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2007年12月27日 (木)

IridiumとGlobalStar(その3)

20071226_1_2 バラ色の未来と言われながら実際にサービスを始めてみると契約者数は予想の2.5%にしか満たなかった衛星モバイルサービスのIridium。しかもこの数字は破綻が近づいて赤字覚悟の大幅値下げをしても決して改善することはなかった。これはGlobalStarについてもだいたい同じ事が言える。

計画立ち上げ当初Iridiumを絶賛したアナリストたちは手のひらを返したように「こうなることは最初から予想できていた」と言い放ち、携帯電話網とインターネット(email、データ通信、無線LAN等)の発展を引き合いに出して「衛星モバイル通信の主要な顧客は全てそちらに移ってしまった」「レンガブロックのような衛星電話機を三千ドルも出して購入し、携帯電話が使えない僻地まで出かけていって電話をかける人などもはやいない」と酷評した。

アナリストに責任はない。しかし彼らの分析は間違っているというのが上級副社長の意見だ。ポイントは「果たして携帯電話とインターネットの顧客と衛星モバイル通信の顧客は競合したのか」ということ。人々の行動パターンを考えたときに全世界どこでもつながる必要がある人がどれだけいるだろうか。つまり人の居住圏以外の場所で使えることに日頃からコストをかけても良いと考える人がどれだけいるか。そしてどれくらいの頻度で居住圏外に出る事があるか。それにいつでもつながらなければならない、つまり居住圏外で絶対に使わなければならない人がどれだけいるだろうか。

結局の所、予想以上の早さで地上の携帯電話やインターネットが便利になったとはいえ、携帯電話の高級版としてのIridiumに本当にお金を払ってまで利用したいと考えた人はいなかったのじゃないかというのが彼の意見だ。

そして本当のニーズは彼らが予想だにしなかったところにあった。例えば険しい山の頂上にある無人気象観測設備のガソリンタンクがどれくらい減っているかを人が行かずとも確認して、給油回数をなるべく減らしたい会社。
砂漠に敷設されたパイプラインに異常がないか無人で常に監視したい会社。
途方もなく広大な牧草地に放たれた家畜に付けられたGPS受信機の位置データから家畜の位置を把握しておきたい会社。
チリの山奥にある村で唯一の緊急連絡手段としての公衆衛星電話ボックス。(彼らの生活水準からすると途方もない通話料だがそれ以外に緊急連絡手段が無ければ仕方がない。)

これには彼らも本当に驚いたらしい。

(写真はGlobalStarのサービスエリア、グローバルと言いつつもアメリカで回線契約すると実はオレンジと黄色のエリアのみで利用可能)

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