2009年5月20日 (水)

Serenity Prayer ニーバーの祈り

20090518_serenity_prayer 昨年お世話になった、とある大学の先生を偲ぶ会に参列してきた。
2月にお会いしてから2週間後、お住まいのあるカリフォルニアで急逝されたとの連絡を受けて愕然としたのだが、さすがに葬儀のために渡米する勇気はなく静かに冥福を祈るだけだった。

そんな思いを持った人たちが250人も集まって、やっと自分たちの中で先生にお礼を言って別れを告げられる会が日本で開かれた。

実はその先生と僕が初めて出会ってからまだちょうど1年ほど、実際に会った日数を数えると6日ほどにしかならない。それでもまるで恩師ように思えるのはエンジニアとして教わったことの重さだけではなく、人として何かを学んだことも大きいだろうし、明るくて魅力的な人格のせいもあるのだろう。何気ない会話なのに今でも覚えている言葉は沢山ある。

僕が1時間だけ他の先生の授業を代行したときには、本当に親身になって補足のコメントを入れてくれたり、適切な質問をして授業の価値を高めてくれた。

こんなにも短い時間しか接しなかったのにもかかわらず、訃報に接して受けたショックはあまりにも大きかったし、2年目の今年こそはもっと一緒にいろんなことが出来ると楽しみにしていただけに残念でならない。

それでも残されたものとしては、受け継いだものを大事にして自分の世界を広げ、受け継いだものの先にある新しい世界を見られるよう前進するしかない。

偲ぶ会でもらった冊子の最後には、クリスチャンであった先生愛唱していたという祈りの言葉が書かれてあった。

Serenity Prayer

God grant me the serenity to accept the things I cannot change;
courage to change the things I can;
and the wisdom to know the difference.
             Reinhold Niebuhr

ニーバーの祈り

神よ、
変えられないものを受け入れる心の平穏を与えたまえ。
変えることの出来るものを変えていく勇気を与えたまえ。
そして変えることの出来ないものと変えることの出来るものを、
識別する知恵を与えたまえ。
             ラインホールド・ニーバー

先生、短い間でしたが本当にありがとうございました。安らかにお休みください。

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2009年5月13日 (水)

2008 Best Theses in Tech TV

20090512_2008_best_thesis_in_tech_2

You Tubeのようなサービスは沢山あるけれど、MITではTech TVと称して学生が作ったものからMITオフィシャルなものまでたくさんのビデオを公開している。そこで自分のクラスメイトが取ったSDM Best Thesis Award 2008の紹介(?)ビデオがアップロードされていたので皆さんにも紹介しよう。

SDM Best Thesis AwardとはSDM/MITでは毎年教授陣が最も優れた修士論文に与える賞で、何人かのSDMのプログラムディレクターを含めた何人かの教授陣が60本の論文を「精査して」選出されることになっている。
実は2008年の受賞者は去年の夏には決まっていて、受賞したDavidは大の友人と言うこともあって、彼がタイミング良く10月に日本にやってきたときには2人でささやかなお祝いをしたし、年明けの2月にはWEBでの受賞講演が有った(本人もWEB参加)ので今更ではあるけれど何度祝ってもめでたいものはめでたい。

彼の論文の内容を簡単に言うと、いわゆるジェネレーション・ギャップとして語られるエンジニアの典型的な性質、例えば「年配のエンジニアは保守的」だとか「X世代はわがまま」なんていう性質は意外と当てはまらないんじゃないの?ということをアンケートを元に分析したものだ。

人によっては、「こんなのがベストなの?」と疑問を持つかもしれないが、これまで当たり前と思われてあまり脚光を浴びてこなかったことを分析して、新しい考え方を提供したことに大きな意義が有るのだろうと思う。

本人は、「自分の論文は全然いいと思ってなかったから何で受賞したのか全くわからん。ディレクターから連絡を受けたときには『冗談はやめてくださいよ』と笑い飛ばしてしまって、本当にそうだと受け入れるのにしばらく時間がかかったよ。」と頭を掻いていたけれどやはり嬉しそうだった。

そんな彼の論文はもちろんMITの図書館WEBサイトに登録されていて、世界中誰でも全文を読むことが出来る。
Kim, J. David, "Generation gaps in engineering?"

ちなみに、SDMプログラムの学生がどんな論文を書いているか、興味がある人は過去の論文を調べてみるのも面白いと思う。SDMの修士論文は授業などで学んだことを使って論文を書かなければならないので、どういう人がSDMでどういうことを学んでいるかが論文に良く現れるからだ。

非常に数学的な理論を提唱をした論文、企業の開発プロセスを分析した論文、マーケティング理論を検証したMBA張りの論文など、しかもかなりが実際の仕事に関係しそうな題材。改めて見てみると本当に自分でも驚くほどSDMは多様性に富んだプログラムだと思う。

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2009年4月 5日 (日)

SDM Pulse

20090403_sdm_pulse SDM/MITがどんなプログラムなのか聞かれることがたまにある。実はこういう質問がとても困る。なかなか全体的な雰囲気を伝えようとしても上手くいかなくて、質問と同じくらい漠然としたありきたりのことしか言えないか、具体的なことを並べ立てて結局全体像を上手く伝えられないかのどちらかに終わってしまうことが多い。

そんな僕に代わってSDMの雰囲気や特色を上手く伝えてくれるのがSDM発行の季刊誌、SDM Pulseだ。
このSDMのWEBサイトから誰でもダウンロードして読むことが出来る。

実はこの季刊誌、僕の入学が決まって初めてSDMを訪れた2006年秋のInformation Eveningというイベントで創刊が発表されていた。なのでそのときのことは鮮明に覚えている。たった8ページで、内容もSDMの紹介程度だったのでちょっとがっかりしたのだった。その後数回は同じような内容で、クラスメートとの話題に上ると批判ばかりしていた。

それがいつの間にかエディターの気合いが入ってきたのか、授業に関する面白い内容を報じることが多くなり、紙面も20ページ程度に増えてきて、皆さんに紹介したくなるほどのものになってきた。

特に今月号のトップ記事は正に僕が味わったSDMの醍醐味を伝えている。授業の課題プロジェクトで或るチームが消防車開発企業のプロセス分析を行って改善提案を行ったと言うもの。彼らはちゃんとボストン市内の消防署を数件訪れて、顧客のニーズ分析やユースケース分析まで行っている。
僕もクラスメートと一緒に、これと全く同じような事をやったからこのおもしろさはとても良くわかる。アメリカでは当たり前のようだったけれど、学生の課題に時間をそこまでの割いてくれる企業の姿勢に少しびっくりしつつも、授業の課題という枠を越えてチャレンジングな仕事をしているようなワクワク感が有ったし、本当にスキルアップのために真剣に取り組んでいた。

他の記事でも、

  • 授業で学んだことがいかに今の仕事に役に立っているか
  • 具体的に、学んだ手法をどう使って仕事に貢献したか
  • 何故私がSDMでの学生生活と社長業と育児を同時にこなせたか
  • 1月の厳しいブートキャンプがいかに有意義であったか

など盛りだくさんの内容を伝えている。

SDM/MITをよく知りたい人は是非一度目を通してみて欲しい。

(写真は2009年春季号のトップ記事に掲載されていた写真。人文字MITはお決まりのポーズだ)

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2009年1月 5日 (月)

Year 2009

20090105 旧友達と地元の神社に参って2009年を迎え、娘に振り回されながらも家族や友人とゆっくりと休みを過ごし、今日からまた一年の日常がスタートした。

修士論文の仕上げと帰国の手続きに追われて普通の一日として新年を迎えた2008年、そして何より身重の妻と2人でボストンに渡り無我夢中で生活を立ち上げて三が日も明けぬ間に始まる未知なる学生生活にドキドキしていた2007年と比べると、久々に落ちついて迎えた新年は静かすぎてどこか物足りない気がしたけれど、リフレッシュする時間があって時々は落ちついて物事を考えながら過ごせる新年はいいものだと改めて思う。

それでも、何故かあの辛いほどにエキサイティングだった2007年の正月を懐かしく思ってしまう。もう一度やり直すならもっと上手くやれるのに、あんなことはしない、こんなことはしたかった色々と考えることは有るけれどそれは自分が成長したからだと考えることにしたい。まぁもう一度やり直せと言われてもしばらくは嫌だけれど。

自分のことはさておき、今頃は地球の裏側ではSDM'09の新入生達が期待に胸を膨らませながら自己紹介のプレゼンを行っているはずだ。そして今年は1人の日本人が加わっている事をとても嬉しく思う(彼のことをここでは仮にケニーと呼ぼう)。
SDMはタフなプログラムであることは間違いないけれども、自分から積極的にチャレンジすればそれだけ自分のためになる事を学べるプログラムだ。ケニーにはボストン生活をエンジョイしつつ、是非とも仕事に役立つ事を沢山得て大きくスキルアップすると共にかけがえのない仲間を作ってきてほしい。

自分もあの頃の興奮を思い出しながら静かに地に足をつけて一年間頑張っていこうと思う。

そしてこのブログを読んでくれている皆さんにとっても今年が良い年でありますよう。

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2008年11月14日 (金)

Employment Report

20081114_employmentreport MIT/SDMのホームページに2007年-2008年のEmployment Reportが出ていたのでさっそく読んでみた。自分には関係ないけれど、ここに含まれる卒業生の多くは自分のクラスメイトなのだからどうしても気になってしまった。毎年同じ内容が書かれていることは知っているけれど、やっぱり今年もうなってしまうのが年俸だ。

基本給$90,000-$155,000、平均値$121,067、中央値$120,000。
平均値だけじゃなくて中央値までちゃんと出している几帳面さというか理系魂に感心するけど、何よりもエンジニアやエンジニアリングマネージヤの給料の高さはすごい。

そして噂では入学前と卒業後で基本給が平均$20,000ほども上がるというのだから仕事をやめて1~2年という時間と$100,000~$150,000を大学での教育にかけても長期的には元がとれる見込みがある。そしてそれがSDMの直接的な「価値」というわけだ。

ちなみに教育の価値が金額で表されるなんてビジネススクールだけちゃうん?と思うかもしれないがCarrier 0fticeでは学位および学科毎に卒業後に得た平均給与が公表されている。

日本の大学ではなかなかここまでしない。
決して良し悪しの問題ではなく、単に大学の価値を計る一つの物差しとして大学と学生が何を使うかの違いだ。
この違いはいかにも日米の価値感や大学の目的の違いを表していて面白いと思うのは僕だけだろうか。

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2008年6月16日 (月)

Commencement

20080615_4
卒業式の朝は早い。娘の時差ぼけに付き合ったせいもあるけれど朝7時にはホテルを出て学校へと向かう。生憎小雨が降っていたのだが、卒業式会場には傘も持ち込めないとホームページに書いてあったのでガウンとキャップをCOOPのビニール袋に入れて守りながら、自分は濡れて歩く。

ガウンとキャップは$35でレンタルしたのだが、ガウンは見るからに安物でレンタル窓口のお姉さんに"It will 'bleed' when it gets wet."(濡れたら色落ちするからね)と言われていたし、ガウン姿で電車に乗る気もしなかったからだ。

体育館に集合してみると1時間も待たされることがわかったので、久々に合うクラスメートや知人とゆっくりと近況を伝え合った。SDMのクラスメートは全部で40人くらいが式に参加していたが2007年度入学の同級生は10人程度で、残りは全て2006年度入学の人たちだったのがちょっと拍子抜け。

もちろん20人以上は卒業しているのだが、卒業式に来なくても証書は送ってもらえるので仕事を既に始めていて式自体に興味がない人たちにとっては、わざわざ休みとホテルを取って飛行機で駆けつける気にはならないのかもしれないが。それでも何とか参加しようと前日まで仕事をしてシアトルから朝6時に空港に着く便でやってきた強者も居て参加者のテンションはかなり高かった。

体育館からKillian Courtまでの行列が始まる頃には雨も上がって涼しくて気持ち良かった。通行止めになったMass. Ave.とMemorial Dr.を歩いて向かう。沿道には晴れ姿を見に来た沢山の家族が手を振り声をかけている。心地よい音楽が流れるKillian Courtに足を踏み入れると、観覧席を埋め尽くした卒業生の家族達の出迎えを受けた。

20080615_2 式自体は非常に簡単な流れだ。学長挨拶、貴賓挨拶(今年は2006年にノーベル平和賞を受けたDr. Muhammad Yunus氏)、卒業生代表挨拶。そしてその後は1人ずつ名前を呼んでの卒業証書&修了証書授与が2時間半延々と続く。

自分の順番を待ちながら、1人1人の名前が読み上げられて壇上で証書が渡されていく様子がパブリックビジョンにも写されるのを見ていると、どの顔もとても誇らしげで、開放感にあふれていた。

20080615a単に紙切れ一枚をもらうだけなのに、自分の番が近づいてくるにつれてなぜか緊張してきた。そして席を立って順番待ちの列に並び、とうとう自分の名前が呼ばれて修了証書をもらった時には喜びに変わった。

1月に論文を提出して日本に帰ったときにも達成感と開放感はあったけれど、こうしてみるとセレモニーって大事だなと思う。色々なことが思い出されると同時に何故か心地よい疲労感の中でMITでの生活が完全に終わったという実感に浸ることが出来たのだ。

式が終わった後は妻と娘、そして友人家族と一緒にドームを背景に写真撮影。娘は時差ぼけでとっても眠そうだったけれど家族そろって卒業を祝える自分は本当に幸せだと思った。これも学生生活中はもちろん、今回の旅行もほとんど寝ずに娘の面倒を見てくれている妻のおかげだ。
自分ももちろん夫として、父親として、全力で出来る限りの事はやったけれども、我が子と一緒にボストンでの一年を過ごしたことからもらったエネルギーはそれ以上だったと思う。そんな環境を用意してくれたのは間違いなく妻であり、3人の生活を献身的に支えてくれたことには感謝の言葉もないくらいだ。
そんなことを考えながらSDMの卒業パーティへと向かった。
久々に会った学科長やスタッフ、そしてまだ在学中のクラスメートは娘の成長ぶりに目を見はり、"SDM Baby"としてかわいがってくれたのがとても嬉しかった。

長い長い1日だったけれど、わざわざこのために日本からやってきた価値は十分に有った今回のボストン卒業式旅行だった。

ちなみに、帰りは何事もなく順調な空の旅を経て無事に日本に帰ってくることが出来たのでした(ふぅ)。

(写真はキャップに着ける房飾り。学士は右側に、修士や博士は左側に垂らすのが決まりだ)

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2008年6月12日 (木)

卒業式旅行 ~はじまり~

20080611 SDMを卒業してからもう一年の1/3が過ぎた。帰国してから個人的な事情もあってずっとばたばたとしてきたのが漸く落ち着いてきたこともあって余計にそう感じるのかもしれない。ここらで一度仕切り直して一年の計画を立て直さないといけないなと、ぼんやり考えながらボストンへと向かった。

