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2009年7月22日 (水)

Banquet -Symposium in Singapore-

20090722_banquet_1 発表も終わって晴れ晴れとした気分の中で、公式のBanquet(パーティ)。
やっぱりシニアが多いけれどためになる話や情報も多く聞けるのが良いところ。
日本の学生はソフトウェアのアルゴリズムは得意だけどモデル化が全くできないとか、電気系の学生が乾電池の電圧を知らないとか記号は知っていても本物の抵抗を見たことがないとか・・・
最近は企業も学生を一から再教育する余裕がないので、工学系の学生にはちゃんと4力学を教えてほしい、さらにはエンジニアリングやマネジメントの分かる学生が欲しいと、大企業の部長さんたちが言っているらしい。
そういう教育ができていない現状の大学院が「失われた2年間」とまで呼ばれているとは知らず、さすがにショックでした。
個人的に思うのは、そういう企業側のニーズを特に学生が知らないのではないだろうか。
大学で教育に悩む友人の言葉を聞いているとどうしてもそんな気になって仕方がない。

さて、開始後は幸いシンガポールの国防科技局(Defence Sci. & Tech. Agency)の若者たちと同席。
偶然にも同時期にMITにいたことも判明し、色々と話が弾んだ。

シンポジウムにつきもののエンターテイメントも今回は多民族国家の特徴を繁栄して、インド系、マレー系、中国系、などなど多岐にわたるダンスショーが繰り広げられた。
その後、主催のシンガポールメンバーが壇上に上がり挨拶して拍手喝采。

で、終わると思われたところに日本代表の先生が壇上から
「Japanese delegation come up on the stage!」と号令。
???と思いながら上がると、
「これまでの成功に対するシンガポールに感謝の気持ちと、今後の成功を日本式に祈ります。で、三三七拍子」会場も巻き込んで三三七拍子。多分欧米人には良く分かってもらえなかったとは思うが拍手喝采。
写真はそのときに壇上から撮ったもの。

そうすると対抗意識からか?2010年にアジア・パシフィックのカンファレンスを主催する台湾、中国、韓国と次々と壇上に上がって同じようにパフォーマンス。皆で気勢&奇声をあげる。
イスラエルくらいまでは良かったのが、あとは何でも有りでラテン系の人が集っておどりーの(何故か日本人の先生一名登壇)、ヨーロッパが大集合してQueenのWe're the championを大合唱しーの、アメリカ人が大挙して歌いーの。

エライ人達が子供のようにはしゃいでいるのを見るのはなかなか楽しいものだった。
パーティーはこうでないと。

Day 3 -Symposium in Singapore-

20090719_day_3_1 目覚まし時計を止めたのが6:45、そこからさっと身支度して7:15に会場入り。
発表当日の朝は7:15-8:00のスケジュールでSpeaker/Chair Persons' breakfastなるものに出席するためだ。
これは簡単に発表者とチェアマンが発表の手順と発表者紹介の内容を確認するための時間だが、同じセッションに出るもの同士で情報交換と親交を深めることができるとても良い仕組みだと思う。開催される時間帯を除いては。

期待通り、ドイツ人のセッションチェアと色々情報交換もできたし、今回のシンポジウムのスローガンでもある文化に基づく面白い失敗談も聞かせてもらうことができた。その面白い経験談を2つ紹介したい。

一つ目は日本の組織とある機器の共同開発の進行状況を打合せに日本に来たときの話。

相手のアウトプットについて、「ここがおかしい、ここも不十分・・・・、なので直してください」と指摘して会議を終えたんです。当然その夜は遊びに連れて行ってもらおうと思ってたけど日本側のエンジニアは忙しくて相手にしてくれなかったんで仕方なくホテルにこもってました。で、次の朝また打合せの続きの場に顔を出したら、いやー驚きました。昨日指摘したことが全部直っていて。なんでもみんな徹夜で指摘箇所の対処をしてたって言うから信じられんかったけど・・・やってもたわっはっはっは!

