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2007年10月11日 (木)

プロジェクトはなぜ計画通りに終わらないのか(その1)

20071010_1 ボーイング社の次世代中型旅客機、ドリームライナーことB787の出荷が半年遅れるというニュースが今日飛び込んできた。以前から噂はあったので特に驚くことでもないけれど、競争相手エアバス社のA380と揃って遅れる事になったわけだ。
NASAとNOAA(アメリカ気象庁)とDoD(国防総省)が開発している時期気象衛星はスケジュールがどんどん後ろにずれている上に、開発コスト見積もりが当初の2倍に達する見込みらしい。

もちろん日本でも規模の大きなプロジェクトを見渡すと、スケジュールと予算とシステム性能が開発開始時点での計画どおりに完了したプロジェクトを探す方がよっぽど難しい。開発完了時期が毎年1年ずつ遅れていく事も冗談ではなく本当にあったりする。

なぜプロジェクトはかくも予定通りに終わらないのだろうか。

あたりまえの事を言ってしまうと、将来予測はどんなに緻密なものであっても全て不確かだからだ。
どんな計画でも何かしらの仮定や予測の上に成り立っているわけで、それらが100%確実に起こるなんて誰にも言えない。そしてその不確定性が高いほどプロジェクトの計画が狂う可能性は高くなって行かざるを得ないのだ。
つまり、プロジェクト計画が立てられた時には、それがどれほど確実なものか、どれくらいの変動がどれくらいの確率で起こりうるのかを考える必要があるわけだ。その確率分布が数字で出ないなら感覚的なレベルで表現してもいい。リスク管理の基本はそこにあるのだと思う。プロジェクト計画の善し悪しは、どんなに細かいスケジュール表やコスト内訳表を見てもそれだけでは判断できない。

面白いことに(悲しいことに)プロジェクトマネジメントの授業でアンケートを採ったところ、クラスメートが働いている企業での平均的なプロジェクトについての印象は、半数以上が「プロジェクト開始当初からどう考えても無理なスケジュールが組まれていた」というものだった。十分なスケジュールとリソースが組まれていると感じている幸せな人たちは数人だった。
もちろん最初は「きついけど何とかなるかも知れないな」と思っていた場合でも、終わった時には「だからやっぱり無茶だったんだってば」に変わっている心理的なトリックは有るだろう。それでも最初から非常にタイトなスケジュールが組まれていることが多いのはどうやら世界共通なようだ。

  • 「いつまでに出来るか」ではなく「いつまでに終わらせる必要があるか」という経営判断で終わりが決められるから
  • 全て問題なく進むことを前提に計画を組むから
  • 計画を立てる人が現場を知らずに計画を組むから
  • 世の中の変化に対応して計画見直しが入るから(物価、規制、景気変動、顧客のニーズ、競合関係などの変化)
  • 必要なリソースの見積もりが甘かったから
  • プロジェクトの途中で要求が変わったから
  • メンバーのモチベーションやモラルが下がったから(長期化、長時間労働、プロジェクトの魅力低下など)
  • そもそも計画がおおざっぱで根拠がなかったから
  • やるべき事が抜けていたから
  • 間違った根拠に基づいて計画を立てていたから
  • プロジェクトがチームとして機能しなかったから

まだまだあったけれど、全てクラスメートから出てきたプロジェクトが遅れる理由だ。

写真は最近改修工事が終わったSTATA Center。予想以上に傷みが早いらしい。

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