今回の最大の目的はMITの卒業式に参列することだ。MITでは2月、6月、12月が公式の卒業月なのだが、卒業式は6月の1回だけしかない。なので2月の卒業リストに載った僕も6月の卒業式には参加する権利が有る。

在学中は授業に向かうために一日二度は必ず通ってきたKillian Court。通るたびに卒業式をイメージしながら頑張るよう言い聞かせてきた。なので13ヶ月頑張ってきた自分にとっては是非とも参加したいセレモニーだったのだ。

卒業式は6月6日。前日に済ませるべき手続きがあったので2日前に現地入りする予定で飛行機に乗り込んだときには、まさか良くも悪くもこんな思い出深い旅行になるとは全く思いもよらなかった。

飛行機が定刻通りに成田を発ってから半日、最大のピンチはいきなりやってきたのだった・・・

(つづく)

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2008年6月 2日 (月)

仲間の力

2080601 僕が在籍したSDMでは60人の仲間がいた。彼らはいつでも必要なときには自分の経験談や持っている知識を皆のために出来る限り提供してくれた。やるべきだと思ったことは自分のためだけでなく皆のために可能な限りリーダーシップを発揮して行動に移した。自分たちで使う設備は極力自分たちで管理して、問題が起これば自分たちの問題として解決に取り組んだ。SDMプログラムの価値を高めるためにはどういう改善ができるか、1人がメールで議論を開始するといつも数時間のうちに10件以上の返事があった。

あれは本当に見事だった。もちろん誰もが単なるボランティアで貢献しているのではない。皆のために貢献することで自分がそれ以上に大きなメリットを得られると感じているし、周りからも評価されるからだ。これは難しそうに見えるけれど、1人が1回ずつ貢献すればグループの人数分だけ倍になって返ってくるわけで、皆の学習意欲が高い状態で一旦臨界点を超えると、勝手にサイクルが回り始めるはずだ。

多くの人が共通の目的を持ち、長期間でのメリットに対して期待して行動することが出来れば物事はずっと良くなる。それでも、そうと分かっていてもなかなか上手くいかない。

学生と違って社会人に欠けている決定的な要素はそのどちらでもなく、実は「ちょっとした余裕」なんだろう。
(写真は光溢れる初夏のNYのセントラルパーク)

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2008年1月20日 (日)

ただいま

Keepgoing じわっと目頭が熱くなった気がしたのはボストン空港でも成田空港でもなかった。それは意外なことに経由地から日本に向かう飛行機の席についたときに聞き慣れた機内音楽が聞こえてきたときだった。

やれやれこれじゃまるでノルウェーの森のプロローグじゃないかと、自分自身にあきれながらもジェットエンジンの回転数が上がって機体の振動が強くなっていよいよ離陸と言うときにはそれは確かなものとして自分の中にあった。

確かにこの一年が忘れられない一年であったことは間違いない。それでもその熱い気持ちがどちらかというと後ろ向きな気持ちから来るものだという意識は僕を少し不安にさせた。

そしてその不安が一瞬にして吹き飛んだのは、玄関を開けて家の中を見渡したときだった。そこはどこよりも僕を落ち着かせてくれた。そして僕の留守中に家を管理してくれた同期の友人に会ったときには、また彼らと一緒に頑張ろうと言う気持ちを確かなものにしてくれた。

留学する前から彼らと自分たちの仕事をもっと有意義で良い物にしようと頑張ってきたのだ。MITでの一年間は仕事を始めるためのトレーニングでしかないのだ。ゴールはまだまだ先、僕はまた本当に何かをする場所に戻ってきたに過ぎない。

SDMでの留学生活はこれで全て終わったけれど、MITで学んだ事で伝えたいことはまだまだある。なのでもう少しこのブログは続けていきたいと思う。

公私ともに一年間応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。

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2008年1月19日 (土)

SDMプログラム修了!

今日が論文の提出締め切り。同期のクラスメートのうち5人程度が卒業するらしく、僕もなんとか期限までに指導教官と学科長のサインをもらって提出できた。これで今日で13ヶ月の全プログラムが終了。めでたく卒業できることになった。

実際には、年明けに指導教官からいつでもサインしていいくらいに内容はできあがっていると言われたのだけれど、あまりに誤記や文法の間違いが多いと後悔しそうなので、試験時間をいっぱいに使って見直しをする受験生の気分で細かい手直しをずっと続けていた。

しかしそれも終わり。

印刷されて承認のサインが入った自分の論文を手にすると感慨深いものがある。達成感と開放感がじわじわと押し寄せてきて身体と頭を軽くしてくれる。そしていよいよ明日は日本に向けて帰国。早く日本に帰りたいという気持ちと、もう少しとどまっていたいという気持ちが交差するけれどついにこの日がやってきた。

明日の飛行機は早朝便なので早く寝るべきところだけれど、これからクラスメートと最後の祝杯を挙げに大学内のパブに行かなくてはならない。実は僕ともう1人が卒業する同期の中で最初にMITを離れるらしく、今週はことある毎に今日の飲み会にこれるのか質問攻めにあっていたのだ。

今週は、今日を待ちきれないクラスメートから毎晩のように飲みに誘われていたけれど、今日は一番おいしいお酒が飲めるはず。

それでは行ってきます。

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2008年1月 4日 (金)

これまでにない正月

20080103_1 アメリカの正月と日本の正月では過ごし方が全然違うというのは前から知っていたけれど、実際に経験してみると、頭では分かっているつもりでも自分に言い聞かせないと正月であることを忘れてしまう。

なんせ、ここまでなにもしなかった正月は初めてだった。

今年は忘年会も無ければ仕事納めも無い。年末年始の特番も無ければ初詣も無い。引越のおかげで大掃除もない。年末年始の挨拶も家族でしただけだし、お年玉をあげる(もらう)相手もいない。

かろうじて年越しそばと元旦のお雑煮を食べた以外は何にも無し。いつもの通り夜にベッドに入っていつも通り娘のパンチで目が覚めたら新年を迎えていた。

実際は引越を控えてお正月どころじゃないからかもしれないけれど、すっかりアメリカ式といえばアメリカ式の正月を迎えている。日本人として過ごしてきた習慣はそう簡単には抜けないとはいえ、環境によってすぐに変わるということか。

クリスマス休暇が続いている人も多いようで2日に行ったショッピングモールは混んでいたけれど、同時に近所の会社では朝から続々と出社しているし夕方にはいつも通りの帰宅ラッシュ。
いつもと変わらぬ日常が始まっていた。
自分も半分くらいアメリカ式に年始早々からのんびりと論文の校正や事務メールを再開。

 

そんな中でふと気づけばMITに初めて登校したのが1年前の今日。あの朝は不安と期待でどきどきしながら早起きして学校に向かったのだ。今年も新入生たちが合宿のような一ヶ月の初日を迎えていると思うと不思議な気分になる。もう一度やってみるかと言われたら・・・2年くらい後でいいと言うと思う。あの一ヶ月はそれくらいタフで刺激的な一ヶ月だった。

振り返るとつい先日の事だったような気もするし、遙か昔の出来事だった気もする。あれから自分が大きく変わった気もするし、根本的には何も変わっていない気もする。

そんなことは卒業してアメリカを離れてからゆっくり考えるべきだけど。

ちなみにSDMプログラムの1月のスケジュールがGoogle Calendarで公開されているのでGoogleアカウントを持っている人で興味がある人はSDMで検索してみてください。もちろん土日や何も予定がない夕方もプロジェクトのグループワークと宿題で学校は大にぎわいのはず。

それでは皆様、今年も変わらずよろしくお願いします。

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2007年12月31日 (月)

一年の終わり、そして事の終わりに向けて

20071231_1_2 激動の一年も静かに終わりを迎えている。この一年どうだったかと聞かれても、短い言葉で的確にはとてもじゃないけど言い表せない。

あまりにも多くのことがあったし、それらの多くは自分にとって初めてでしかも鮮烈なインパクトを放っていったのだ。

ただ言えるのは、今までの人生で公私のどちらにおいても一番強く、そして一番長い期間プレッシャーを受けた一年だったこと。そして何よりも最初から最後までそのプレッシャーを楽しんでいる自分がいたことだ。

これは自分にとって素晴らしい経験だったし、その一方で数え切れないほど多くの人たちに支えられてこなければできなかった事は身にしみている。お礼を言っても言い切れないくらいだ。

とはいえ、SDMでの留学生活を総括するにはまだ早い。老子が言ったように「終わり間際も、始めと同じくらい注意深く行えれば失敗することはない」し、木登りは降りるときに地面が近くなってから一番用心しなければならない。

というわけで、あと2週間ちょっとの間、初心に戻って緊張感を持って最後の詰めを終わらせようと思う。

皆様にとっても来年が良い年でありますように。

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2007年12月29日 (土)

学んだことの重みと一年という時間

20071228_1 MITでは一月のIAPに始まって、春、夏、秋の3学期を過ごしてきた。たったの一年だけれども人生のベスト3に入るかもしれないくらいに思いっきり勉強した一年だったと思う。取った授業は全部で18クラス、145単位。それに24単位の修士論文が加わる。

SDMの学生は一般の大学院生のように研究室に所属しない。その代わり1月にここで紹介したとおり、ちゃんとそれなりの設備があるので学習環境は研究室で机を与えられるのと同じくらいには恵まれていたんじゃないかと思う。

個人での勉強もチームでのプロジェクトも、この環境があったからこそ思う存分やってこられたし、逆にこの環境がなければ13ヶ月でこれほどの量をやり遂げる事は不可能だったかもしれないと思う。論文を除いて全てをやり終えた今、家の書棚に収められた膨大な教科書と資料の整理をしているとそれを実感しないわけにはいかない。

写真は家にストックしていた授業の資料。ほとんどはSloanSpaceという授業用のWEBサイトで配布された資料を授業やミーティング、そして宿題のためにプリントアウトしたものだ。積み上げてみると膨大な量だけど、もちろんこれらは一年間で印刷した資料の一部でしかない。一時的に必要だったけれど取っておく気にはならずに捨てた資料を加えるとどれほど高く積み上がるか予想もつかない。

試験には紙媒体の資料のみ持ち込み可だし、MBAコースのほとんどの授業では授業中にPCの利用が禁止されているのでスライドをプリントしてメモを書き込んだ。それに膨大な量のリーディングをこなすためにそれらをプリントして持ち歩いて電車の中で読んだりした。宿題は電子ファイルで提出しても採点は印刷した上に手書きで返ってきたりする。みんなでディスカッションするときには印刷した資料を見ながらだったりもする。

資料が電子ファイルで配布されるようになってもそれを扱う環境や人の行動がまだまだ紙に頼らざるを得ない形になっているんだなと、この山を見ながら思ってしまった。

それでも積み上げているうちにこれを持って帰るの気がだんだん失せてきた。苦労を共にした書類だとはいえ、日本に航空便で送るだけでも1万円以上は確実にかかる。教科書だけでもこの数倍の高さに積み上がる。紙の資料を保管しておく場所も馬鹿にならないし読み返したい資料を見つけるだけでも大変だ。幸いほとんどの資料についてはメモ以外の部分は電子ファイルを持っている。なので一大決心をして全部のファイルに目を通してメモをパソコンで打ち直すことにした。幸い授業のスピードについていくためにメモは最低限にしてあるので半日有れば可能な量だと推測できたし、一年間を振り返る良い機会だと考えればやる気も沸いてきた。

やってみると一度学んだ事とはいえ細かい点は結構忘れている。それに春学期には理解できなかったことが、他のいろいろな授業を取ったおかげで今になって分かったり、違う風に解釈していた事がいろいろと出てきてとても有意義だった。

そして一番強く思ったのは1年間でこの量をこなすのはちょっと無茶だったなと言うこと。実はこのことについてはクラスメートとも何度か議論になっているので思いが確信に近くなったと言うべきかもしれない。

試験や宿題で良い点を取ることと、仕事の中で使えるまでに核心や考え方を理解する事との間にはかなりの距離がある。そのギャップを埋めるにはそのための努力とある程度の時間が必ず必要なのだ。

多分この膨大なデータを一年の記録としてDVDなどに保存することで満足してしまっては1年間勉強したうちの何割かは忘れ去られて無駄に終わるのだろう。自分がSDMで一年間かけて勉強したことは何だったのか、どれくらいかかるかは全く見当がつかないけれど、それを求める日々が帰国後も続くのだろう。

日本では今日が仕事納めの人が多いと思います。一年間お疲れ様でした。
そして来年は今年以上に良い年になるようお互いに頑張りましょう。

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2007年12月19日 (水)

難関クリア

20071218_1 昨日の午前中、唯一の試験が終わってなんとか秋学期が終了。そしてもう一踏ん張りして夕方には修士論文のアブストラクトを書き終えた。これで何とか最大の山場は越えたので、これからは少し体力回復させつつアドバイザーと連絡を取り合って論文をより良い物に仕上げていくだけとなった。

今日は学校に行く用事もないしもはや宿題もないので、資料の整理や引越の準備をのんびりとやっていた。しかし何故か落ち着かない。同じようにもうすぐ卒業するクラスメートにメールで聞いてみると、やっぱり何となく脱力感に襲われているらしい。どうやらプレッシャーに追われながら突っ走る生活に慣れすぎてしまったようなので、これから年末年始にかけては少しゆっくりとこれまでの一年間を振り返ってみる時間を持つ事を心がけよう。本当に自分が何を学んだのか消化して理解するにはもう少し時間がかかるはずなのだ。このブログもこれまで紹介できていないトピックをできるだけ書き残していきたいと思います。

(写真は凍り始めたCharles River。去年よりもずっと寒いので全面凍結するのを見届けてからボストンを離れることになりそうだ。)

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2007年11月10日 (土)

Interview Week

20071109_0 今週一週間はインタビューウイークだった。何のインタビューかというと就職のインタビュー(面接)だ。卒業したら帰国して今の仕事を続ける予定の僕には関係ないけれど、来年1月~6月に卒業する予定のSDMとLFMのクラスメートを対象に、企業のリクルーターが採用面接をするためにこぞってMITにやってきた。

Intel, Amazon, Microsoft, Dell, Cisco, Boeing, Raytheon,きりがないけれど知らない名前は一社もない。これがMITのネームバリューとコネクションかと関心してしまった。どこで面接が行われるかというとSDM/LFMのエリアにあるミーティングルーム10室が全て面接室に早変わり。そのため一週間丸々ミーティングに使えなかったけど案の定だいたいの授業では今週期限の宿題は無しになって、仕事を探すクラスメートたちはみんな勉強そっちのけで就職活動対策に集中(自分はもちろん論文)。

