個人から組織へ、組織から個人へ
エンジニアに限らず人が成長するためには自分で苦労して経験を積むのが一番で、他人の経験を聞いたり記録を読んだりしてもあまり意味がないとは昔からよく言われている。
つまり「百聞は一見に如かず」と言う諺と同じように、何事も経験しないと大事なことは身につかない。どうやって後輩に自分の経験を伝えるかよりも、どうやって後輩に大事な経験を積ませる環境とセイフティーネットを提供してあげるかが重要というわけだ。
評論家はともかく、自分で手を動かして、決断して何かを形にしたり動かしたりする人の中に経験が大事ということに異論を唱える人は少ないだろう。
それでも知っておけば苦労しなくて済むこと、自分の経験に照らし合わせて深く理解できることは意外と少なくないのではないかと思う。誰もいちいち二次方程式の解を求める公式や万有引力の法則を自力で見つけ出す苦労をする必要はない。応用問題を解くには繰り返し練習やトレーニングが不可欠だけれども、基礎は知っておけばそれで良いのと同じことだと思うのだがどうなんだろうか。
経験を積ませなくてはいけないといっても、現場に放り出して誰も面倒を見ずに放っておいては成長しない。先輩が適切な「指導」という名の下に考えなくてはいけないこと、してはいけないことなどを自分の経験を元にきちんと伝えてガイドしてやらなくてはならないはずだ。
文字にした経験や知識を伝えるにしても同じこと。書いたから読んでおけというだけではだめで、経験を積む課程の中であらかじめ知っておくべきことが必要なタイミングで簡便に参照出来るかどうかにかかっていると思う。
では、何故多くの組織がこういった知識の継承に苦労するのか。こういった活動を根付かせるキーは何なのだろうか。
僕は、知識や経験を残すと同時に使っていくプロジェクト、その仕組みを構築して運用していくサポート部門、そして組織全体をドライブする経営陣。これらの異なる立場のグループがこういった活動に一体感を持って取り組む状況をいかにして作り出せるかにかかっていると思う。
ただし、それこそが企業文化の基礎を為す重要な事柄だからこそ、変えることが難しいものの一つだったりするのかもしれない。
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