りが見えていないと考えた方が良いだろう。"Causal loop Diagram"と名前が付いているだけのことはあるのだ。
もちろん定数で定義される要素や、今週の平均気温のように自分が影響を与えられない要素があることも確かだけれど、たいていの場合はある要素が取った変化に対して他の要素が反応し、それがさらに元の要素へと影響を与えるループができあがる。そしてこのループこそがシステムのダイナミクスを理解する鍵になると考えている。モデルが無数の線でごちゃごちゃになってしまったときは是非ともこのループとインプットもしくはアウトプットのない浮いた要素に注目して考え直して欲しい。

そしてもう一つ大事なのは、論理に飛躍が無いかどうかだ。これは少しテクニックを知っておく必要もあるけれども、いわゆる「なぜなぜ分析」とか「5W」を知っている人には問題なく行えると思う。
20070731_2teibo どういう事かというと、以前紹介したミシシッピ川の堤防の高さ競争の例を思い出して欲しい。「自分の堤防を増築する」のは「他人の堤防が高い」から、というのは一見理にかなっているように見えるけれども直接関連づけてしまっては問題がある。
何故なら「他人の堤防が高い」事によってまず始めに影響を受けるのは「自分が満足できる堤防の高さ」である。そして「自分の堤防の高さ」と「自分が満足できる堤防の高さ」を比べて初めて「自分の堤防を増築する」からだ(自分が洪水被害を被るリスク、増築コストや期間、効果など、自分の考えを入れてもらえば良い、唯一の正解は無い)。始めよりもずっと高さ競争のダイナミクスが明確に表せていることが解ってもらえるだろうか。

その他、要素の単位に気をつけるだとか、要素名には動詞でなく名詞を使うとか細かい点はいくつかあるけれども、習うより慣れよである。

最後に、どうやったら重要な要素が漏れなく見つけ出せて、要素間の関連付けが綺麗に出来て、ループの影響が予想できるかについて。
実はそんな上手い方法はハッキリ言って無い。一番の方法は冗談ではなくそのシステムのことをよく知っている人に話しを聞くなり自分の作ったモデルを元に相談することである。いろんな立場の人と話が出来ればもちろんその方が望ましい。オブジェクト指向言語のように優れたパターンはテクニックとしてあるとしても、システムのアーキテクチャーを理解して綺麗にモデル化するには、経験とセンスが問われる事は悲しいかな事実なのだ。

 

System DynamicsのようなSEの手法は、実世界で培った経験があってこそだ。
もちろん属人的に埋もれている経験を他の人にも共有できる形で表すこと(暗黙知から形式知へ)、時には自分もどういう考え方をしていたのかを整理できるのがSEの力であり魅力である。

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