当然だれもこの一週間ですぐに仕事が決まるわけではなくて第二ラウンド、第三ラウンドが待っているし、簡単に次の面接に進めるわけでもない。そもそも企業が募集しているポジションと給料が自分の経験とスキルとモチベーションにそう簡単にマッチするわけではないようで、アメリカ人のクラスメートも「まったく、ほんまに毎回しんどいねん」とこぼすこともある。それでも自分のスキルと経験を武器に常にチャレンジしている彼らの姿勢はなかなか逞しい。

自分が就職活動で面接を受けにあちこちを回っていた頃を思い出しながら、新卒でない今、仕事を辞めて新しくチャレンジするとすればどこが何故自分を雇ってくれるだろうかと考える。日本でもそう思いながら仕事をしてきたつもりだったけれど、自分はまだまだ今の立場に甘えているなと気づいた。

しかし普段てきとーな格好をしているクラスメートも、ちゃんと髪を切ってスーツを着込んで忙しそうにしていると不思議と仕事ができそうな気がしてくる、いや実際できるんだろう。
よく考えたら普段対等に接しているクラスメートも年齢にすると5~10ほども違って、仕事に就けばマネージャークラスの人材が沢山いて、そういう人たちと対等な立場で一緒に学生生活を送っているわけだ。僕は平均年齢に近いので年上も年下も同じようにいるわけだけど、そういえば今まで年齢のことを考えて接したことがほとんど無かったし、結局意味をなさないのが当たり前のようで妙に新鮮に感じられた。

結局自分は何にもしなかったけれど、周りからいい刺激をもらったインタビューウィークだった。

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2007年10月30日 (火)

とりあえずなんとか

20071028_0 先週の木曜日は論文アドバイザーとの月例打ち合わせ。執筆はなかなか進まずに遅れ気味なのだが書く内容は大体固まってきたのでしばらくディスカッションした後で「後は頑張って文章を纏めればOKなんじゃない?」と言ってもらえた。
とりあえず予定通り帰国できる範囲に、なんとか居ることがわかって一安心。

とはいえ、どちらにせよほっと一息ついていられるわけではない。ゴールは視界に入ったものの制限時間内にそこまでたどり着けるかが勝負になってきたわけで、ばてないようにペース配分しながら全力疾走する予定。

もちろん勉強ばっかりしているわけではなくて合間を縫ってクラスメートや家族と遊ぶ時間も少しは取っている。Red Soxの優勝も見届けたし、来月はバスケ、12月はアメフトのスタジアムに足を運んで4大スポーツの観戦もグランドスラムして帰る予定。

というわけで、頻度は多少落ちるかもしれないけれど、プロジェクトマネジメントの話、イリジウムとグローバルスターの話、ボストンに仕事で来た職場の人の話、車の話、ハロウィーンの話、娘の話と書きたいことはいっぱいあるので徐々に紹介して行くのでお待ちください。

(写真は今日家族で散歩した公営グラウンド)

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2007年10月19日 (金)

Last Dinner

20071018_1_2 明日で一週間のビジネス・トリップが終わるので、今日は恒例の夕食会が開かれた。いつもは近所のレストランのバーエリアを借り切ってしているこの夕食会、今回はAlmuni Conference(卒業生カンファレンス)が合わせて開かれていることもあってか近くのホテル最上階にあるパーティスペースを借り切ってビュッフェ形式のディナーだった。ちなみに来年度の学生(SDM'08)も一部来ていて、カンファレンスには日本人の受験生(日本の大学と違って願書を出した人から審査を受けて合格者が定員に達すると締め切る)が2人もいたらしいので会えるかと期待していたのだけれど、残念ながら会えなかった。是非とも合格して入学してもらって、1月に会えることを期待しよう。

夕食会は、同伴有りなので皆と同じく当然ながら妻と娘も参加。1月の集中授業が終わった直後に生まれたうちの娘はみんなのアイドルみたいになっていて、3ヶ月毎に会うのを楽しみにしてくれているクラスメートも多い。3回目の今回、娘はみんなに愛想を振りまきまくった上に、つかまり立ちも披露して得意気だった。妻も3月のディナーでは標準スピードの英語についていけずに焦っていたのが、さすがに半年も経つと慣れたようで放っておいても奥様達で会話を楽しんでいる。妻曰く「他の日本人一家と違って娘の検診についてきてくれない希有な旦那のおかげ」らしい・・・・いずれにせよあっという間の楽しい3時間だった。

3月、7月と3ヶ月毎に開催されてきたビジネストリップも今年はこれでおしまい。つまり13ヶ月で卒業するメンバーと遠隔授業を受けるメンバーが顔を合わせるのはこのビジネス・トリップが最後の機会であり、今日が最後の夕食会だ。これから残りの2ヶ月はスクリーンでしか会わないのは何とも寂しい限りだ。

本当は写真でも撮っておけば良かったのだけど、色んな人たちと話すのに夢中ですっかり忘れてしまっていた。明日の授業が本当に最後の機会になるので忘れないようにしよう。

写真はディナーが始まる直前に撮った今日唯一の写真。チャールズ川越しにボストン市内を望む。
最上階とはいえ実は16階、ケンブリッジは小さな街なのだ。

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2007年10月17日 (水)

3/60

20071016 先週辺りから涼しいと言うよりも寒くなってきて、空気に冬の匂いが感じられるようになってきた。
最低気温もいつの間にか7度くらいになっていて夜家に帰るときにはしっかり上着を着込まないと震える寒さ。あと半月もしてハロウィーンが終わったら、いつ雪が降ってもおかしくないらしい。

外は寒くなってきたけど、先週からそれを吹き飛ばすくらい忙しい。今週は宿題4つにプロジェクトのマイルストーン1つ、論文執筆が重なっている上に、昨日から1週間の予定で秋のビジネストリップが始まっているからだ。ビジネストリップというと本来はキャンパスにいる学生がどこかに出かけるのが普通だ。しかしSDMプログラムでは遠隔授業を受けている学生がキャンパスに集まってくる機会になっていてイベントが満載だ。

授業や論文がどんなに忙しくてもクラスメートとの交流はできるだけ欠かすことが無いようにしたいと思っているので可能な限り参加することにしている。教室の外で築く人的ネットワークとコミュニケーションから得るものは人生の財産として決して小さなものではないと感じているからだ。

それに普段スクリーンや電話を通してしか話すことができないクラスメート達と実際に会って話しをすると、何故かほっとする。用事は電話やメールで済んでもやっぱり会わないと伝わらない何かがあるんだろう。キャンパスにずっといる学生としては自分たちもたまにはどこかに出かけたい気分になるけれど、いつもはいないクラスメートが加わってにぎやかになったキャンパスも嬉しいのでよしとしよう。

そしてこの時期に集まっての話題は「いつ卒業する?」「就職活動はどんな感じ?」ということ。僕は就職活動をする必要はないのでひたすら授業と論文を進めるだけだ。しかし大抵の学生は就職活動を始めているのでキャンパスにはスーツ姿のクラスメートが徐々に目立つようになってきた。
一方で、そういったクラスメートの大半が卒業を6月に予定している事が判明。文字通り13ヶ月で卒業する予定なのは60人のクラスメートのうち、なんと3人だけ。みんなアメリカの就職シーズンに合わせたいのと、どうせならもう少し沢山授業を取ろうということらしい。もう少し正直に言うと13ヶ月はフルマラソンコースなのでしんどいということらしいが・・・・

確かに遊ぶ時間も少なくて誘いを断ることも度々なので(もちろん小さいのがいるからという大きな理由もあるけれど)もう少しゆったりと過ごす方がいいに決まっているが、そうも言っていられないので与えられた制約の中で精一杯やるしかない。

というわけで、1月卒業に向けて3人で励まし合って最後まで走り続けようと思う。

(写真はキャンパスにいるリス。この時期は彼らも冬支度で忙しい)

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2007年8月24日 (金)

Digital Innovation

20070823_digital_innovation メールや電話などの間接コミュニケーションは、直接コミュニケーションの代替手段ではなくて補完する手段だと書いたけれど、その一方で情報技術の発達に伴って補完できるレベルが上がってきていることは間違いない。
身近な例で言うと、Skypeをするときに音声だけの場合よりもWebCamを使ってお互いの顔を見ながら話した方がずっとコミュニケーションがスムースだし会話が弾む(気がする)。1対1であれば相手の表情もハッキリわかるし、地球の反対側同士で話しをしているようには思えなくなってくる時がある。

エンジニアリングの分野でも、これまでは2次元の図面だけではなかなか説明できなかった複雑な形状も、3D CADの出現によって完全に形状情報が伝わるようになった。まさに百聞は一見にしかずである。

つまりは、これまで遠隔で伝えることが難しかったビジュアル情報が簡単に作れるようになって、さらにその質が上がってきたことと、頻繁にあって話しをしなくても遠隔でのコミュニケーションで事足りる割合が上がってきているということなのだ。わざわざ足を運ばなくても簡単に必要な事が済ませられるのであればそれに超したことはない。

日本のものづくりは、欧米に比べてチームでの密なコミュニケーションや組織を超えた連携が長所として長年あげられてきたけれど、情報技術の発展によってその優位性が徐々に薄らいできているのではないだろうか。
まして、開発サイクルが短くなって、コスト削減と人員削減でエンジニアの層も薄くなり、じっくりとことんコミュニケーションをとる事が出来なくなってきている気がする。

日本ではチームでのシステム開発において、簡単にコミュニケーションが取れるからか有って当たり前のものであって、さほど重用視されない傾向があると思う。コミュニケーションの質を上げるには、頻繁にミーティングを開いて進捗状況や新しい情報を交換しているなどといった漠然としたルールでは意味がない。
チームに必要な情報と、そのうち各個人が何に責任を持たなくてはならないか、どうやってそれをチーム内で共有して交換し合うか、そういったことが曖昧になっている場合は、チーム内でどのようにコミュニケーションを取っているか、どういう情報が必要でどこからどう流れているか、一度地道に見直す必要があるのではないだろうか。

要は仕事の仕方を把握した上で、便利でお手軽な情報共有ツールなどが自分たちの仕事をどうサポートしてくれるか考えれば良い。その上で、間接コミュニケーションと直接コミュニケーションの使い分けとバランスを考えるべきだろう。

日本では仕事のミーティングの後に必ず飲み会を開く人がいるが、意外とそこで行われるディスカッションに含まれる情報の価値は高かったりする。こうやって有象無象のチーム活動を通じて何となく議論が深まって情報が生み出されると同時に共有が進んでいく日本型のコミュニケーションと、役割と責任を明確にした上で情報を生み出して共有するプロセスさえ明確にして物事を進めていく欧米型(とはいえ、MITにいてもこれを上手くやっている人は意外と少ない印象がある)の良いとこ取りがナントカできないだろうか。

ということを考えるのが、実は僕の論文テーマと関係していたりもする。

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2007年8月18日 (土)

2/3

20070818_1 一昨日はSystem Dynamicsの最終課題を提出、昨日はSystems Engineeringの授業で最終プレゼンテーション、そして今日はAccountingの持ち帰り試験(Take-Home Exam)を提出。これで夏学期は終了。

苦手なAccountingに一日費やして疲れたので帰ろうとしたら、残っていたクラスメートから「せっかくなんだからちょっと付き合えよ」と言われたのでキャンパス内のパブへ。そこでしばし10人程度でリラックスしていたのだけれど、何人かに「秋学期で卒業する予定か?」「卒業したら日本に帰るのか?」と聞かれて急にそれが現実味を帯びていることに気づかされた。
あっという間にスケジュールの2/3が終わっている。沢山のことを学んできたけれどそれを昇華して客観的に理解するまでにはもうちょっと時間がかかりそうだ。

残りの秋学期も授業3つと論文に追われてこれまで以上のスピードで駆け抜けていくことになるんだろうと思う。そうして気がついたら苦楽を共にしてきたクラスメートとは次いつどこで会うとも知れない別れ待っているんだな、などと傾いた太陽の光を浴びながら妙に感傷的になってしまった。秋学期が始まるまでの2週間、この夏を振り返ってみる時間を作ろう。

といいたいところだけれど、来週には論文アドバイザーとのミーティングが控えているので、もう少し夏学期のおまけが続く。そして休みの間にはこれまでの遅れを取り戻すべく、研究を進めなければ。

・・・じっくり振り返るのは帰国してからだな、これは。

写真はMITの象徴Rogers Building、通称Mini Domeの中から。

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2007年8月 5日 (日)

苦手科目

20070804_1_2 夏学期に取っている4つの授業はバラエティに富んでいるという話を前回した。

システムズ・エンジニアリングは、アラカルトでSEの考え方を学んでいく授業なのだけれど日本でやっていた仕事と関連が深いことから結構すんなりと理解できる。
しかもQCD(品質、コスト、納期)、SEプロセス、統合開発チーム、ロバスト設計、発見的研究法、などと言ったSEの考え方から、Pugh Matrix、House of Quality、TRIZ、Critical Parameter Managementと言ったテクニックを浅く広く学んでいくものなので、それぞれについては何となくわかっておけば良いというのが正直なところ。
授業自体の評判があまり良くはないけれど(たしかに上手い授業ではない)、それなりに学ぶことは多い。SEってもっと形式的なもんだと思っていたけれど、結局は経験があって判断が出来る人がいてこそだということと、経験豊富で判断力のある人がいるだけでももったいないなということが明確に理解出来たのは良かった点だろう。

システム・ダイナミクスはこのブログでまとめて紹介してきたとおり、エンジニアにはわかりやすいし(元々はSystem Dynamics for BusinessというMBAのコース)授業も面白いので何とかついていっている(と思う)。

サプライ・チェーン・マネージメントは、日本でものづくり系の雑誌とか日経なんとかを読んでいたことがあったからだと思うけれど、概略はすんなり理解できたし、何しろトヨタ生産方式を筆頭に日本企業をお手本にした話しが多いのでとてもやりやすかった。

 

問題はAccounting(会計学)だ。ハッキリ言って金勘定とか企業経営とかに興味が全く無い人生を過ごしてきたので知識もゼロだった。こんなに会計に頭を使っているのは保育園のお店屋さんごっこ以来だと言っていいだろう。さらには、これまでのエンジニアとしての経験も全く使えない。
教授の早口英語を聞きながら授業をフォローするのも一苦労である。正直言って後からWebVideoで授業を聞き直さないとついて行けない。
いや告白しよう、宿題の点数を見る限り、多少ついて行っていない(汗)。

これまでの他の授業を何とかやってきたと自負しているが今回ばかりは分が悪い。全く専門外の新しいことを英語で勉強するのがこんなに大変だとは思ってもいなかったのと、これまでは日本での経験にかなり助けられていただけだったのかという思いで少しショックだった。

それでも最近は徐々に追いついてきたのと、興味が多少持てる話題に移ってきたので楽しむ余裕が少しは出てきた。
もちろん教授もエンジニア集団であるSDMの学生が会計の仕事をやるとは、まっっっっっっっっったく思っていない。しかし将来会社を経営する立場やマネージャーとして判断をしなくてはいけないときには自社が置かれている状況や見通しをどうやって把握するか、そして専門家である会計士に何を相談すれば良いかを少しはわかっていて欲しいと言うことらしい。
授業の内容は、ちゃんと理解できた上で気が向いたら紹介したいと思う。

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2007年8月 4日 (土)

夏休み?