二つ目はロシアと共同開発のプランを摺り合わせににロシアに行ったときの話。

相手はお互いの原案が折り合わんかったんで、それこそ15くらいの妥協案を出して議論したんですけど、ロシア側はどーーーーしてもうんと言わんかったんです。そやからこっちも頭に来たし2日間それこそ怒鳴り合いをして、結局成果無しで帰ってきました。で、ボスに相談してちょっとトレーニングを受けて、ボスと一緒にもう一度出かけてボスが交渉したら30分でカタが付いた。何故か。まず同じレベルと相手が感じるキーである同年代同士で話をしてもらったから。そして「妥協案」と言わずに「現実的でベストな解決策」と言ったから。妥協することは誰かの顔を潰すことになる。ロシア人はそれを決して受け入れない。

なるほどー。ためになりました先輩。で、最後に一言。

まぁどちらも自分がプロマネやったけど20代やったしなー。若かったわ。

20代でプロマネですか・・・。そちらにもびっくり。

さて、自分の発表は何とか無事に終了。50人くらいもの強者が集まる中での発表は相当緊張したし、舌も噛んだりしたけれど、共著者や知人からも「堂々としてて、流ちょうで良かったよー」と言ってもらえるとホッとする。まぁ相当評価基準が甘いんちゃうかと思いつつもやっぱり嬉しいもの。

やっと肩の荷が下りました。ふぅ~。

2009年7月21日 (火)

Day 2 -Symposium in Singapore-

20090719_day_2_1 今日は朝から幾つか聞いてみたいプレゼンが有ったけれど、求められてとあるミーティングに出席。

主にアジアからのメンバーで議論の主題に上がったのが「言葉の壁」。

どうしてもSEのスタンダードやハンドブック、事例などは英語で提供されるけれど、ローカル・コミュニティに広めるにはその国の言語にしないと普及しないという事で一致。どこも状況は似たようなものらしい。

情報発信の観点からは英語の方が汎用性が有って良いのだが、受け取る方、特にアジア言語圏ではローカライズが非常に大事なのはどうやら事実のようだ。PMIも日本支部(旧東京支部)がなければこれだけ広まっていたかどうかは疑わしい。
まず普及させるには情報を受ける側の壁を提供する側が崩さないといけないのは良く分かるのだが・・・何せ大変だ。これがいわゆるスタートアップから安定的な規模にするために渡りきらなければならない"Dead Valley"というやつだ。

さて、夕方は明日のプレゼンの準備をして、現地の友人と待ち合わせ。結婚相手も連れてきてくれるはずだったのが風邪でダウンしているとのことで会えずじまいで残念だった。
それでも連れて行ってくれた中華料理屋(安くて何を食べても本当に美味しかった!感謝!)で旧友の近況やお互いの趣味、仕事、シンガポールの状況、文化、生活など、2人で時間を忘れて楽しい話ができた。やはり持つべきは友。

2009年7月19日 (日)

Day 0 -Symposium in Singapore-

20090719_day_0_1 20090719_day_0_2
今日からシンポジウムに参加している。会場のSuntec Convention Centerはショッピングモールも併設されている超巨大な複合施設だ。会場の周りを買い物客が歩いているのもなんだか不思議な感じ。

さて、明日からのシンポジウムの開催に先立って今日は2件のチュートリアルと多数のビジネスミーティングが開催された。
このシンポジウムは普通の学会とは異なり、どちらかというと関係者が実際に会ってディスカッションやネットワーキングを行う場としての役割が非常に強いし、ワーキンググループなどの活動がとても目立つ。どちらかというと巨大なビジネスミーティングといったところ。

そのためなのか、会場はゆったりとしているし、軽食や飲み物などのリフレッシュメントもふんだんに提供される。もちろん無料の無線LANや事務用品なども使えてとても便利。会費分?しっかりとしたホスピタリティが提供されている。

自分は朝8時半から(INCOSEの朝はやっぱり欧米のビジネスミーティング並に早い)、MITでの論文アドバイザーが主催したチュートリアル、Epoch Based Analysis: A Method for Designing Systems for Dynamic Futureに参加。景気の善し悪しや環境保全、経営形態など様々な要因によってシステム開発に対する要求が変わってくることを視野に入れて最適なシステムを設計するという考え方を学ぶもの。
もちろん、どう予測するかやその影響をどう考慮してシステム評価モデルを組むかというとても難しい課題は残ってしまう。

とはいえプロジェクトが、開始時に立てた目標はそのときの状況しか考慮していないのに環境要因の変化に伴って求められることが変わってくる事への対応に四苦八苦しているような話を実際に色々なところで聞くので、多少はスペックが落ちてもロバスト性を確保する事は必要だと思うし、難しいからと言って放っておいて良いわけではないはずだ。だから少しずつでも取り入れてみたい考え方だと感じた。
問題は意志決定をするトップマネジメントが理解しないと実装が難しいことか。

ともかく、グループワークも有ってなかなか面白いチュートリアルだった。

今週は毎日の状況を簡単に報告したい。

(写真はシンポジウムの受付と会場のエントランス。)

