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2007年11月 3日 (土)

プロジェクトは何故計画通りに終わらないのか(その3)

20071102 今学期受けているシステム設計やプロジェクトマネージメントの授業は確率と統計について基本的な理解がないと始まらない。それに加えて標準分布、二項分布、分散、できればベイズ理論くらいまでは最終的に理解することが求められている。他校のMBAではどうかわからないけれど、MITではビジネススクールの授業でも必要になるので、プロジェクトマネージメントには確率統計が必須だと言われているようなものだ。

日本にいたときはシステムエンジニアならともかくプロジェクトマネージャーに必要な知識としてはそんなことを考えもしなかった。もちろんマネージャーが自分で確率計算をする必要はないのかも知れないけれど、最低限の知識がないと誰かがやった計算結果を元に議論さえ出来ないはずだ。

何故確率統計が必要かというと、もちろん毎回書いているように将来予測には必ず不確かさがあるからだ。前回は外的要因について書いたけれど、自分がする仕事についても予定通りに終わらないことなんて自分の経験からしても珍しいことではない。毎日3時間かければ10日で終わると思っていた仕事が、結果的には倍の時間がかかったこともあるし、多少早く終わったこともある。そうすると、プロジェクト計画の線表を引くときには各作業の時間見積もりを標準的な予定に加えて、早ければこれくらい、遅れればこれくらい、という見積もりも入れることが必要になってくる。今教わっているプロジェクトマネジメントでは、それを過去のデータや確率分布モデルなどを元にして確率分布を予測して、トータルでいつまでにプロジェクトが終わる確率はいくらという数字を分布として出すわけだ。分布が広ければ不確定性が高くなるし、天災人災などで考慮すべき突発事象が有ればマージンとして入れておく必要がある。

この数字はいくらシステムズ・エンジニアリングを勉強しても出てこないので経験と過去のデータに頼ることになる。システムエンジニアに実践経験が必要な理由の1つだし、データ重視の欧米式マネージメントの特徴だろう。

それが出来れば外部調達分も含めて、コストとスケジュールに関して超過する確率とその超過がビジネスに与える影響を考えてどこまでリスクを負うかを考えて計画を立てられる。どうしても受け入れがたい状況にあるのであれば割り当てのリソースを増やすか、もう一度計画に工夫が出来ないか考え直すことになる。そしてこの作業はプロジェクトを進める中で繰り返し行われることになる。これがマネージャーとしての責任であり腕の見せ所だ。

ちなみにエンジニアのサービス残業でなんとか期日に間に合わすという発想はアメリカ人には無い。そんなことをすると不払いで訴えられるかプロジェクトが終わる前に転職して人がいなくなる。かくしてマネージャーはプロジェクトの工数とコストとスケジュールを可能な限り下げられるように頭を悩ますわけだ。知人の話ではとあるヨーロッパの衛星メーカーではマネージャーの仕事の30~40%はどうすればチームの負荷を下げ、作業効率を上げ、無駄をなくすことが出来るかに充てられているそうだ。

日本ではどれくらいの割合で、誰がどの作業にどれだけ時間をかけているかを管理している会社が有るか知らないけれど、少なくとも自分の経験では非常にアバウトもしくは管理していない会社が多い。ある世界的に有名な日本企業の部長さんに「人が人を管理するなどというは傲慢である」という人がいて驚いたけれど、トップダウンではなくて個々人の自主性と責任感(会社への忠誠心とも言う)と綿密なコミュニケーションによって曖昧かつフレキシブルに、個人がしわ寄せを受けながらも集団でやりくりしているのが少し古いかも知れないけれど典型的な日本型企業だと思う。なのでこういったプロジェクト管理が日本社会でそのまま浸透するかというと疑わしいし、やる気が有ったとしても一筋縄ではいかないと思う。それでも経験に基づく勘と根性で進めるプロジェクトマネージメントよりは将来性が有ると思うのだが・・・。

(写真は今日の夕焼け。近頃は6時前に日が沈むようになってきた。)

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