20070804_1 8月に入って、クラスメートとは「夏も後半やな~」なんて話しをしている。もちろん皆が楽しみにしているのは夏学期の終わり。8割が終わってこれから宿題と試験とレポートの嵐を乗り切るために、その後の秋学期が始まるまでの短い休暇を励みにモチベーションを上げているといったところだ。
アメリカの大学生活を知っている人からは「今そっちは夏休みでいいよね~」なんて声も聞こえてくる。確かにMITキャンパスは夏休みに入って学生の姿はぐっと減ってサマーキャンプの中高校生や観光客でにぎわっているけれど、残念ながらSDMプログラムでは夏の間もしっかりと授業が用意されている。他学部の学生も取れるけれど、基本的にどれもSDM用にアレンジされている特別プログラムだ。

キャンパスに通う人も働きながら遠隔授業を受ける人も取らなくてはいけない授業は2つ

  • Systems Engineering(12単位)
  • Financial and Managerial Accounting(9単位)

キャンパスに通う学生はさらに1~3つ

  • System Dynamics for Engineers(12単位)
  • Supply Chain Management(9単位)
  • Lean/Six Sigma(9単位)

13~18ヶ月コースのクラスメートは大体が最初の4つ、合計42単位を取っていて僕も例外ではない。
ただし、夏学期は10週間あるけれど授業のボリュームは14週間の春秋学期と同じなので1.4倍圧縮されている。すなわち額面は42単位なのだが、実際は59単位。と言うわけで授業にかけている時間は大体70~80時間/週と言ったところじゃないかと思う。
Supply Chain Managementは7月後半で授業が終わったので、今はやっとその分を卒業研究に当てることができている。

とまぁ春学期と変わらぬ大忙しなスケジュールなのだけれど、授業はSystem Design and Managementの全ての分野に散らばっていてなかなか面白いので日本に帰ったときの仕事に関係あるなしにかかわらずに出来る限りのことを学んでいる(何より授業単価に直すと約$45/時間!1回さぼると$100飛んでいくと考えたら無駄には出来ない)。

写真は卒業式が行われるKillian Court。夏の日差しを浴びて緑が映える。

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2007年7月20日 (金)

壁一面が使えるのは便利!

夏学期もようやく折り返しの時期を迎えているので本格的に宿題の内容が重くなってきたと同時に、中間試験の準備にも追われている。みんなからも「1月のブートキャンプのように忙しい~」と悲鳴が聞こえてくるけれど、そんな中で13ヶ月で卒業する数人(気がついたらたったの数人になっていた・・・)は研究も進めているのでかなりの正念場を迎えていると言ってもいいかもしれない。それでも研究は今頑張っておかないと後で辛くなるのであと一ヶ月と思って励まし合って(慰め合って?)何とかやっている。

このブログでもなかなか紹介する機会が持てない卒業研究だけど、少しずつは進んでいて今日はアドバイザー(指導教官)との定期ミーティング。おおよそ順調じゃないの?と言われてちょっと安心しつつもこれからが本番だしまだ明確に考えが纏まる兆しが無い・・・。

さて、下の写真はアドバイザーのオフィスとそこに隣接するミーティングスペース。なんと壁一面がホワイトボードになっていて書き込める。単に表面がコーティングされた壁紙のようなものなので安いだろうし、家には要らないけれど日本に帰ったら職場に欲しいと思ったのは僕だけだろうか?

20070719_kabe1_1

20070719_kabe2

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2007年6月14日 (木)

論文提案が通る

20070613_1 かねてから懸案だった研究課題が決まった。今日の午後にアドバイザーをお願いしてメールでやりとりしていた研究者に、かねてから送っておいた提案書を承認してもらい、サインをもらうことができた。
ドラフトを送ってからなかなか返事がもらえなかったのでちょっと心配していたのだが、単にとてもとても忙しかっただけのようで、ほとんど変更や追加なしで認めてもらえた。

そのアドバイザーはDonna Rhodes博士。彼女はMITのSystems Engineering Advanced Research InitiativeというSEの研究所に所属していて、僕が参加しているSEの団体INCOSEでも活発に活動しているSEの専門家だ。INCOSEのシンポジウムで航空宇宙産業におけるSEの最新動向についての彼女の講演を聞き、強烈な印象を受けたのが確か2004年頃だったと思う。それから3年越しにMITで会って論文のアドバイザーになってもらえるのだからとても嬉しい。
もちろん修士論文でしかも半年で書き上げるものなので研究する範囲、深さ、ボリューム、どれをとっても限られている事は確かなので、その中でどれだけきらりと光る内容を入れられるかが鍵になる。

「12月初めには第一稿を書き上げて」と言われているので既に半年を切っている。この夏はMITのオンラインを中心に関連の論文を探し回ってひたすら読み込む事になりそうだ。急がば回れ、じっくりと過去の研究例を理解しながら9月、10月に行う予定のデータ解析に向けての作戦を練る予定だ。
研究の内容については追って報告するのでお楽しみに。

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2007年6月10日 (日)

Thesis Proposal

20070609_11 昨日はMITの卒業式。月曜日から始まる夏学期の教科書を買いにCOOPまで出かけたら記念品を買い求める家族連れでごった返していた。Sloanは建物の前でパーティ、みなさすがに晴れやかな表情をしている。卒業式は年に一回なので、1月に学位を受けた場合にも式典に出たいならば6月に戻ってこなければならないけど、是非ともそうしたいと思わせる光景だった。

さて、僕が参加しているMITのSDMプログラムは工学修士の学位をもらえるので論文を書かなければ卒業できない。ただ、僕たちはどこかの研究室に配属されるわけではない。自分で研究をしたい分野の教授をつかまえて、アドバイザー、スーパーバイザーとして研究を指導してもらい、卒業時には修士論文として認めてもらうことが必要なのだ。

最短の13ヶ月で卒業しようと思うと、夏学期には論文のための研究テーマを決めて、研究を始めないと間に合わない。既に卒業まで7ヶ月間しかないし授業を取りながらなのでかなり忙しいことは間違いない。僕もほぼ指導教官の目処をつけて最終的なテーマを選定し、Thesis Proposalと呼ばれる文書の作成と最終調整を進めているところだ。

このThesis Proposalと言う文書は日本の大学では学士、修士の時には書かなかったし、そんなものがあることさえ知らなかった。書かなければいけない主な項目は次の通りだ。

  • 論文タイトル
  • 動機
  • 研究の主要目的
  • この論文で取り組む事(Thesis Statement)
  • 工学およびマネージメントの観点から見て含まれる内容
  • 研究の進め方
  • スケジュール

要は研究を始める前に、どのような研究を・なぜ・いつまでに・どうやって進めるかの計画を立てるのだ。
SDMの学生は100%社会人経験を踏んでいることもあって、多くの学生が企業での事例検証(Case Study)を行う。教授も理論に対する検証事例が増えるのでこれを好む事も手伝っている。理論の構築や企業から出資を得て実験をする学生はかなり少ない。
もちろん事例検証が簡単かというとそうでもない。企業の情報を外部に出すことになるので、いかに情報を匿名化して企業の了解を得るかが問題になる。軍事産業や、航空宇宙産業の場合は特に難しい問題になる。中には論文を書き終える直前になって企業から待ったがかかった例もあるらしく学校側も非常に気を遣っている。

ただ、欧米の企業を題材にした事例検証の論文を読み込むうちにすごいなと思うのは、設計変更や仕様変更をいちいち文書にして記録していること。一日に個人が何回もその記録を書かなければならない場合もあるだろう。その徹底的な文書化による開発管理と、ある程度人に任せて定期的に記録をまとめて取るやり方と、費用対効果でいうとどちらがいいのかはわからないけれども、何が起こっているかを把握して改善していくには前者の方が向いている気がする。

というわけで、多分に漏れず僕の論文も文書ベースのデータの分析ではなく、インタビューや記憶を頼りに分析をする割合が多くなりそうな予感がしている。

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2007年5月19日 (土)

Classes in the Spring Term

20070518_1
参考&自分のメモ代わりに春学期にとった授業リストと感想を。
授業の内容で面白かったことはこの休み期間中にどんどん紹介していく予定なのでお楽しみに。

  • コアコース

ESD.40 Product Design and Development (12単位, 通期)
製品設計からプロトタイプの製造までを通して経験する授業。
マーケティングやニーズ分析、ビジネスプラン、特許調査までやるのでかなりヘビーだけれども新鮮かつおもしろい。単なる工作じゃなくて、ものづくり全体のプロセスにふれることが出来たのは価値有り。担当はDaniel Whitney教授とPat Hale教授

ESD.721 Engineering Risk-Benefit Analysis (9単位, 3/4期)
確率統計によるリスクとメリットの分析方法、サプライチェーンとの関係などについて学ぶ。ベイズ理論や正規分布などを駆使するかなり数学的な授業だけれども、数学モデルは議論の促進や重要なパラメータの認識共有には使えるけれども、実際の確率値を精度良く見積もるのは難しいし、その信頼性の問題もある。なので、それだけを頼りに意志決定をするのは危険で間違ったことということを聞いて腑に落ちた。
担当はこの分野の第一人者らしいGeorge Apostolakis教授。Science of Accademyの会員らしい。期間はSDM用にアレンジされている。

ESD.802 SDM Thesis Seminar (3単位, 通期)
SDMの学生は研究室に所属するわけではなく、勝手にアドバイザーを捜すことになるので頻繁にアドバイザーになってくれている教授陣が交代で研究内容を紹介してくれるコース。研究室に所属するわけでもないSDMの難しいところだけど、逆に何でも出来る自由度はある。

15.840 Marketing in the Innovation Place (6単位, 前期)
開発した技術や技術革新を元に市場に参入するときに行うべきマーケティングについての授業。やはりIT系が多いけれどもエンジニアとしては新鮮な視点が多く、エンジニアもマーケティングはわかっとくべきと思わされた授業。何が商品やサービスの価値を生むのか、どうしたら買ってもらえるのかを考えさせられた。担当は訪問教授Barak Libai氏。

15.905 Technology Strategy for SDM (6単位, 後期)
新技術を持って市場に参入する場合や、大きく成長した後にこれまた新規技術や他の大企業に脅かされる企業がどう行動すべきか、その時点での市場動向や技術動向を分析する授業。Sloanでは全期で提供されているクラスをSDM用に半期で行うので毎回課される読書量が半端じゃない。
担当はMichael Davis氏。肩書きはシニアレクチャラーだが、携帯業界の共通規格を決めるコミッティーのコンサルタントをやっていることもあってIT関係の話題が多い。
単にいい物を作るだけじゃなくて、何が市場で価値を生むか、どうやってその価値を利益に変えるかについて考えさせられる授業だった。

ESD.762 Systems Optimization (6単位, 1/4期)
ふたを開けてみるとエンジニアリングとはあまり関係ない、投資配分と利益の最大化、リスクの最小化の数学的手法を学ぶクラス。
数学を駆使した経済の授業と言ってもいいほどで、ROIがどうとか減価償却がこうとかで、1ヶ月だけだったけれどもかなり濃い。みんな一週間に12時間以上費やした気がする。それでもYield Managementとか、投資リスクと利益の最大化とか、どちらかというとマネージメントやファイナンスについて学んだ気がする。
担当はDavid Simchi-Levi教授

  • 選択コース

ESD.58/15.365 Dsruptv Technology: Prdtor or Prey (9単位, 通期)
技術革新がどうやって起こってくるか。なぜ一世を風靡した企業が簡単に廃れていくのか。マクロ、ミクロの両方の視点から学んだ。そのダイナミクスはなかなか簡単に1つのモデルで表現できるわけではないけれども、1つの分析の仕方を学んだ。担当はJim Utterback教授。

15.980 Organizing for Innovative Product Development (6単位, 後期)
組織におけるコミュニケーションが距離や部屋のレイアウトによってどう促進減退するか、組織形態やヒエラルキー文化などが組織の違いによって何が利点で何が、問題点になるか、などについて学んだ。担当教授のThomas Allen氏の42年に渡る研究はデータの古さはあるもののマネージメントの観点からは学ぶ事が多かった。ただ、補聴器をつけての授業ということもあって学生の声が聞こえづらいのとテンポが緩いのが難点。御年75歳で今期限りで引退。最後の授業で学べたのはラッキーだった。

DAD.001 First Newborn Child Care(24単位相当,通期)
娘の出産から首が据わるまでの子育てを体験。義母のヘルプがなければ最初の一ヶ月は持ちこたえられたかどうかわからないくらいハードだったけど、最近は夜中に起きる回数がかなり減ったのでだいぶ楽になってきた。妻も頑張った甲斐あってか元気にすくすくと成長している。感謝。

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2007年5月18日 (金)

Spring term is over!

