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2007年9月16日 (日)

Concurrent Design (その1)

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グループで設計をするのにコミュニケーションが問題になるなら、情報交換しやすい環境を作ってみんなで一カ所に集まって設計をすればいい。これがコンカレントデザインの元になっている考え方だ。
最初にこのアイデアを実現させたと言われているのがアメリカのThe Aerospace Corporationという軍事、航空、宇宙に関する研究を行っている非営利団体だ。
彼らのレポートによると、コンカレントデザインのアイデアは1994年に実現できると言うことが社内で確かめられて、1997年にNASAのJet Propulsion Laboratory(JPL)でProject Design Centerとして採用され、宇宙ミッションのシステム設計に使われたのが最初のようだ。

そこで具体的に組み込まれた主な考え方は次のとおり

  • エンジニアを一カ所に集めて、リーダーを中心に議論しながらその場で設計を進める
  • 設計、解析ツールその他なんでも必要な物をそろえて自分の机と同じように仕事が出来る環境を作る
  • 問題が出てくればツールと経験を駆使して、みんなでその場で解決してしまえばいい
  • わからないことが出てきたら、周りにいるみんなに聞くなり議論するなりすればいい
  • 設計、解析に必要なパラメータ情報があるなら、誰からもらえるかをハッキリさせて頼めばばいい
  • 誰が何をやっていて設計がどう進んでいるかは、ネットワークを介して設計データを共有すればいい
  • 自分の設計、解析結果をみんなに説明したければ、プロジェクターやホワイトボードを使って最新の結果を直ちに説明すればいい

これがJPLでめざましい成果を挙げたことから宇宙関連企業や政府機関、教育機関でも広まることになった。なにしろ設計にかかる期間が1/4~1/10に短縮され、設計費用は(システム設計なので人件費がほとんどだが)一件当たりこれまで平均25万ドルかかっていたのが平均7.5万ドルにまで下がり、さらに設計の質まで上がったと報告されたからだ。

とはいえ、このコンカレントデザインは「じゃぁちょっとやってみよっか」といって出来るものではない。なにしろ仕事のやり方をがらっと変えてしまうものだからだ。

  • その場で提起された問題をその場で協力しながら解決できる専門能力とコミュニケーション能力
  • 変化を面白いと感じることができて対応できる柔軟性
  • これまでと違ってリアルタイムで設計をグループで進めていくリーダーシップと設計プロセス
  • そのためのツールと情報共有のための情報インフラ
  • 各自が交換する設計パラメータのインターフェースを含めたシステムモデル

これらが全て揃ってこそコンカレントデザインは機能するからだ。
そのためには、ツールの作り込み、設備投資や教育も含めて多大な投資が必要になる。しかし彼らにはそれだけの価値があったと言うことになのだろう。

写真はそれぞれJPLとESA(欧州宇宙機関)のデザインセンター

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