初めての

20090718__2 今日からシンガポールに来ている。
初めてアジアで開催されるINCOSE International Symposiumに参加するためだ。
明日は早速半日のチュートリアルを受ける予定。

そのシンガポールに来る時に乗った飛行機が写真のAirbus A380。
昔Airbus社の工場で第一号の生産現場を見て衝撃を受けてから、いつかは乗りたいと思っていたのでとても嬉しい。
搭乗口に来るまで全く知らなかったのだが、幸運にも初めての搭乗。もちろんエコノミークラスだが、最新鋭機だけあって快適に過ごせるような工夫やサービスが飛行機自体に組み込まれていたし、アテンダントの良さも手伝ってとても快適だった。

そしてホテルにチェックインしてからは、早速シンガポール在住の友人2人に電話。
特に一人はまだ会ったことのない結婚相手も連れてきてくれるらしいので、滞在中に会えるのがとても楽しみだ。

とはいえ、直前までPMPの試験に手一杯で(何とか無事に合格!)プレゼンの準備がほとんどできていないのでそれも頑張って仕上げないと。これだけせっぱ詰まっている論文発表も初めてだ。(まったくもって堂々と言えないことだが・・・)

などと初めてづくしの一週間、頑張って有意義な時間を過ごせるよう頑張ります。

(写真はシンガポール到着直後のA380。既にエンジンのメンテが始まっていた。)

2009年7月11日 (土)

Building Block and System Thinking

システムズ・エンジニアリングを形作る考え方の一つとしてBuilding Blockと呼ばれるものがある。日本語では要素還元主義と呼ぶのが正しいと思うけど、要するに複雑で大きなシステムでも、上手に分割を繰り返すことで、扱いやすい要素にまで小さく分けられると言う考え方だ。

牛を一頭、丸のまま調理して食べろと言われても難しいけれど、ちゃんと部位毎にさばいてやって、さらに小さく、ステーキや角切りにしてから調理すればおいしく食べられる、と言えばイメージが湧くだろうか。
この前、マグロ一匹を頭蓋骨とひれを残して丸々綺麗に食べてしまったテレビ番組が有ったが、あれは見事だった。

話を戻そう。

 

システム開発においても、大きなシステムを開発するにあたっては一人の専門家が請け負える程にシステムや活動を分割して、チームで分担して仕事をすることで大きなシステムを開発することになるのだが、このときに牛やマグロを料理するのと同じように考えてしまうと大きな間違いを犯しかねないので注意が必要なのだけれど、意外に気づいていない人が多いらしいと言うことを知って驚いている。

どういう事かというと、最近チームで仕事をしていても、自分の責任範囲を厳密に決めたらその範囲に関する事と、他人とのインターフェース部分についてしか関心のない人をちらほら見かける。そして本人は非常に論理的にシステムズ・エンジニアリングの考え方を実践しているように考えていたりするから驚いてしまった。

料理と違ってシステム開発ではばらした要素を全て集めて繋ぎ合わせ、一つのシームレスなシステムとして機能させる必要がある。要素に分割しても上手く行くのは、最終的に統合したときにどうなるかをちゃんと考えておいてこそだ。局所最適化された要素を繋ぎ合わせても最良の物ができあがるとは限らない。システム全体を考えて、時には部分的に非効率な事を受け入れる自己犠牲的な決断が必要な時もあるし、要素の境界を変更したりという柔軟な対応が求められることもある。

だからこそプロジェクトマネジメントの体系PMBOKでいうプロジェクト憲章(Project Charter)を定めるようになっているし、SEではミッション要求やシステム要求をきちんと定義する。そしてリーダーだけではなく、チーム全員がそれを常に意識しながらプロジェクトに貢献する。

それこそがゴール思考であり、システム思考だと思う。

2009年7月 9日 (木)

型と実践

20090709__2 この数年、社内でSystems Engineeringの基礎を同僚と一緒に教えている。もちろんそんなに高等な事を教えられる程の身分でもない。それに対象としているのは実務経験の少ない若手なのであまり詳しいことを伝えるのも難しい。だから、SEがどんなものかを少し実感してもらって、SEの観点から仕事の経験を積む中で常に意識していて欲しい大事なことは何かを教えるようにしているつもりだ。