20070517_1 ここ数日春学期の最終レポートとプレゼンテーションの嵐におそわれていたけれどなんとかそれもやり終えて、春学期の授業が今日で終了。幸い試験がある授業が1つもないので来週の試験期間を含めて夏学期が始まるまで、しばらく学校は休みに入る。他の学科やコースで卒業する人たちは卒業していく。

いやー短いようで長かった。1月は充電完了状態からの短期決戦で乗り切ったけども、4ヶ月間の持久走をフルスピードで走り続ける春学期はヘビーだった。もちろんそれをやり遂げた達成感と成長したという感は僕だけじゃなくて多くのクラスメートが確かに感じている。昨日から「終わった?」「あといくつ?」と言う会話がそこかしこで飛び交っていたし、ほぼ全員が取っているSDM向けの授業が終わるたびにバーに出かけて祝杯を挙げた。

授業を全体的に見てみると、半期、通期合わせて8つの授業、57単位。13ヶ月の学生としては平均的(これ以上取っている人は稀だが)。ちなみに単位数は、授業を含めて一週間で標準的にかかると予測される時間(まず収まらないけど)。分野としてはシステム・エンジニアリングが3割、エンジニアリング・マネージメントが4割、ビジネス(マネージメント、マーケティング)が3割といったところ。

今日昼ご飯を食べた香港出身のクラスメートからは、「最初の頃のチームディスカッションの頃から比べると、だいぶ英語上達したねぇ」「言ってることが聞き取れないとか、意味がわからん、ってことがかなり減ったもん」と言われて嬉しいような悲しいような複雑な気分。

確かにクラスで英語でのコミュニケーションに問題があるメンバーリストなんぞあったら載っかるはずだし、ディスカッションのテンポを落としたり、チームレポートを提出前にみんなでクリーンアップしたら自分のところが重点的に真っ赤になっているのも事実なので、なんとかしなければ。

さて、明日は朝からバスケして、昼はとある授業で組んだチーム4人で解散ランチ。
夏学期が始まるまでの休暇は論文の準備と充電に充てる予定。
もちろん家族との時間が多くとれるのは嬉しいし、既に妻のなかでは行き先リストがある模様。育児を24時間頑張ってくれているのでお互い息抜き出来る貴重な機会なので有効にのんびりしよう。

写真は祝杯を挙げるのによく使うバー。周期メニュー表、らしい・・・

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2007年5月13日 (日)

SD+M

200705012_1_3 数日前にSDMプログラムのホームページがリニューアルされた。
それに伴ってかどうかわからないけれども、ホームページ上ではプログラムの略称もSD+Mに変わっている。System Design + Management=SD+Mというわけだ。
まさか慶応義塾大学がSDMと言う名の研究科の開講を計画しているから、と言うわけでもないだろうけど・・・・

そして、この2つの事件に対して一部のクラスメートがメーリングリストで議論を始めている。「はっきり言って見にくい、いや醜い!」「プラスって何だ?」「いやいやマネージメントを重要視した結果だ、OKだ!」、「ハーバードよりはかっこいいのを作らんと!」、「こんなwebだとSDMプログラムの価値が損なわれる」、「学校側に再考してもらうように訴えよう」などなど、僕の日本人的?感覚からするとそんなこと学校側に任しとけばいいやん、と思うことも積極的に絡んでいく。

学生がフェローとして運営改善などに関わっているSDMなどの社会人コース特有の話なのかもしれないけれど、普段のコミュニケーションを見ていると、学校運営側や教授陣に対してもアットホームな感じで日本よりもかなりフランクで立場の違いがそこからは見えないくらい。学生といえどもSDMの将来の価値が下がると自分の価値が下がるとも言わんばかりで、自分が属しているコミュニティーは自分たちで作り上げていくという考え方の端くれを見た気がした。それがアメリカという国の若さを象徴しているようにも思える。
もちろん実力主義のアメリカでも実は看板は重要でもあると言う理由もある。

しかし始めて訪れた人にはどうなんだろう、このデザイン・・・・
アートとしては悪くないと思うし慣れれば使いやすいかもしれないけど、
沢山の人に見てもらおうと言うにはちょっとわかりづらいんじゃないかという印象。

ちなみに各ページにちりばめられている写真のいくつかには僕もいる。
疲れている時期だった上に髪の毛伸びきっているのであまり見てくれ良くないけど。

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2007年5月 4日 (金)

You, entrepreneurs are liars!

20070503_you_liars 「君たち起業家は嘘つきだ」という一言で始まったのは、山場を迎えている製品開発の授業。
新しい技術を開発して商品開発して儲けようと思ったら、特許取って資本を借り入れて会社起こすことも多いアメリカだし、授業でもマーケティング、特許取得と対策、ビジネスプランの作成についてももれなく勉強させてくれている。

今日はベンチャーキャピタルを運営している卒業生が「どうやったらベンチャーキャピタルから投資を受けることが出来るか」ということを話しに来てくれた。

個人的にはいくら金持ちがうらやましくてもマネーゲームに没頭する気は毛頭ないのだけれども、自分で開発した物を売るというのは考えると面白そうだし、そのゲームのためにはお金が必要なのは当然なので興味深く聞かせてもらった。

しかし現実はそれほど甘くない。彼の経験では投資した件数の85%は芽が出ずに終わる。
その代わり、15%では投資から5年以内に1億ドル以上の収入を得る企業に成長するし(それ以下は敗者、らしい)、ベンチャーキャピタルも最低で投資の5倍以上のリターンを得ることができるので成り立つのだそうな。それでも、ビジネスプラン以上の収入を得た企業は最近5年の121件中たったの1件だったとのこと。そりゃ嘘つき呼ばわりするのも納得。

さて、ベンチャーキャピタルから投資を受けるには何が必要か。
もちろん魅力的な技術や特許が必要なことは言うまでもない。プロトタイプがあればなお良い。
そして、商品が出来れば買うと言ってくれている客がどれだけ付いているか、販売してくれるルートがいくつあるか、市場のアナリストから良い分析結果を得ているか。逆にマスコミでいくら取り上げられようが、どこぞの賞を取ろうが投資にはあまり関係ないらしい。
最後は、あなたが誰から推薦を受けているか、職歴と人脈から見てCEOとしてどれだけの手腕が期待できて優秀なチームを長期的に率いていけるかが非常に重要とのこと。ビジネスにはドライなアメリカというイメージがあるかもしれないけれど、やっぱりコネは非常に大きな力を持つ。

「できるだけ多くの人と会って話せ、わからないことや興味を引かれることがあったら質問し続けること、黙っていて得なことはない。すべては君の人脈にかかっている。これ抜きにしては俺が今日しゃべったこと全部ゴミだ。」
そういって彼は帰っていった。

ハーバードビジネススクールの学生は、授業の成績がAであるような最低限の努力をして、最大限人脈作りに励むため、生活費の4割は教授やビジネス関係の交遊費という話もあながち嘘ではないようだ。

もっとも、最近はMBAを取得して起業して大成功したCEOが多いかと言われると疑問だけれど。

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2007年5月 2日 (水)

May

20070501_may 気がついたら5月。
既に夏のセッションと秋学期のクラス登録が始まっている。
あまり選択授業を取っている余裕も必要性も無いのだけれど、一つぐらいは面白そうな授業を探してみる予定。Sloan(MBA)の授業は、取りたい授業に対して手持ちのポイントを配分して賭けるBiddingシステムなので、よくよく考えなければ。

気がついたら娘は3ヶ月。
風呂に入れた後に計ってみたら身長61cm、体重6.8kg。
さすがに女の子なので当時の自分には及ばないけど、ちょっと太めかも・・・・。
それでもよくぞここまで大きくなったなと思う。

学校も子育ても変化の早さについて行くのが大変だしあっという間に毎日が過ぎていく。
それでもふと振り返ると、たどってきた道筋と変化の大きさに驚かされる。
貴重な経験をさせてもらっていることに感謝。

写真はキャンパスから望むチャールズ川とボストン市街。

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2007年4月28日 (土)

Spring Term 2007

20070427_1日本は連休に突入しているけれども、もちろんアメリカでは関係なし。 遅めの春の訪れとともに春学期はそろそろ終盤を迎えて忙しい時期に入っている。最終コーナーに入ってホームストレッチが見えてきたというところだろうか。

SDMプログラムではコアコースの他に4つ以上の授業を(13ヶ月コースは春夏秋の3学期で)履修しなければならない。選択候補となるクラスは以下の4つのカテゴリに分類されていて(重複あり)バランスよくとることが必要。

  • エンジニアリング
  • マネージメント
  • 製品開発
  • システム設計

僕は気がついたら13ヶ月コースの学生としては非常に標準的な構成になっていた。秋は論文に時間を割くため、多少無理してでも今のうちに2クラス選択授業を取る。
とは言っても、ワークロードの大きさにくじけてか、徐々に修学期間を延長する学生が出ていて、元々20人弱いたはずの13ヶ月で卒業する気でいる学生は10人位になっているようで・・・・がんばらなくては。
しかし授業は常に5~7クラスあるし春学期だけで53単位とるのは結構大変です。

それでもそれぞれ個性的で学ぶところが多いので、今後しばらくかけて徐々に紹介していきます。


今晩は久々にのんびりとテレビ観戦。松坂対松井よりも岡島の活躍が気になりました。今は松坂の勝利記者会見を長々とやってますが、テレビから日本語が聞こえるのが変な感じ。今や彼もすっかりRedSoxの一つの顔です。

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2007年4月13日 (金)

Focus on people

20070412_1 今日は午前中の授業が終わると、みんな一目散に教室を後にした。ジャック・ウェルチ氏がやってくるのだ。
彼はジェネラル・エレクトリック社のCEOを20年も勤め、Fortune500から最も優れた経営者に選ばれたこともある有名人。300人は入るだろう会場はMBA関係の学生を中心に1時間前からごった返していた。
特に主題のある講演でもなく、ホストを務める教授と会場からの質問に答える形で1時間うだうだ話をするだけなのだけれども、ファンも多いようでサインしてもらうために彼の著書を持って来ている学生も多かった。

彼も70歳を越え、とうに引退している身なので精力的に何かをアピールするわけでもなく、笑いをとりながら自分の価値観を語ってくれたのだけれども、一言で言うなれば「企業は人なり」だと伝わってきた。容赦なく事業閉鎖や解雇をするCEOとして聞いていた感じからは意外だったのだけれども、「情けをかけて後でもっと困った事態になったときに決断するのと、どちらが皆を不幸にするかを考えると明らかだ」という言葉からは、ちょっと過去の苦労がにじみ出ていた。

早速MITのWebに記事と動画がアップされているので興味のある方はどうぞ。

それにしても日本企業はMITでも常に分析の対象になっている。ウェルチ氏もトヨタの経営について少し語ったのだけれども、その他の日々の授業でも日本企業の例が出てこない日はないと言っても過言ではない。
今日も午後の授業2つの中で日本企業が分析対象として登場した。中でもゲスト講師が語ってくれた”Globarization”の例は非常に面白かった。
アメリカの企業が生産拠点を中国に移す場合、中国の製造会社と契約して生産を委託するのが一般的だそうな。それに対して日本の企業は自社の生産拠点を中国に建てて現地で職員を採用する方式をとることが多い。

その根本にあるのはInnovation(創造性)についての考え方の違いのようだ。
つまり、アメリカ企業にとっては、製造は単なる作業と割り切れるものでスペックをクリアしてくれるのであれば誰にでも任せられる仕事なのだ。バリューチェーンの一番重要なところ、新しい製品や技術の創造と製品設計さえ押さえておけば良いということらしい。iPodが良い例だろう。
一方で日本企業は、経営、研究、設計、製造の全てが密接な関係を持っていると考えているところが多く、製造現場の経験を次の製品開発に生かすと言う考え方や、バリューチェーンの全てをカバーすることが競争力維持につながるという考え方だと分析されていた。

エッセンスとしては、短期的な利益はアメリカ企業の方が大きい事が予想されるけれども、日本企業の方式も学習効果が高く長期的な利益はこちらの方が大きくなる可能性もある。グローバリゼーションも様々な戦略が共存し得るということだった。

僕からすると、改善を支える生産現場労働者の能力の差は特筆に値するにしても、単に人材を数年ごとに入れ替える契約主義の文化と、長期雇用で大成するのを待つ文化の違いが反映されているだけであって、企業も産業も国による経営戦略の違いがあっても全て人が基本。それは忘れないでおこうと再確認した一日でした。

"If you run a company like GE, you don't know much in the way of details about the businesses ... what you do know about are the people you're dealing with. In the CEO's world, it's the people you need to focus on. The CEO of GE puts the right people in the right jobs, gives them the resources they make a case for, and gets out of their way."  (Jack Welch氏の今日の言葉から)

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2007年3月25日 (日)

Communication Seminar

20070324_1 1月にプレゼンテーションの講義を受けたけれども、今月からは徐々に個人レクチャーが始まっている。
プレゼンテーションの構成や内容ではなく、その資料をどうやって相手に伝えるかに重きが置かれている。
いかに印象的で聞いていて気分のいいプレゼンテーションにするか、コミュニケーションの手段や表現力について教えてくれるのだ。
1人30分ずつだから講師は大変だと思うのだけれども受ける方としてはなかなか面白い。
講師のMs.Cashは他の授業ではまずお目にかからない経歴の持ち主だからと言うこともあるだろう。
彼女はアメリカ文化を紹介する講師のキャリアだけでなく、なんとベテランのプロシンガーという肩書きも持つ。実際歌手としての経歴の方が長いようで、10年以上前のことらしいけれども日本でも頻繁にステージをこなしていたと言うから驚きである。
つまり、根っからのエンターテイナーが引退後にコミュニケーションの専門家として活動し、MITがプレゼンテーションの講師として呼ぶのだから面白いものだ。

さて、30分の個人レクチャーでは始めに5分程度のプレゼンテーションを彼女の前で行った。
それに対しての評価は思った以上に良いものだった。どこまで本気かわからないけれども次の2点を直せばほぼ完璧だということだった。
一つは日本人にとって大変な'L'と'R'の使い分け。
僕は舌っ足らずなのか、日本人には珍しくLをRで発音してしまう事があると昔から外国人には言われてきたのだけれども今回もそれを指摘された。ネイティブは悪い発音でも補正しながら聞いてくれるので何とか通じるのだけれども、やっぱり聞いている方が疲れるしストレスなので常々気をつけて欲しいとのこと。
余談だけれども特に東海岸はアイウエオの中間音の母音が西海岸よりも多いらしいのでそれも気をつけなければならないので日本人には大変らしい。

もう一つは抑揚と強調。言われていれば確かにそうだけれども、アジア人はなぜか話すときに抑揚をあまりつけない。それがアメリカ人にとっては聞いていて苦痛らしい。言いたいことや重要な言葉は一文の中でも抑揚をつけるべしと教えられた。
"Technology itself is not the key of launchers' performance."という感じだ。

最後に思い切り抑揚をつけて2,3ページをプレゼンし直してみたのだけれども、「やってみてどう?」と聞かれたので「ちょっと馬鹿っぽい?」と答えたら「まだ足りないくらいよ。これを見たら絶対あなたのプレゼンはもっと抑揚が付くように変わるから」とこの30分を録画したDVDを渡された。

なるほど、自分のプレゼンを見るのは何回目かだけれどもこの方法が一番プレゼン改善の参考になる気がする。
そして確かに英語でプレゼンするときにはもっと派手にやった方が良いようだと納得。
もしかして一種のエンターテイメント気分でやった方がいいのかもしれないと思ったのでした。

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2007年3月19日 (月)

SDM07 in Wikipedia

20070319_1 非常に便利なWeb辞書のWikipedia。アメリカの大学ではレポート課題の情報源として使用を禁止するところが出たとニュースになったくらい影響力を持つようになっている。
もちろんだれでも自由に書き込めるところが売りなのでやたらマイナーな事が詳説されていたりするのも面白い。

で、英語版にはSDMについての説明も載っている。そしてクラスメートが見つけたのだけれど、さすがにこれには驚いた。

犯人は事務の姉さん。面白いけど、いいんすか・・・・ま、いっか。

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2007年3月18日 (日)

SDM07 Picture Book

20070317_1 今年のクラス、SDM07と呼ばれる僕らの学年の写真集(Picture Book)が完成した。
写真集とは言ってももちろんカジュアルなものではなくて、学歴、職歴、出身、家族、そしてオフィシャルな顔写真が載った小冊子である。
これはSDMの関係者の間でお互いをよく知るために配られるだけではなく、SDMのスポンサーや協力機関に配られることになる。学生にとっても企業にとっても就職活動の重要な参考資料になるわけだ。みんな普段と違って?いかにも仕事ができそうなすばらしい人材に見えるから不思議なものだ。

