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2008年3月10日 (月)

異文化のSE(トップダウン)

20080310 昔から日本は「すり合わせ型」の物作りに強く、欧米は「モジュール型」の物作りに強いと言われている。もちろんどちらが良いとか悪いとかの問題ではなくて、両者ともに長所短所があるので得意とする開発対象が違ってくるだけだ。

確かに日本的な物作りは、カメラやプリンター、自動車のような精密な小型システムに強く、宇宙や軍事のような巨大システムの開発に弱い。だからといって巨大なシステムに弱いと単純に言ってしまうのは間違っているんじゃないかと常々思っていた。

なぜなら鉄道システムや化学プラント、高層ビルなど巨大システムと言えるものにも日本が得意とする分野がいくつかあるからだ。僕は今この記事を東海道新幹線の中で書いているけれど、快適な車両だけでなく、博多から東京まで線路や駅なども含めたそれこそ壮大なシステムを作り上げて緻密なスケジュールで運行している事は世界的にも尊敬に値する物だと思う。

システムズエンジニアリングを学ぶうちに徐々に思うようになったのは、日本的な物作りが苦手とする開発対象の条件は巨大かどうかだけで考えるのではなくて、次の3つに当てはまるかどうかで考えられないだろうかということだった。

  • すり合わせる箇所(つまりインターフェース)が、1人のリーダーが把握できないほどに非常に多いシステム
  • 新規性が高く、これまでにない環境でこれまでにない使い方をする新しい形をしたシステム
  • 外部のシステムとのつながりが深く、状況変化によって柔軟に振る舞いを変える必要があるシステム
  • 前例や経験が無く、開発対象や進め方に対して皆が共通のイメージを持っていないプロジェクト
     

ちょっと難しくなってしまうけれど、これは次の三つができないと対処することが難しくて、伝統的な日本の組織、特に大きな組織では苦手とする事だと思うからだ。

  • 個人の役割分担と責任範囲の明確化した上で構成された開発チーム
  • トップダウン思考(サービス指向、ミッション指向とも言う)によるシステム設計
  • トップダウンによる意志決定

日本が世界に誇るボトムアップ方式で仕事をし、曖昧さを残しながらも長期間の入念なコミュニケーションによって意思疎通を図る組織は、だからこそ急激な状況の変化に面すると動きが鈍くなり、現場が個別に動いて混乱と衝突を生じてしまうのではないだろうか。

現場レベルでの調整が強く働きすぎると全体のバランスが取りにくくなるのは自明だし、声が大きい人、強引な人、立場の強い人が勝つことになってビジネスやシステムが全体的に最適化されないリスクが大きくなるわけだ。

もちろんトップダウンだけでもボトムアップだけでも物事は上手くいかないし、欧米式のSEやマネージメントをそのまま取り入れて上手いく可能性は非常に低い。それで成功するなら誰も苦労はしないのだ。

本質的には、自分たちが全員で達成すべきことは何か、そのために誰が何をしなくてはいけないか、どういう情報が必要か、今の状況のどこに問題があるかを把握して全員がその全体像を理解できるようになることが必要だと思う。

(写真は実家の近所で咲いていた紅梅)

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コメント

>imaさん
確かに難しいのはおっしゃるとおりです。普通には全員がトップレベルの目的を意識して仕事をするのが関の山かもしれません。

巧み、製造作業員については、製造部分だけを見れば、与えられた役割をきっちりこなすだけでいいんですが、
設計とか問題解決には広い視野が必要ですね。

もっとも、旧来の日本型プロジェクト成功の影には視野の狭いスペシャリストを指導できるだけの能力と全体管理能力のある「ヘビー級プロマネ」が居るんですよね。

久っしぶりです

>本質的には、自分たちが全員で達成すべきことは何か、そのために誰が何をしなくてはいけないか、どういう情報が必要か、今の状況のどこに問題があるかを把握して全員がその全体像を理解できるようになることが必要だと思う。

これ、難しいですなぁ。システムやさんがわかっていれば良い方で、作業員も含めて全員がってのはなかなか・・・
いわゆる巧みとよばれる人や、組み立て製造をする作業員とかは、全体のことまで把握していない(知ろうともしない)ことのほうが現状多い気がします。

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