研修をする立場として、「SEがどんな物かを少し実感してもらう」ために工夫しているのは受講者にその場で沢山考えてもらうこと。研修の内容とマッチした仕事の経験がある人はともかく、経験の少ない人達は研修の内容を消化し切れていないのに分かった気になっている事が往々にしてあるし、SEの理論を字面どおりに理解すれば仕事を上手くこなせるという思いこみをしがちだから、演習というのはとても大事だ。
実際、「なるほど、こうやって使うんですね」とか「その分野の実務経験が無いと使いこなすのって難しいですね」というコメントが多くの受講生からちゃんと返ってくるし、もっと理解したい、実践したいというポジティブな意見が多く聞けている。

そして、特に新入社員を対象としたSEの研修では、何よりもまず物事の考え方を身につけてもらいたいので、ロジカル・シンキングを教えるようにしているのも喜ばれる。これが特に新入職員だけではなく、受け入れる方としても効果が高いと実感している。

僕もSDM/MITに入学したての時に、チームビルディングやロジカルシンキング、プレゼンテーションスキルやネゴシエーションスキル、WIN-WINの関係を築くために重要な事など、世の中のMBAでは当たり前のようにやられていることの重要さを身にしみて学んだ。そういう意識を持って周りを見渡してみると、同じような考え方を持っている人とそうでない人の違いが良く分かる(上手く実践できているかどうかではなく、あくまで意識の問題です)。

Systems EngineeringやProject Management、Leadershipなんて分野では、専門知識を理解することも大事だけれど、物事の考え方や実践能力を身につけることとセットでないと、とてももったいない。
昔のスポーツ界みたいに理論をおろそかにしてひたすら特訓しても勝てる時代じゃないし、練習や実践をせずに型や理論ばかり身につけても仕方がない。
型を学ぶと同時に練習や実践経験を積み、型を意識しなくとも基本動作として自分のものにできてこそ応用が利いて強くなる。その仕組みはスポーツも仕事も同じなはずだ。

(写真はSDM/MITのBreakout Room、ここで重ねた議論は僕のとても大きな財産だ)

2009年7月 4日 (土)

JAM

20090704_jam 数日前、仕事を終えて夜遅くに家に帰ってきてテレビをつけたら1997年のNBA Final、シカゴ・ブルズ対ユタ・ジャズの第6戦を放送していた。
マイケル・ジョーダン、スコッティー・ピッペン、ジョン・ストックトン、カール・マローン。今となってはみんな往年の名選手と呼ばれておかしくない。そして脇役にしておくには惜しいトニー・クーコッチ、ジェフ・ホーナセック、懐かしさがこみ上げてくると同時に自分が歳を取ったと認めてしまわなくてはならない瞬間だ。

そして、紙吹雪が舞う中でマイケルが笑顔でチャンピオン・トロフィーを掲げている姿を見ていたとき、急に頭の中に流れてきたメロディーが、もう一人のマイケル、もう一人のMJ、もう一人のスーパースター、マイケル・ジャクソンのJAMだった。

当時の僕は、彼のダンスを見るためにPVやライブ映像をVHSでよく観た。CDを聞くよりも回数は多かったんじゃないかと思うくらいよく見た。記憶に残っている曲はたくさんあるけれど、その中でもJAMという曲のPVの中でのマイケル・ジャクソンが一番印象に残っている。
バスケットボールの神様、マイケル・ジョーダンと一緒に廃屋の中のコートでボールを負う、子供のような無邪気な彼の笑顔は他で見たことがない。あれはスーパースターではなく、マイケル・ジャクソンという1人の男の素の笑顔だった。

今さら彼について書くのもはばかられるほどに時間が経ってしまったけれど、彼の訃報を聞いて最初に思ったのは、スーパースターとして万人に存在を知られつつも、彼を嫌いだったり、良く思わない人も多かったな、と思ったこと。
僕は人に限らず、物やサービスでも、誰もが褒めている場合はいつも少し疑ってかかることにしている。そういう物は大抵の場合、限られたコミュニティーの中でしか認知されていないか、興味を持たれていない可能性が高いからだ。
だから、多くの人が褒めつつも評価が割れているようなものこそ、手に取ってみる価値があると僕は思っている。

そういうコンテクストにおいて、彼のパフォーマンスは圧倒的に本物だったなと思う。彼のことを説明しようとしても、何かに例えるとか、分類するなんてことはとても難しく、ただただ、マイケル・ジャクソンであるとしか言いようがない。

彼の死を巡る報道では、晩年の人生の影の部分が多く伝えられているけれど、天国ではあのJAMのPVの中で見せたような屈託のない笑顔で楽しんでいることを祈るばかりだ。

黙祷。

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