気づいた人もいるかもしれないけれど、SDMのロゴが近日中に新しく変わりそうだ。配られた名刺のデザインも既にこのロゴに変わっている。

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2007年3月17日 (土)

Business Trip Week

20070316_1 3月後半はとても課題に追われる日々が続いているけれども、今週は遠隔授業を受けているクラスメートもキャンパスに集まる1週間。MITは完全に遠隔授業での学位を認めていないのでこうして3ヶ月に1度、キャンパスに全員集合。教室も普段スクリーン越しにしか見てない顔が並んでいるのでちょっと変な感じだけれどもいつもよりも賑わっていて皆こころなしかテンション高めな一週間だった。

で、一週間も終わりに近づいた昨日の夕方は近くのシーフードレストランのバーで懇親会。うちの娘はクラスで初の子供と言うこともあって、会うのを楽しみにしてくれていたクラスメートも多かったので、もちろん妻と一緒にお披露目。
娘は初めて大勢に囲まれて多少途惑っていたけれども、さすがに子持ちが多いだけあって皆赤ちゃんの扱いには慣れている。めいいっぱいかわいがってもらったし、クラスメートの女の子1人に至ってはよほど気に入ったみたいで娘の魅力に秒殺。抱かせてあげたら「連れて帰りたーい」と言い出してなかなか離さない。今日会っても、来週からのプロジェクトでの放課後のグループワークに連れてきてと言われてしまった。
妻もクラスメートから「旦那を夜中まで拘束してしまってごめん」だとか、「大丈夫だった?」とか色々気を遣ってもらって嬉しかったようなのだけれども、遠慮のない英会話の早さについていこうと必死でせっかくの会話と料理を楽しむどころでは無かったようだ。
とにかく、こうして妻と娘の社交デビューは無事終了。

余談だけれども、昨日、一昨日と続けてクラスメートに子供が生まれて、プログラムが始まって3ヶ月経たないうちに合計3人も子供が生まれている。さらに夏にはなんとクラスメート自体が出産予定とあって非常に「生産的」な学年なのだ。

てな事がありながら、あっという間に短い1週間は終わってしまった。そして遠隔参加の皆は帰路についたのだけれど、折り悪く今日は昼からいきなりのドカ雪。夕方には空港が閉鎖されたみたいで飛行機組は帰れなかったんじゃないかとちょっと心配だ。もちろん3~5時間かけて運転して帰るという車組も心配。

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2007年3月 3日 (土)

100K

20070304_1 昨日はクラスメートの心意気?について書いたけれども、実は卒業したら近いうちに起業したいと考えている人もクラスの約半分に上っている。
そう言うクラスメートたちはこぞって、とまではいかないけれども、多くがSloanが提供する100Kと呼ばれるコンペに参加している。ここで提案したビジネスプランが認められれば$100Kの起業資金が与えられるのだ。インターネットのAkamaiがここのアイデア発だったりするなどちょくちょく大成功を収めるようなので侮れない。

公式サイトはこちら
Sloan日本人会有志提供の日本語の非公式説明もあります 

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2007年3月 2日 (金)

Classes of Classmates

20070301_2_2 20070301_1_2 SDMプログラムはその名の通り、Systems Design(システム設計)とEngineering Management(技術・システムの開発管理)を学ぶコースだ。もちろん工学的な面だけではなくて、組織運営(財務、特許などの法律関係、企業倫理など)も含められた、MBAの要素も併せ持っているのは以前に紹介したとおりだ。

個人的には前者のSEの要素を重視してこのコースに入ったし、クラスメートの多くがMBAには無い技術開発の側面が魅力的であると言っている。
それでもこれまでの授業でのグループワークとクラスメートがどのような選択科目を取っているかを聞いていると、これまでに自分が考えていたのとちょっと違った結果が見えてきた。

クラスメートの平均年齢は33歳なのだけれど、平均年齢よりも若いエンジニア(最年少は23歳のジェットエンジン設計者)はどちらかというとマネジメントよりもエンジニアリングに興味が強くSE関係の授業やシステム開発の授業に燃える傾向がある。それでも意外とシステム開発のプロセスに不慣れだったりする。

一方で、平均年齢より上の層になるほどもちろんマネージャーの職に就いている(就いていた)人が多いので、MBAの授業や財務、政治に関係した授業を傾向が強い。さらにエンジニアリングに関する授業に興味が薄く、SEについても理論を熟知している人が少ない気がする。例え会社で標準の開発プロセスが有るような企業出身でもだ。
唯一の例外はやはり軍と航空宇宙産業の関係者。

とまぁ当然と言えば当然といえるような結果なのだけれども、どの年齢層にも共通して言えるのは起業家精神たくましい人が多いこと。授業での設計プロジェクトでも、あわよくば特許を取ろうと頑張ってしまうのだ。もちろん設計の授業では特許、ROI等の財務計画、SCMについての講義もそれぞれ1回ずつ用意されている。
当たり前のことだけれども卒業したら社会に出るわけで、日本ならば企業に入社してから教えられることが大学で教えられていて、よっぽど実践的な教育になっている。

ずっと日本で教育を受けてきた上に起業家精神のあまりない僕にはちょっと新鮮だったりする。

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2007年2月18日 (日)

Tweel!

20070216_2 一昨日の授業でちょっと驚きの技術を知ってしまったので紹介しよう。その名はTweel、なんと空気の要らないタイヤだ。既に去年には紹介されていたようだけれども、ミシュランが開発したこのタイヤは板状で弾力のあるスポークを放射状に入れることによって実現している。技術としては既に確立されていて乗り心地も一般的なタイヤに負けないくらいのレベルを達成しているらしい。パンクが無いというのは全く持ってすばらしい。これまで紹介されていたパンクしないタイヤはいかにして中の空気を維持するかを考えていた気がするが、それが難しいなら無くていいようにしてしまえと言う発想の転換だ。

紹介記事と写真はこちら。動画もYouTubeで紹介されているので一見の価値有りです。4輪バギーとか電動車いすも動いています。

製造コストがまだまだ高いので一般的に売られるにはもうちょっとかかるようだけれども、教授の話では、実はこのタイヤの商品開発に反対しているグループがあるらしい。

それが他ならぬミシュランの社員達なのだ。

確かに、この全てにおいて現状のタイヤを上回っているタイヤが開発されてしまえば、現状売られているタイヤは圧倒的に不利になる。タイヤビジネスの勢力図さえ変えてしまえそうなこの技術は、現状のタイヤで順調に商売を続けている人たちにはまさに恐怖であり、未知の世界へ突入することの不安と混乱の元なのだろう。

実はこれはミシュランだけの話ではなくて、新しい技術を得た大企業が陥りがちな問題であり、いつの時代においてもイノベーションが起こったときに直面するジレンマなのだ。この状況にミシュランがどう対応するか非常に楽しみなところ。

授業の名前はDisruptive Technology、Sloan Business School提供。音楽の分野でCDを過去の物にし始めているオンライン販売のように、現状のスタンダード技術/商品を”破滅させる”技術を製品に導入するときに、経済的、企業経営的、そして技術的にどう考えて行動すべきかを学ぶ授業だ。

この授業はまだ始まったばかりなので追々紹介する予定。お楽しみに。

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2007年2月16日 (金)

Distance Learning

20070215_1 SDM ProgramとSloan Business schoolでは遠隔での授業参加を認めている。にもかかわらずその授業ができる教室は両者の校舎から見てキャンパスの逆端にあって片道10分以上歩かなければならないのは運動不足解消以外に適当な理由が見あたらない。

で、話を戻してそれがどういう感じで進むかというとこんな感じです(写真)。遠隔地にいる学生の顔を見るのがなぜ教授じゃなくて教室にいる学生かという疑問はあるけれども、教室の設備の制約のためだろう。
9カ所以上から接続されている場合は、遠隔地からの発言がある度にランダムに再配置されて見える人と見えない人が入れ替わる。

遠隔地から参加する人のタイムゾーンも場所もそれぞれなのだが、回線と設備の品質にばらつきがあることや、マイクのハウリングやエコーの問題もあって遠隔地の学生だけでなく教室にいる学生にも結構なストレスが発生したりしている。この10年でテレビ会議はかなり進歩したと思うけれどもまだまだストレスフリーな環境にはほど遠いようだ。なにより遠隔地からの学生からすると質問するタイミングがつかめなかったりクラスの状況がよく理解できない事が度々ある。教授もスクリーンには常に背を向けているから遠隔地の学生が手を挙げても気づかないし映っていない人はどうしようもない。

で、そう言う問題を少しでも解決しようとSDMのクラスメートはメールで議論して、今のところインスタントメッセンジャーを使うことにしている。MITはAOLのメッセンジャーAIMを標準と定めているので、TAのオンライン名も公表されていてAIMでの質問も受け付けてくれるのだ。
話を戻すと、僕たちはSDMのクラスメートが多く参加する主な授業で1~2人のオンキャンパス学生の代表者を決めた。そして遠隔地の学生は自分で教授の話を遮らずとも代表者に質問したいというメッセージを送れば、ポップアップに気づいた代表者が手を挙げるなり頃合いを見計らって質問があることを教授に知らせるという仕組みだ。

今のところ結構上手く機能していると思うのだけれども、実はSloanの授業ではエチケットとしてPCを使うことが禁止されている授業が多い。理由としては「教授はあなたがPCを使って何をしているか知っているから」(わかるかな?)という、まぁもっともな理由だ。PCで辞書を引きながらノートを取る事に慣れている僕としてはちょっと辛いけれども仕方ないと認めざるを得ない面もあるのは事実。テレビカメラの向こう側にいる学生(授業画面をPCで表示している学生を除く)にも禁止しているくらいだから、どうしようかと皆頭を悩ませている。

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2007年2月 7日 (水)

Classes of Jan. 2007

20070206_1 出産には多くの方々からお祝いをいただいています。本当にありがとうございます。
それでもこのブログが子育て日記にならないよう、久々にSDMの授業の話題に戻ります。

さて、気がついたら今日から春学期が始まっていて構内は学部生と思われる人たちであふれかえっているのだが、しばらくは1月を振り返っておきたい。今日はまず軽く1月の授業をSEの授業、その他のレクチャー、ホントにその他に分けてリストアップ。

もし興味がある科目があればどしどしコメントやメール等で問い合わせください。記憶が新しいうちにここで紹介していきたいと思います。

SEの授業
System Architecture (2.5H×7)
システムとは何か、その分析の仕方と考え方を学ぶクラス。グループワークの宿題がとにかくタフだったが面白いクラスだった。担当はProf. Ed Crawley

The Human Side of Leading Technology (3H×8)
既に2度紹介した、技術主導型の開発における人の振る舞いや技術と管理の関係について学ぶSloan Business School提供のクラスで、1月の中で一番新鮮で面白かった。担当はProf. Ralph Katz

Leadership (3H×2)

開発チームのリーダーは何を考えて何をしなければならないかをボストン市内と空港を結ぶ地下道路開発を例題に考える授業。正直言ってあまり面白くなかった。担当はProf. Jan Klein

Technology Leadership (7H×1)
ヨーロッパからの招待授業で一日コース。どちらかというとシステム設計の話が多く、良いデザインと悪いデザインの理由を解説するものがメイン。全く新規の技術&システム開発に取り組んでいるエンジニアは全体の6%しかおらず、残りは既存のものの組み合わせと改良がメイン。如何にして後者の部分を旨くやっていくかが企業にとってキーである事に皆共感。担当はProf. Guillermo Aguirre

Design Challange #1 (放課後×7)
既に紹介済みのロボットデザイン活動。詳細は割愛するがハードだった。

Design Challange #2 (放課後×10)
既に紹介済みのシステム設計活動。これまた割愛しますが#1以上にハードでした。

Probability & Statistics (3H×5)
確率統計の授業。半期分を1ヶ月で駆け抜ける特別授業。おそらくリスクベネフィット解析などの基礎知識になるはず。教材と宿題はWEBで公開されている。担当はProf. Jeremy Orloff



その他のレクチャー
Presentation Skills (1.5H×1)
プレゼンテーションの時の振る舞いや話し方、聴衆との間合いの取り方などを講義してくれた。担当はMs. Louise Cash. 元シンガー&パフォーマーという今回の講師陣の中でも異色の経験者にして適材。

Conflict Management (1.5H×1)
異なる考え方、文化、経験の人々とどうコミュニケーションを取って行くべきかの講義。退屈でした。担当はSDMの卒業生でもあるMs. Toni Robinson

Career Development (1H×1)
SDM卒業後を見据えた就職活動について。担当はSDMスタッフのMs. Helen Trimble. 企業のマネージャーを引退したかなりのお歳のおばさま

Resume Workshop (1H×1)

就職活動のための履歴書の書き方について。アメリカでは職に対して能力と経験がかなり厳密に求められるので、いかに端的に自分の経験と実績が職にマッチしているかを書く事を求められる。へ~。担当はMIT Careers Officeの担当者

Corporation & SDM - Oppotunities & Issues (2H×1)
SDMと企業の関係、主に卒業後の就職と人脈形成についての話。担当はSDM企業ディレクターのMr. John Grace.SDMはHead Directerの下に、企業と大学両方のディレクターを置いている。

SDM Program Options & Financial Structure (2H×1)
SDMプログラムは学生としての授業の受ける手段や卒業までの年数について非常に柔軟でバラエティに富んでいるので、その説明。担当はHead DirecterのProf. Pat Hale.

SDM Committees (0.5H×1)
SDMプログラムがどういう形で存在するか、学内と学外の関係についての説明。担当はHead DirecterのProf. Pat Hale.

 

その他はざっと簡単に。
Registration (1H×1)
春学期の授業登録手続きについて。自分が選んでいるSDMへの参加形態によって登録を求められる授業がことなるのと、SDM用にアレンジされたコースもあるので要注意。

Sloan Space Intro (1H×1)
SDMプログラムの学生がつかえるSloan Businness School提供のWEBシステムについての紹介。これが使えないと授業もまともに受けられない!

Distance learning Overview (1H×1)
遠隔授業で参加する方法についての説明。1カ所接続する地点を登録する毎に$800もかかるし、授業毎にお金がかかる。決して安くはない。

Distance Etiquette (1H×1)
遠隔授業で参加するときのエチケットについて。過去には顔がはみ出すように映っていたり、後ろで奥さんがずっと着替えをしていたなんて事もあるので要注意らしい(笑)

MIT Library Orientation (1.5H×1)
図書館の利用方法について。MIT図書館はWEB環境が充実しているが、やはり本で借りる事も多いようだ。問題は図書館がかなり散在していること。

MIT Medical Plan Review (1H×1)
ここ、マサチューセッツ州ではアメリカの医療保険がないと学生になれない。MITが提供する保険についての概説。なんと妊娠している状態で加入しても出産がカバーされる。かなり助かりました。

LFM-SDM Knowledge Review (7H×1 & 5H×1)
卒業する人たちがメインの研究プレゼン。参加は自由なので多くのクラスメートが参加したかと言われると疑問だが、僕は出産立ち会いで残念ながら不参加でした。


こうしてみるとホントに濃い一ヶ月だったなと実感するのでした。

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2007年1月31日 (水)

Boot Camp Is Over!

今日は朝からクラスメートの間で「あと○時間だね~」と言う話題がずっと上っていた。そう、1月のBoot Campと呼ばれたプログラムの最終日だったのだ。常に寝不足で曜日も朝夕も関係なく突っ走ってきた1ヶ月の終わりを告げる一日だった。
20070130_3 中には勢い余ってこんな頭にしてしまったクラスメートもいたくらいで、皆の喜びがどれだけ強烈なものだったか少しはわかってもらえるだろうか(わからないか・・・)。
この厳しい一ヶ月を皆で乗り切ったことで、すごい連帯感が生まれているのは間違いない。今日で一区切り付くことを喜びながらも、終えるのが寂しいと言う気持ちもあって皆で苦労をねぎらったのでした。

20070130_2そして最後に皆で集まって感謝の気持ちを伝えた相手がいる。Tedという1人のスタッフだ。彼の肩書きはLogistics & Event Cordinatorだけれども、早い話が僕らの世話人だ。朗らかでフレンドリーな性格のせいもあるのだろうけれども、授業の事に限らず学校の手続きから私生活まで、とりあえず何でも相談に乗ってくれるし面倒を見てくれる、必要なら相談すべき相手を紹介してくれる。そして1月の特別プログラム中に早朝から深夜まで学校にいる僕らにSDMプログラムから提供される飲食物からデザインチャレンジの景品まで、必要なものの手配は全て彼が1人で取り仕切っていたのだ。

僕も入学が決まってからは授業のことはもとより家探しのことまで相談に乗ってもらったし、入学してからもずっと世話になった。彼がいなかったら僕らのBoot Campはもっと大変なことになっていたに違いないと誰もが思っているのは間違いない。
皆でこっそり彼の趣味を聞き出して、皆のサイン入りのカードと一緒にプレゼントを贈ったのだった。間違いなく1月のどの授業の終わりに送られた拍手より大きかったと思う。
大学の普通のプログラムにはいない存在じゃないかと思うけれども彼の存在はSDMプログラムにとって間違いなく非常に重要な要素でした。

さて、全てのプログラムが終わった後にすることは決まっている。みんなふらふらで疲れ切っていたけれども街に出かけて祝杯を挙げた。残りの長いハードな1年間を無事やって行けるのかという不安がありつつも、1ヶ月をなんとか落ちこぼれずに過ごせたという安堵と、ちょっとは成長したかなと言う喜びを今日は感じながら騒いだのでした。

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2007年1月30日 (火)

Training? Education?

Training(トレーニング)とEducation(教育)の違いは何だろうか。

今日の授業でたった1分くらい話題になっただけだけれども印象に残ったので忘れないように残しておく。変な例だけれども世の中で言う「教育ママ」という表現は「トレーニングママ」という方が正しいんじゃないかと考えさせられてしまったからだ。

僕は、トレーニングは主に何か問題が生じたときにそれを解決する方法論や手法を学ぶものだと考えている。つまり目の前には既に問題があって、それに対するアプローチが定義されている場合に有効だ。わかりやすく言うとだれかが開発した問題解決法の手順やツールの使い方を学ぶことだ。僕はゆとり教育以前の世代だけれども、たいていの学校とか塾のスタイルはこれに当てはまっていたんじゃないかと思う。

一方で教育は主に物事に対する考え方や取り組み方を学ぶものなのではないだろうか。その目的は未知の領域に踏み込むため、もしくは陥ったときに対応するためにあると考えている。別に人類史上初でなくてもいい。未知の問題、経験したことのない問題にはエンジニアでなくとも誰もが生活の中で直面するはずだ。そこでいかにして何が問題かを特定し、解決策を考え、限られた時間と資源と手持ちの武器で乗り越えていくかを考えなければならない。特にグループの場合はそのマネージメントも必要だ。マネージメントとはもちろん問題が起こらないように管理するだけではなく、チームをより好ましい状況に導くことだ。
これにはどれだけ詰め込まれた知識やケース毎の対応策があっても限界がある。常に現れる新しい状況、環境の変化に対応し、時には新しい状況を作り出すための能力。簡単なことではないけれども、企業でも家庭でも人を教育していくとはこういう事なんだろうと思う。

そしてふと思ったのだけれど、実はこれがイノベーション(革新、刷新)の源なのではないだろうか。もちろん知識や経験という手持ちの武器がなくては何もできないし、他人の経験を共有することができれば非常に大きな助けとなるのは言うまでもない。

もちろん知識は有った方がいいしある程度は必須なので詰め込み教育を否定する気はないけれども、二つの差異とバランスを明確に認識するべきなんじゃないかと言うのがポイントです。日本にいたときにはあまり明確に考えなかったけど。

今日の午後は「技術者の倫理について」「リーダーシップとは何か」「ケーススタディのコツ(TA※による講義)」が、それぞれ2.5時間ずつ。タフだったけれど、新鮮でなかなかためになった。

※TA=Teaching Assistant、授業の助手みたいなもんです

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2007年1月28日 (日)

SDM&LFM Office

僕が通っているSDMはMITの普通の大学院コースより授業料が圧倒的に高いだけあって設備は充実している方なんじゃないかと思う(Sloanには負ける気もするけど)。
その設備を簡単に紹介しよう。

20070127_21連日連夜、僕がグループワークをしている場所はE40号館の3Fにあって、登録された学生しか入れないエリアにSDM専用のオフィスがある。正しくはSDMプログラムだけではなくて、同じ枠組みで設立されているLeaders For Manufacturing (LFM)と共有になっている。その共有設備はざっとこういう感じだ。

  • Break out room 12室

20070127_22写真にあるとおり、6人ほどの会議室でプラズマディスプレイ、テレコン設備、ホワイトボードがある。今回はご覧のように壁にフリップチャートをバシバシ貼り付けながらグループワークをやってました。


  • 個人ロッカー 各人1つ

コインロッカー程度の大きさで、古めかしいダイヤル錠。アメリカ人に言わせると「高校生に戻った感じ」らしい。
20070127_23_1

  • 共有勉強机 70席ほど

事務机が置いて有るだけだけれども、もちろんすごく助かる。ただし所々椅子がない・・・

  • キッチン

冷蔵庫、テレビ、食卓、レンジ等が備わっていてコーヒーやソーダも50セントで飲める。なぜか誰かが置いていったらしきTVゲームが置いてあったりする(笑)

  • ソファースペース

談話用で10人くらいであれば座れる

それじゃぁ、これをどれくらいの人数で共有しているかということが気になるのだが、フルタイムの学生だけじゃなくて、遠隔でのテレビ会議方式で授業を受ける学生や、働きながらフルタイムの学生の半分の頻度で通学するコミューターの学生がいるので厳密に見積もることは難しい。それでも単純に計算して、SDMとLFMの両プログラム合わせて在籍している人数で220人程度なのだ。LFMはよく知らないけれどもSDMの場合はフルタイムの学生は1/3程度しかいないのでかなりゆったり使えているというのが自分の感覚だ。

日本で仕事をしていたときが信じられないくらい会議室の予約が楽だし、設備も充実している。会議室だけじゃなくとも教室の近くに行けば共有スペースがあってソファーやテーブルもたくさんあるのでディスカッションに困ることはない。日本にいたときもこれくらい会議室があるといいなぁと思ったのでした。
もっとも日本にいたときよりは圧倒的に無駄な会議が少ないけれど。

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2007年1月25日 (木)

Design Challenge #2 is Over!

20070124_1_1 これまで10日間かけて頑張ってきたデザイン・チャレンジ#2の最終プレゼンテーションが終わった。
僕らのチームは個性の強いキャラクターが多かったことと時間が無いことも手伝って、意見がかなり衝突した。それでも膨大な努力とチーム内でのポジションを皆が見つけることができた事によって最終的には一つにまとまることができたし、良い「次世代のエネルギーシステム」のプロポーザルにたどり着くことができたと思う。

僕らのチームは、何がクリーンエネルギーの導入を阻んでいるのか、それを取り除いて化石燃料からクリーンエネルギーへの移行をどうやれば加速することができるかと言うことに注目した。そして結論としては技術的な解を提案するよりも、むしろ社会的に技術開発とクリーンエネルギーの導入を加速させる仕組みを組み込むことを提案した。

これはなかなか他のチームには無かったアイデアだったので結構好評だった。とはいえ、結果的に最優秀賞を決めることは困難であるという、ちょっと脱力な結果だったので、自分たちの提案結果がどう評価されたのかよくわからない。

一方で、自分自身のことを考えると、チームの中では一番英語が下手なこともあって論文作成とか議論では結構足を引っ張ったのだけれども、エネルギーと言う日本人であれば身近に感じている人が多いトピックだったことも幸いして、日本の事例をや考え方をインプットすることで、システムコンセプトにかなり貢献することができたのではないかと思う。
今日のプレゼンテーションでも担当部分の発表について、終わってから何人のクラスメートとレビュワーの先生の1人に「プレゼン良かったよ」と言ってもらえたし、なんとメールでわざわざ面白かったと言ってもらえたので正直とても嬉しかった。
ということで全体的には何とかお荷物にならずに終えることができてほっとしているというのが正直な感想だ。

そしてもう一つ、今までかなりブロークンで通してきた英語も、もうちょっと流暢にしゃべれてすらすら書けるようにならんといかんなぁ、と切に感じたのでした。

明日期限の宿題はないので、終わってからはMITの近くのバーに早々に繰り出してチームメートとビールを一杯だけ飲んで馬鹿話に花を咲かせた。夜中に何度も緊張感漂う議論があったりしたけれどもこうやって今回のグループワークを笑って振り返れることが気持ちよかった。(心地よい疲労感というやつか)

1月のブートキャンプも、いよいよあと1週間です。

余談だけれども、プレゼン中に60人の聴衆に対して「家電製品を買うときに省エネを気にする人~」と質問したら手を挙げてくれたのは1人だけだったのには正直びっくりした。エネルギー問題解決の道は長そうです。

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2007年1月21日 (日)

Design Challenge #2

20070120_1 今日は土曜日だけれど、たくさんのクラスメートが学校に来ている。
先週末から始まったデザイン・チャレンジ#2が大詰めを迎えているからだ。午後2時から議論を開始して、一区切り付いたところで長時間の休憩に入ったので気分転換にこの記事を書いている。

話を戻すと、今回は前回のロボット設計とはうってかわって、非常に分析的で論理的な提案が求められる課題になっている。一言で言うと「新しい社会システムの提案」だ。
トピックはチーム毎に異なるけれども、僕らは「新しいエネルギー供給システム」を選んだ。他のトピックは

  • 飲料水供給システム
  • 食料供給システム
  • 医療のための社会インフラ

最終結果は論文形式でまとめた上、MITのシステム工学科(ESD)の教授とそれぞれの専門家を含めたレビュワーの前でプレゼンをやることになっている。

今回のチームメイトは僕を入れて6人なのだが、議論は非常に難航している。
取り扱う地域的な範囲をアメリカに絞っているのだが、解決策をどこに持って行くかで全くまとまらない。
日本人の僕と、中国人2人、アメリカ人だがエネルギー問題の専門家の1人は、将来的には石油エネルギー依存を脱してクリーンエネルギーに移行することと、エネルギー消費量を減らすことが非常に重要だと認識しているのだが、残りの2人のアメリカ人クラスメートにそれを理解してもらうのに丸2日かかった。
そして今議論しているのは「どうすれば一般的なアメリカ人”Average Joe & Jane”に省エネの意識を持たせることができるか」、「政府が補助金を出すことが当てにできないアメリカで誰がクリーンエネルギーの高いコストを負担するか」と言うところである。
唯一一致しているのは「新しいエネルギー供給システム」とは、「新しい技術を利用した継続利用可能なエネルギー供給インフラ」だけを指すわけではなく、そこに移行させるための設備、教育なども含める必要があると言うことだ。まだ道のりはとても長そうだ。

それにしても、アメリカ式議論は非常に疲れる。各自が意見をぶつけ合ったり攻撃と防御を繰り返さなければ気が済まないので、お互いの意見を聞いてその違いと妥協点を探ろうという日本的な考え方は全く通用しない。できるだけ積極的になろうとはしているけれども、まだまだ期待される域にはほど遠いようだ。

9時から再度ミーティングなのだがそこで僕はケーススタディとして

  • 日本で省エネが推進されている現状はどうやって作り出されたか
  • 日本におけるエネルギー政策と新エネルギーの導入状況

について説明することになっているので頑張ります。

・・・その前にまずは晩ご飯。

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2007年1月20日 (土)

Monty Hall Problem回答

1月17日のMonty Hall Problemのコメント欄に問題の解答を掲載しました。

SDMプログラムのトップページも今年のクラス写真が掲載されています。
僕を捜すのは難しいかもしれませんが、どんなメンバーがいるのか、興味がある方はご覧ください。

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2007年1月18日 (木)

Monty Hall Problem

20070117_1 一昨日の朝から週1回、確率と統計の授業が始まった。MITの大学1回生の授業と同じ内容だからなのか、初回だからなのかわからないけれども、高校で習う程度の内容だったので頭の体操と言ったところだった。質問もあまりでなかったし、自分のPCの画面に集中している人も多かった気がする(苦笑)。

かといって、確率論が退屈かというとそんなことは全くなくて、我々の感覚とは違った事実を教えてくれることもあるのだ。実際例題の時だけは質問が頻出したのでその例題二つを紹介しよう。

高校で確率を習った人なら、
「誰か2人が同じ誕生日である確率が5割を超えるのは、何人以上のクラスか」
と言う問題は聞いたことがあるんじゃないかと思う。
1年は365日も有るんだから、一つの教室に入れる人数では無理なんじゃないかと思うかもしれないけれども、実際は23人だ。計算は省くけれども、50人もいれば軽く90%を超える。

もう一つ、今日の授業で初めて聞いた例は「モンティ・ホール問題」。これはアメリカのTVバラエティ”Deal or Not Deal”の司会者Monty Hall氏に由来するとのことだが、内容はこうだ。

  • あなたの目の前にはドアが3つあって選んだドアの向こうにある物が手に入る。
  • ドアの向こうにある物は、1つが高級車、2つが山羊(つまりハズレ)。

こういう状況でゲームは始まる。

  1. まずあなたは1つのドアを選ぶ。まだ開けてはいけない。
  2. 次に答えを知っているモンティが、あなたが選んでいないドア2つの内から、山羊のいるドアを1つ開けてくれる(この時点で、あなたが選んだドアか、残りの1つのドアか、どちらかのドアの後ろに高級車がある)
  3. 最後にあなたは最初に選んだドアを開けるか、考えを変えて残りのドアを開けるか選ぶことができる。

さぁ、あなたは開けるドアを変えますか?"Deal? or Not Deal?"
もちろんドアの向こうの音に聞き耳を立ててから選ぶ、なんてのはナシです。

この話が有名になったのは、1990年に、どうするのが良いか解説した番組に対して数学者100人を含む1万人もの人から「解説は間違っている!」という間違った投書が殺到したことによるらしい。

答えは2日後、この記事のコメント欄で。

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2007年1月13日 (土)

Design Challenge #1(Vol.2)

20070112_1 お互いが競い合う関係にあったとしても、協力できる事についてはお互い助け合おうという僕が今までに経験したことのないグループワークが始まった。もちろん各チームで課題を実行するためのロジックは独自に考えるし、作るロボットは違ってくる。それでもいろいろなことが協力できるものだ。例えば・・・

  • ソフトウェアの開発環境はどれが使いやすいか
  • プログラミング言語の文法と制約
  • ロボットが意図したとおりに動いているかどうかを確かめるには何が使えるか
  • 「線をたどる」などウェブ上でも得られる各種ロジックやテクニックの共有
  • 公開されているルール以外の曖昧な点について、管理人に確認して明確になった事項(どうも最初の説明時にはわざと曖昧にしか言っていないっぽい)
  • 試験コースの共作、共有

こういう関係を大事にする場面に日本では今まで出くわした事がなかったので新鮮だったけれども一つの団体の垣根を超えた協力関係のメリットを強く感じたのだった。中には突っ走って自分たちが開発したソフトウェアを全部公開しているチームもあったけれども、それぞれのチームが趣向を凝らしたロボットができあがった。

20070112_12 おとといは朝から昼過ぎまでその成果を試すコンペが開催されて、写真の通り大いに盛り上がった。結果的にはほとんどのチームが満足にミッションを達成できず、優勝したのは、ルールの一つである「人が刺激を与える毎に減点」を受けてでも音声制御でミッションを完遂したチームだった。

こうして最初のデザインチャレンジは幕を閉じたのだが、実はできあがったロボットの完成度なんて成績にあまり関係しないことは誰もがわかっていたことだったのだ。それでもソフトウェアとハードウェアが統合された一つのシステムを、見知ったばかりの仲間とどれだけ上手く開発できるかというシステムエンジニアとしてのモチベーション、何かにチャレンジするという好奇心、そしてMITの学生であるというちょっとしたプライドで頑張ってきたところはあるんじゃないかなと思う。チームメイトのみならず、多くの仲間と一体感が得られたし、改めてシステム開発の難しさを思い知った。
チーム間の情報共有のリーダー格だったGregは終わった後に「これだけの優秀な、間違いなく優秀な人間が10チームも集まって、何でこんな課題のロボットもまともに作られへんねやろ」とぼそっと言った(もちろん英語で)。ひとしきり議論はしたけれどもいまいち納得できる答えは得られなかったし、なんとなくだけれど1年間かけて考えなければならない質問だと感じたのだった。

さて、来週の月曜日はM.L.Kingの誕生日で三連休と言うこともあって明日からは入学以来初めての休日となるのだが、早くもチームが組み直されて2つめの課題が出ている。しんどくてもすごく楽しいデザインチャレンジだけれど、夜中の1時半に帰ろうとして地下鉄が閉まっている事に気づいてタクシーで帰るなんて事はもうやめようと思う。
ボストンはニューヨークと違って1時頃が終電だそうな・・・

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2007年1月12日 (金)

Design Challenge #1(Vol.1)

Lego_mindstorm_nxt Mindstormと聞いてLEGO社の名前が出てくる人がどれくらいいるだろうか。小さい頃にLEGOで遊んだことがある人はたくさんいると思うけれども、このMindstormは10歳以上を対象として、大人でも遊べるものになっている。
このMindstormの最大の特徴はコンピュータが内蔵された大きなメインブロックにいろいろなセンサーとモーターを取り付けることができるようになっていて、組み立てたロボットをパソコンで組んだプログラムを使ってコントロールできるようになっていることだ。そしてこのMindstormがLEGO社とMITの共同開発であることは意外と知られていない。

さて、実は入学してからの1週間、毎日放課後深夜まで、さらには土日も使って取り組んでいたグループ活動はこのMindstormで、とある課題を実行するためのロボットを作ることだった。このグループ活動はSDM Programの中ではDesign Challengeと呼ばれている。1月で2つの課題が出るのだがその一つがこのMindstormを使ったグループ設計だった。
僕は昔からLEGO好きなので実はMindstormで遊んでいたこともあるのだが、まさか昨年に発売された新バージョンを日夜いじくり回すことになろうとは嬉しい驚きだった。

6人一組、合計10チームで取り組んだ課題は簡単に言うと次のようなものだった。
「あなたが働いている会社の倉庫に爆弾があることがわかった、倉庫に詳しい管理人(この課題の担当者がその役を演じている)から得られた情報は次の通り。」

  • チームで力を合わせて、爆弾を取り除けるロボットを作って欲しい
  • 残念ながらロボットは遠隔操作できないので自動で動かして欲しい
  • 取り除いた爆弾は倉庫内の処理場に捨てて欲しい
  • ただし倉庫の中には重要な品物が一つ置かれているのでそれを持ってくるとボスが喜ぶかもしれない
  • 倉庫は空ではなくていろいろな商品が置かれている
  • 倉庫の床には爆弾にたどり着ける線と重要な品にたどり着ける線、立ち入り禁止区域の境界線の3種類の線が引かれているのでそれを手がかりにして欲しい
  • 与えられるキットは1台、ただしその他の材料を使って改良してもかまわない
  • チームの成果評価はロボットがどれだけうまく仕事をこなしたか、別途定める点数で行う
  • 得点の高かった上位3チームには商品が贈呈される

とまぁ、とってつけたようなシチュエーション設定に誰もが苦笑いするような課題だったのだが、ほとんどの人がMindstormを知らない状況からのスタートにも関わらず期限は1週間。他の授業の宿題も容赦なく出ているので与えられた時間を考えれば結構タフな課題だし、笑っている暇は無い。初日から深夜に渡って議論、開発に取り組んだのであった。(つづく)

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2007年1月11日 (木)

Coopetition

授業の一環でおもしろいエクササイズがあったので紹介しよう。
とは言っても、何か特別に高度なことや複雑なことをやったわけではない。単に「ルールに則って、ラインの外からかごにピンポン球を入れる。得点をなるべく多く取る」それだけのゲームだ。

6~7人1組で10チームに分かれてこのゲームをやることが告げられてルールを記した紙が配られた。口頭でも簡単に説明されたルールはだいたい次の通りだ。

  • ラインの外からピンポン球を投げてバスケットの中に入った玉の数が点数になる。
  • 1回以上バウンドしてからバスケットの中で静止しなければならない。
  • チームは投げる人と、投げる人に球を渡す人に分かれなければならない。
  • 球を渡す人がバスケットに球を入れてはいけない。
  • 毎回投げる人と球を渡す人は交代しなければならない。
  • 全チームが20球全てを入れ終わったら、球を再利用して入れ始めてもかまわない。
  • 再利用した球は全て重複して得点となる。
  • ゲームは6回行う。1ゲーム制限時間は2分、インターバルは2分。
  • 成績は取得した点数で評価する。

最初は各チームが競いあっていたのだが、途中からとあることをきっかけに、面白いことが起こった。
一つはルールに書いてないことは、何をしても良いと誰かが気づいて改良し続けたこと。つまり大きな紙を使って漏斗のようなものを作ったり、バウンドさせるのは床じゃなくても良いことなどだ。それを各チームが真似して改良することで得点がどんどん伸びた。

もう一つは、チーム同士で協力し合ったこと。ルールにあるとおり、全チームがバスケットにボールを入れられれば、もう一度バスケットを空にして得点を増やせる。そのために共通のルールを作ってスムースに事が運ぶように工夫を重ねる。時間短縮のアイデアを共有する。最終的には全体の代表者まで選ばれて全体を管理した。そう、コミュニティーが形成されていったのだ。

その結果どんどんお互いの点数を伸ばしていくことができて、最終的には最初の点数と比べて6倍以上の点数が得られるようになった。

なぜそんなことが起こるかというと、成績は順位による相対評価じゃなくて点数による絶対評価であったことが大きい。
だからこそ、各チームが独自性を発揮しながらも共有できる知識は共有して、全体の利益を増やしていくという流れに自然になったのだ。

競争関係(Competition)の中にあっても、目的が一緒であれば協力関係(Cooperation)を築くことのメリット、それがCoopetitionと言う考え方の基礎にある。世の中そんなに単純ではないことも確かだけれども、間違いなくクラスメート全員がその威力を感じていたことは確かだ。
最後にはウィンウィン(Win-Win)の関係をいかに築くか、MITは常にそれを考えている事を覚えていて欲しいという言葉で締めくくられた。

そしてこれが、その後1週間続くグループワークに大きな影響を与えたのだった(つづく)

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2007年1月 5日 (金)

IAP is the Boot Camp!

20070104_1
よく知られていることだけど、アメリカの大学は9月から始まるのが一般的だ。SDMは様々なコースがあるMITの中でも変わったプログラムで、1月から始まる。
もし今後SDMに入ることになった人がいたら是非連絡して欲しい。1月から始まることで様々な手続きが非常にイレギュラーなために、普通ならしなくても良い苦労を多少は減らせるアドバイスができると思うので。

さて、話がそれたが、1月から始まる理由がようやくわかってきた。

一般的には1月はちょうど秋学期と春学期の谷間で、IAPと呼ばれるコースが開催される時期だ。IAPはIndependent Activities Periodの略で、単位にならなくとも飛行機のシミュレーターを操縦や、芸術の授業があったりと楽しめるコースが多く用意されているようだ。

しかしSDMプログラムにはそんなことは関係ない。1月はBoot Campと呼ばれる一年間で一番タフな時期として、一ヶ月間朝9時から夕方までびっしりと授業が設定されている。さらに日によって変わるけれども4時~6時以降はデザインチャレンジと呼ばれるグループでの設計作業がエンドレスで組まれていて、最適化を始めるときりがない。さらにさらに授業の宿題も容赦なく出始めているので、入念に時間管理をしても、ほとんどの人がなかなか寝られない日が続くことになるらしい。最初の2日で既にそれが脅しでは無いことが理解できている状況に置かれている。

ではなぜ1月にいきなりそんなタフな期間を設けるのか。その答えは学生の参加形態にある。1月は60人全員がキャンパスに毎日通っているが、実は13ヶ月通い続けるコースを選んでいる人は全体の三分の一しかいない。残りの三分の二の人たちは遠隔授業か週3日通う24ヶ月コースの学生だ。そのために皆がバラバラになる2月からの春学期に向けて、この1ヶ月は同級生がどういった人間かを知るための期間なのだ。今後1年から2年の間、授業やグループワークを友にする仲間たちの特徴を十分に知っておくことはとても重要な事として明言されている。2月以降も、3ヶ月に1回は全員がキャンパスに1週間滞在する期間を設けている。

顔を合わせてのコミュニケーションが重要なのは日本でもアメリカでも同じなのだ。コミュニケーションは当然のこととしている日本人よりも、その機会を重要視して陽にプログラムに組み込んでいるアメリカの方が実は人と人とのつながりを大事にしているのではないかという気になってくる。その答えを出すためにはもう少し時間が必要だけれども。

今日の写真はMITのシンボルとも言えるKillian Court(夏バージョンです)。午後一にここでクラス写真を撮った。異常とも言えるほどに暖かい日差しを浴びて、皆でわいわいと笑ってリラックスできてとても気持ちが良かった。近いうちにSDMのトップページに載ると思うので見てもらえると幸いです。

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2007年1月 4日 (木)

プログラムスタート!

20070103_1_1
今日からいよいよ2007年度のSystem Design and Management (SDM) Programがスタートした。
僕が入学したこのSDM Programはフルタイムで通えば13ヶ月で修士号が取れる非常にハードなコースだ。そのため15ヶ月、18ヶ月に伸ばして通う人も多いらしい。また、仕事を続けながらでも通えるように週3回通学する24ヶ月のコースと、インターネットを介して授業を受ける遠隔での24ヶ月コースも用意されている。

なぜこのようなプログラムになっているかというと、このコースが完全に社会人を対象としたコースだからだ。応募規定にも以下の文言が含まれている。意訳すると

  • 工学もしくは自然科学の学士号と5年以上の工学専門家としての経験
  • 工学もしくは同等の修士号と3年以上の工学専門家としての経験

 以上のいずれかを有していなければならない。
 さらに、

  • 製品やシステムの開発を主導するのに貢献した経験
  • グループもしくはチームのリーダーとして何らかの責任を有した経験

 を持っていることが望ましい

その結果、平均年齢は30歳を超え、平均勤務年数は10年を超えている。今日集まった学生の顔ぶれを見ても明らかに自分が若い層に入るのがわかる。

さて、今日は初日と言うこともあって丸一日が自己紹介に費やされた。(夕食の後は既に最初のグループワークがエンドレスで始まったのだが・・・)一人3分ずつ自己紹介のプレゼンテーションを60人全員が行ったのだが、みんな流暢におもしろいプレゼンテーションをするのでちょっと圧倒されてしまった。印象に残っていることを挙げるとすれば

  • SDMを志望した理由としてMBAには無い、エンジニアリングとマネジメント、経営のバランスが魅力だと感じている人が多い
  • ソフトウェアもしくは電気工学の専門家としての経験を持つ人が5割以上と多い
  • 出身国はアメリカが5割、中東とアジアで4割、その他が1割と言う印象
  • ほぼ全員が
    • アメリカの大学か企業に在籍した経験を持つ
    • MITに在籍できることを誇りに思っている
    • 既に家庭を持っている
    • スポーツと旅行好き

・・・特にこれから何かが見えてくるわけでも無いのだけれど、多様かつ多くの経験を持つエンジニアであるクラスメートと一年間一緒に勉強できることは非常に幸せだと感じているし、自分も彼らのためにできるだけの知識と経験を提供したいと、気が引き締まる一日だった。

最後に、今日一番印象に残ったディレクターの言葉を。
"You are very small fish in a big pond. All of you are very very small fish. You will be a little bigger at the end of this January."

さて、この1ヶ月で僕はどこまで大きくなることができるだろうか。
次回はこの、Boot Campと呼ばれる1月のプログラムを紹介します。

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